犬猫の歯石除去のあとのケア|せっかく取った歯石を、また付けないために最初の1か月でやること
- この記事について
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、歯石除去「のあと」の自宅ケアに絞って書いています!
退院時にかかりつけの獣医師から受けた指示が最優先です。この記事はその補足です!
当店の CLEAR DENTAL の使い方も書いています!
- こんな人にオススメな内容
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- 歯石除去をしたばかりで、このあと何をすればいいか分からない
- 抜歯もした。いつから歯磨きを再開していいのか
- 前回も歯石を取ったのに、1年でまた付いた
- 歯石除去を「最後」にