冬の涙やけ|暖房の乾いた風・残るダニ・寒い外気——12〜2月に「目やにが粘る」なら涙が減った側を疑ってください
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海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!
これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!
- こんな人にオススメな内容
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- 冬になると、毎年涙やけが目立つ
- 暖房を入れてから、目やにが粘るようになった
- 散歩から帰ると涙が多い、目が赤い
- シニアの犬猫で、冬に目やにが固まるようになった
- 冬に固有の候補は、4つあります
- 候補1:乾いた空気と温風——涙が「減った」側を疑います
- 候補2:残るダニのフン・死骸と、加湿しすぎ
- 候補3:寒い外気と風——散歩のあとだけなら
- 候補4:猫の冬——ストレスと、ヘルペスウイルスの再発
- 確かめる順番
- 受診の目安チェックリスト
- 自宅でできること
- CLEAR WATER を使う場合の手順
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
冬になると、毎年涙やけが目立つ。暖房を入れてから、目やにが粘るようになった。散歩から帰ると涙が多い——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
冬の涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。
「冬に犬猫の涙が変わる」ことを直接調べた研究は、確認できませんでした。 ただ、冬に固有の候補が4つあります。そして、冬にいちばん大事なのは、目やにが「粘る」ようになったなら、涙が増えたのではなく、減った側を疑う ことです。
海外の獣医学的な情報源と、日本の公的機関の資料を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 人の眼科学会(米国眼科学会)は、ドライアイの原因・悪化要因として 「煙、風、とても乾いた気候の中にいること」 を挙げ、「目が乾くと刺激され、かえって涙が増える」 と説明しています。犬猫での同じ研究は確認できませんが、暖房で乾いた部屋と、顔に当たる温風 は、同じ条件です
- 米国の大学の解説では、犬のドライアイ(乾性角結膜炎)は 中年の犬にもっとも多く、徴候は 粘り気のある黄色〜緑色の目やに。英国の記録では 12歳以上の犬は3歳未満の29.44倍 でした。冬に粘る目やにが増えたシニアの犬 は、涙が減った側から確かめます
- 東京都の資料では、ダニのアレルゲンは フンや死骸 で、夏に増えたものは冬の寝具にも残ります。ダニの増殖には 60%以上の湿度 が必要で、加湿しすぎは逆効果です
- 厚生労働省の建築物の衛生基準は 温度18〜28℃、相対湿度40〜70%。ダニ対策の60%以下とあわせて、冬の部屋の目標は 40〜60% です
- 猫は ストレス → ヘルペスウイルスの再発。暖房器具、来客、帰省、留守番、寒さ
冬に固有の候補は、4つあります

冬の涙やけを「乾燥のせい」で終わらせると、来年も同じことが起きます。候補を分けます。
| 候補 | 何が起きているか | 見え方 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 暖房で乾いた空気、顔に当たる温風 | 涙の膜が早く蒸発し、角膜が乾く。乾いた刺激で涙が増えるか、涙が足りなければ粘る目やにが増える | 両目、暖房を入れてから、粘る目やに、朝に目が開きにくい、暖房器具の前で寝る子 | 米国眼科学会(人)、コーネル大学、RVC |
| 残るダニのフン・死骸、加湿しすぎ | アレルギー性結膜炎。結膜が腫れ、充血し、かゆく、涙が増える | 両目、寝具に顔をつけて寝たあと、顔をこすり、体もかく | 東京都、コーネル大学、Delgado 2023 |
| 寒い外気、風、ほこり | 外気の刺激で反射的に涙が増える | 散歩のあとだけ、家に入ると落ち着く | 米国眼科学会(人) |
| 猫のストレス | ヘルペスウイルスの再発 | 片目 から、粘る目やに、くしゃみ | ABCD |
4つのうち、いちばん見過ごされやすいのが、1つ目の「涙が減る側」です。涙やけの記事で、冬にこれを最初に書く理由を、次の章で説明します。
候補1:乾いた空気と温風——涙が「減った」側を疑います

人の話から始めます。米国眼科学会(AAO)のドライアイの解説は、涙の膜を 油の層(外側)、水の層(中間)、粘液の層(内側) の3層とし、油の層が「涙の表面をなめらかにし、涙が早く乾くのを防ぐ」と説明しています。そして、ドライアイの原因・悪化要因として 「煙、風、とても乾いた気候の中にいること」 を挙げ、目が赤く刺激される症状は 「風の中や、タバコの煙の近くにいるときにとくに起きる」 と書いています。
もうひとつ、大事な一文があります。「ドライアイなのに涙がたくさん出るのは奇妙に聞こえるかもしれないが、目はドライアイで刺激されると、より多くの涙を作る」。乾いた目が、涙を増やす。冬に「涙が多い」と「目が乾く」が同時に起きる理由は、ここにあります。
これは人の解説です。暖房で乾いた空気が犬猫のドライアイを起こす・悪化させることを直接調べた研究は、確認できませんでした。 ただ、犬猫の角膜も、同じ3層の涙の膜で守られていて、同じ空気の中で暮らしています。エアコンやファンヒーターの温風が顔に当たる場所で寝る子、こたつに頭を入れて寝る子は、その条件の中にいます。
そのうえで、犬のドライアイの話です。米国の大学の犬の専門機関(コーネル大学)の解説では、ドライアイ(乾性角結膜炎)は涙の水の部分が十分に作られない病気で、中年の犬にもっとも多く、免疫の異常で涙腺が炎症を起こすのが主な原因です。徴候は、粘り気のある黄色〜緑色の目やに、目の表面のつやがなくなる、目を細める、顔をこする。英国の王立獣医大学(RVC)が一次診療の記録36万3,898頭を調べた研究(2021年)では、12歳以上の犬は3歳未満の29.44倍 でした。
つなげると、こうなります。もともと涙がぎりぎりだった目が、夏や秋は保てていた。冬に空気が乾き、温風が当たり、蒸発が増えて、保てなくなった。目の表面を守るために粘る目やにが増え、それが毛について乾き、赤茶色〜黄色に汚れる。冬に「涙やけが悪化した」ように見えて、中身は「涙が減った」——シニアの犬でとくに起きやすい見え方です。
涙が減った側の見分けは、簡単です。目やにが粘るか、目の表面につやがあるか。 粘る目やにが毎日出て、朝に目が開きにくそうなら、涙を「拭く」前に「測って」もらってください。涙の量を測るシルマー試験は数分で、治療は涙を増やす点眼を一生続けることになりますが、放置すると角膜に血管や色素が入り、視力に関わります。
「涙が足りない側」の話は、キャバリアの記事に詳しく書いています。
あわせて読みたい キャバリアの涙やけ|涙が多いのではなく、足りなくなる犬種です →まぶたが閉じきらない短頭種(パグ、シーズー、ペキニーズ、ブルドッグ、狆など)は、もともと角膜の中央が乾く構造です。冬の乾いた温風は、その角膜をさらに乾かします。短頭種の角膜の話は、パグの記事に詳しく書いています。
あわせて読みたい パグの涙やけ|涙の跡より先に、角膜の色を見てください →候補2:残るダニのフン・死骸と、加湿しすぎ

東京都のアレルギー情報の資料は、室内のダニ(ヒョウヒダニ)について、「通常、湿度の高い梅雨時に増えはじめ、夏期の7月下旬から9月上旬に最も数が多くなります」 とし、アレルゲンになるのは ダニ自体と、ダニのフンや死骸 だとしています。
冬に大事なのは、2つです。
1つ目、夏に増えたダニのフンと死骸は、冬の寝具にも残ります。 生きたダニが減っても、アレルゲンは掃除と洗濯をしないかぎり残ります。犬猫は、その寝具に顔をつけて眠ります。米国の大学(コーネル大学)のアトピー性皮膚炎の解説は、典型的なアレルゲンとして花粉、カビ、ダニ、フケを挙げ、アトピーの犬は「涙が多く、目が赤い」アレルギー性結膜炎をともなうとしています。ポルトガルのチームの研究(2023年)では、アトピー性皮膚炎の犬の6割近くにアレルギー性結膜炎があり、すべての犬で両目 に出ていました。
2つ目、加湿しすぎは逆効果です。 東京都の資料は、ダニの増殖条件を「最適温度25〜30℃、相対湿度60〜80%」とし、「ダニは乾燥に弱く、増殖に60%以上の湿度が必要」、対策として 室内の湿度を60%以下 にすることを挙げています。冬に乾燥を心配して加湿器を強くかけ、暖房で25℃前後に保った部屋は、ダニの増殖条件そのものです。窓の結露はカビも増やし、カビもコーネル大学が挙げるアレルゲンです。
では、湿度は何%にすればいいのか。厚生労働省の建築物衛生法にもとづく建築物環境衛生管理基準は、温度18℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下 です(2022年4月に温度の下限が17℃から18℃に引き上げられました)。人の基準ですが、犬猫が同じ部屋で暮らす以上、目安になります。これとダニ対策の60%以下をあわせると、冬の部屋の目標は40〜60% です。乾きすぎず、ダニを増やさない範囲です。
冬に、両目とも赤く、涙が多く、寝起きに顔をこすり、足を舐め、耳をかく——それは、涙やけではなく、かゆみ です。寝具を洗って乾かし、湿度を60%以下にして減るなら、原因はその方向です。減らなければ、かゆみの治療が必要です。
あわせて読みたい 柴犬の涙やけ|かゆみと緑内障、柴犬で先に確かめたい2つのこと →候補3:寒い外気と風——散歩のあとだけなら

散歩から帰ると涙が多く、目が赤い。家に入ってしばらくすると落ち着く——この見え方は、外気の刺激です。
AAOの解説にあるとおり、人では風や乾いた空気が目を刺激して、赤くなり、涙が増えます。冬の外気は乾いていて、風が強く、暖房の排気やほこりも舞います。犬猫で同じ研究は確認できませんが、散歩のあとだけ増えて、家に入ると落ち着くなら、同じことが起きていると考えるのが自然です。
これは、それ自体は病気ではありません。ただ、2つ注意があります。
- 片目だけ、目を細めている、帰ってからも赤いまま なら、外気の刺激ではなく、異物や角膜の傷です。当日中に受診してください
- 毎日、外気で涙が増えて、そのまま濡れている なら、涙やけと皮膚炎の原因になります。散歩のあとに顔を拭いて乾かす習慣が、冬の本題です
冬は、足の裏の乾燥と融雪剤の話も一緒に起きます。肉球の側の話は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 犬の肉球がカサカサになる原因は?受診の目安とホームケア →候補4:猫の冬——ストレスと、ヘルペスウイルスの再発

猫の涙でいちばん多いのは、猫ヘルペスウイルスの再発です。ヨーロッパの猫の病気の諮問委員会(ABCD)の指針では、初感染した猫はほぼすべてが生涯キャリアになり、ストレスで再発 します。
冬は、猫にとってのストレスが重なりやすい時期です。暖房器具の登場と音、年末年始の来客や帰省、留守番やペットホテル、寒さそのもの。冬に片目の目やにが増えた猫は、季節そのものではなく、ストレスとウイルス を疑ってください。
猫でも、乾いた空気とダニのかゆみはあります。ただ、猫では感染症のほうがずっと多いので、順番はウイルスが先です。粘る目やに、目を細める、くしゃみや鼻水があれば、受診です。猫の涙やけ全般の原因と受診の目安は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 猫の涙やけの原因|感染症のサインと受診の目安を解説 →確かめる順番

冬の涙を、3つの質問で分けます。
- 目やにが粘るか、目の表面につやがあるか。 粘る目やにが毎日出て、朝に目が開きにくそうなら、涙が減った側です。シニアと短頭種はとくに。涙を測ってもらってください
- 体もかいているか。 両目で、寝起きに顔をこすり、足・耳・脇・お腹もかいているなら、かゆみです。寝具の洗濯と湿度60%以下で減るか試し、減らなければ治療です
- 散歩のあとだけか。 外気の刺激です。帰ったら顔を拭いて乾かす。片目だけ、目を細めている、赤いままなら、異物か傷で当日中です
3つとも当てはまらないのに冬に増えるなら、季節ではなく、涙やけそのものの原因(まぶた、涙点、まつ毛)を診察で探す段階です。
犬の涙やけの原因の全体像——「増える」「出ていけない」「減る」の3つの方向——は、犬全体の記事にまとめています。
あわせて読みたい 犬の涙やけの原因は?海外の獣医学的な根拠と受診の目安を解説 →春(花粉・黄砂・換毛)、夏(湿気・エアコン・紫外線・水遊び)、秋(花粉・ダニ・換毛・草の種)の涙は、季節ごとに別の記事に分けています。
あわせて読みたい 春の涙やけ|スギ・ヒノキ花粉、黄砂、換毛、新生活——2〜5月に涙が増える4つの候補と、確かめる順番 → あわせて読みたい 夏の涙やけ|エアコンの風、紫外線、湿気とダニ、水遊び——6〜8月に涙と皮膚が荒れる4つの候補と、確かめる順番 → あわせて読みたい 秋の涙やけ|換毛・秋の花粉・ダニのフンと死骸——9〜11月に涙が増える3つの候補と、確かめる順番 →受診の目安チェックリスト
当日中に受診してください。
- 角膜の表面につやがなく、粘る目やにがついて、目を開けにくそうにしている
- 角膜が白っぽく濁っている、目を細めている、まぶしがる
- 片目だけ、急に涙が増えて、目が赤い(散歩のあとも赤いまま)
- 目をこする、顔を床にこすりつける
- 猫で、粘る目やに、目を細める、くしゃみ・鼻水・食欲不振をともなう
数日以内に受診してください。
- 暖房を入れてから、粘り気のある黄色〜緑色の目やにが毎日出る
- 目やにの性質が変わった(さらさら → 粘る)
- 両目とも赤く、寝起きに顔をこすり、体もかいている
- 目の周りの皮膚が赤い、においがする
- 寝具の洗濯と湿度の管理、暖房の風の向きの見直しを2週間続けても、変わらない
自宅でできること
冬にできることは、「空気を整える」「拭く」「乾かす」の3つです。 着色を消すためではなく、乾く条件とかゆみの条件を減らし、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものと考えてください。
空気を整える。 ここが、冬の本題です。
- 暖房の風を、顔に当てない。 エアコンやファンヒーターの風向きを、寝床から外す。こたつやストーブの前で寝る子は、寝床をずらす。乾いた温風は、涙の膜をいちばん早く蒸発させます
- 湿度は40〜60%。 厚労省の基準の40〜70%と、ダニ対策の60%以下の重なる範囲です。湿度計を寝床の高さに置いて、加湿しすぎない
- 加湿器は毎日手入れする。 手入れをしない加湿器は、カビをまきます。カビはアレルゲンです
- 寝具を洗い、乾かす。 夏に増えたダニのフンと死骸を持ち越さない。洗える材質を選び、日光や布団乾燥機で乾かし、掃除機を1平方メートルあたり20秒ほどかける
- 散歩のあとに、顔と足を拭いて乾かす。 外気で増えた涙と、ほこりを残さない
拭く、乾かす。 順番はこうです。
- 乾拭きで、涙そのものを先に取る。 濡れたもので先に拭くと、涙を薄めて広げます
- 湿らせて、毛の根元まで届く量で拭く。 粘る目やにが固まっているなら、ふやかしてから押さえて取る
- 仕上げに乾拭きして、乾いた状態にする。 濡れたまま置くと、着色より先に皮膚が荒れます
ただし、粘る目やにを拭き続けることを、解決にしないでください。 それが毎日出るなら、拭く前に、涙を測ってもらう段階です。
濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →CLEAR WATER を使う場合の手順
当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、目の表面につやがあり、目を細めていない ことを確かめてから、次の手順です。
- 乾いたコットンで、目の下の涙を先に押さえて取る
- コットンを指先大にちぎり、ひたひたになるまでスプレーする(顔に直接スプレーしない)
- コットンを軽く絞りながら、目頭から外側へ、毛の根元まで届くように優しく押さえて拭く。固まった目やには、ふやかしてから
- 清潔なコットンで水気を拭き取り、乾いた状態にする。冬は乾いた空気で表面がすぐ乾きますが、根元は残ります。根元まで
- 散歩のあとは、顔と足を同じ手順で拭き、ほこりと外気で増えた涙を落とす
乾いた目を潤すための工程ではありません。 涙と目やにが皮膚にとどまる時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。だからこそ、今ある色が薄くなるのを待つのではなく、これ以上濃くしないために毎日続けます。
ただし、繰り返しになりますが、涙が減っていること、かゆみ、ウイルスは、拭いても変わりません。 お手入れと受診は、別の話として両方してください。
やってはいけないこと
粘る目やにを「冬の涙やけの悪化」として拭き続けないでください。 涙が減った側のサインです。とくにシニアの犬は、涙を測ってもらってください。
乾燥を心配して、加湿しすぎないでください。 湿度60%を超えると、ダニの増殖条件です。目標は40〜60%です。
暖房の温風を、寝床に向けないでください。 涙の膜をいちばん早く蒸発させる条件です。
目薬を「乾きそうだから」で自己判断して差さないでください。 以前に処方された目薬や人間用の目薬は、角膜に傷がある状態でステロイドを含むものを使うと、治りが止まり、重い合併症を起こすことがあります。ドライアイの治療は、診断のうえで、涙を増やす点眼を処方されるものです。
かゆい目の周りを、コットンでこすらないでください。 かゆみが増して、またこすります。「押さえる」だけにしてください。
固まった目やにを、乾いたまま引きはがさないでください。 まぶたと皮膚を傷めます。ふやかしてから押さえて取ります。
過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使わないでください。 米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説が、目に入れば重い損傷を起こすと明確に警告しています。
よくある質問
Q. 冬になると涙やけがひどくなるのは、なぜですか?
「冬に犬猫の涙が変わる」ことを直接調べた研究は、確認できませんでした。ただ、冬に固有の候補が4つあります。1つ目は 暖房で乾いた空気と、顔に当たる風 です。米国眼科学会は、乾いた環境や風でドライアイが悪化し、刺激で涙がかえって増えると説明しています。2つ目は、夏に増えた ダニのフン・死骸が残る寝具と、加湿しすぎの部屋。3つ目は、寒い外気と散歩。4つ目は、猫のストレスとヘルペスウイルスの再発 です。冬にいちばん大事なのは、目やにが「粘る」ようになったなら、涙が増えたのではなく 減った側を疑う ことです。
Q. 暖房を入れてから、目やにが粘るようになりました。
涙が減った側を疑ってください。粘り気のある黄色〜緑色の目やには、ドライアイ(乾性角結膜炎)の徴候です。コーネル大学の解説では中年の犬にもっとも多く、英国の記録では12歳以上の犬は3歳未満の29.44倍でした。暖房で乾いた空気がドライアイを起こすという犬猫の研究は確認できませんが、人では乾いた環境と風で悪化することが米国眼科学会の解説にあります。もともと涙が少なめだった目が、冬に耐えられなくなった、という見え方です。涙の量を測るシルマー試験で数分で分かります。
Q. 散歩から帰ると涙が多く、目が赤いです。
寒い外気と風の刺激、そして冬でも飛んでいるほこりや排気が候補です。人では、風や乾いた空気が目を刺激して、赤くなり、涙が増えることが米国眼科学会の解説にあります。犬猫で同じ研究は確認できませんが、散歩のあとだけ増えて、家に入ると落ち着くなら、外気の刺激です。ただし、片目だけ、目を細めている、帰ってからも赤いままなら、異物や角膜の傷です。 当日中に受診してください。
Q. 冬でもダニのアレルギーはありますか?
あります。東京都の資料では、ダニは7月下旬〜9月上旬に数がもっとも多くなりますが、アレルゲンになるのはダニ自体だけでなく、フンや死骸です。夏に増えたダニのフンと死骸は、掃除と洗濯をしなければ冬の寝具にも残ります。加えて、冬は加湿器で湿度を上げすぎると、ダニの増殖に必要な60%以上になります。厚労省の建築物の基準は湿度40〜70%、ダニ対策は60%以下。冬の目標は40〜60%です。
Q. 猫の目やにが、冬に増えました。
猫の涙でいちばん多いのは猫ヘルペスウイルスの再発で、引き金はストレスです。冬は暖房器具の登場、年末年始の来客や帰省、留守番、寒さそのものと、猫にとってのストレスが重なります。初感染した猫はほぼすべてが生涯キャリアになり、ストレスで再発します。冬に片目の目やにが増えた猫は、季節ではなく、ストレスとウイルス を疑ってください。粘る目やに、目を細める、くしゃみがあれば、受診です。
Q. フードを変えれば冬の涙やけは減りますか?
通常のドッグフード・キャットフードが涙やけを引き起こすことを示した対照試験は、確認できませんでした。冬に変わる涙は、乾いた空気・暖房の風・ダニ・外気・ストレスという、季節に固有の候補から順に見ていくのが筋です。食べ物のアレルギーは、季節で増減しません。 フードの見直しは、獣医師が原因を絞り込んだうえでの選択肢です。
まとめ
- 「冬に犬猫の涙が変わる」研究は 確認できない。ただし冬に固有の候補が 4つ ある
- 乾いた空気と温風:人では乾いた環境と風でドライアイが悪化し、刺激で涙がかえって増える。犬のドライアイは中年に多く、12歳以上は29.44倍。冬に粘る目やに → 涙が減った側を測る
- 残るダニのフン・死骸と加湿しすぎ:アレルゲンは冬の寝具にも残る。湿度60%超はダニの増殖条件。目標は40〜60%(厚労省40〜70%、ダニ対策60%以下)
- 寒い外気:散歩のあとだけなら刺激。片目・目を細める・赤いまま は異物か傷で当日中
- 猫は ストレス → ヘルペスウイルスの再発。暖房器具、来客、帰省、留守番
- 自宅でできるのは 暖房の風を顔に当てない、湿度40〜60%、加湿器の手入れ、寝具の洗濯、散歩のあとの顔拭き、拭く、乾かす。拭いても、涙が減っていることは変わらない
冬の涙やけは、「乾燥のせい」で終わらせやすいものです。乾燥は、涙を減らす条件でもあります。粘る目やにが出ているなら、拭く手を止めて、涙を測ってもらってください。
参考文献
- What Is Dry Eye? Symptoms, Causes and Treatment|American Academy of Ophthalmology(米国眼科学会の人向け解説。涙の膜の3層、乾いた環境・風・煙による悪化、乾いた目が涙を増やすことについての記述)
- Keratoconjunctivitis Sicca (KCS) in Dogs|Riney Canine Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine(犬のドライアイの原因・年齢・徴候・治療)
- O’Neill DG, et al. Keratoconjunctivitis sicca in dogs under primary veterinary care in the UK: an epidemiological study. J Small Anim Pract. 2021. doi:10.1111/jsap.13382(英国の一次診療の記録から犬363,898頭のドライアイを調べた研究。年齢別の危険)
- Atopic dermatitis (atopy)|Riney Canine Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine(アトピー性皮膚炎のアレルゲン(ダニ・カビ)、季節性、アレルギー性結膜炎についての記述)
- Delgado E, Gomes É, Gil S, Lourenço AM. Diagnostic approach and grading scheme for canine allergic conjunctivitis. BMC Vet Res. 2023;19:35. doi:10.1186/s12917-022-03561-5(犬のアレルギー性結膜炎の徴候と、アトピー性皮膚炎との併発率についての記述)
- 室内環境対策|東京都アレルギー情報navi.(ダニの増殖時期と条件、アレルゲン、湿度60%以下、対策についての記述)
- 特定建築物の衛生管理基準|東京都健康安全研究センター(建築物衛生法にもとづく建築物環境衛生管理基準。温度18〜28℃、相対湿度40〜70%についての記述)
- Guideline for Feline Herpesvirus Infection|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases。猫ヘルペスウイルスの生涯キャリアとストレスによる再発)
- Corneal Ulcers in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。ステロイドを含む目薬についての警告)
- Eye Discharge or Epiphora in Dogs|VCA Animal Hospitals(自宅ケアと過酸化水素についての警告)
- Tear Staining in Dogs|MedVet(米国の動物病院グループ。ポルフィリンについての解説)
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬・愛猫の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の犬猫に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
-
【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。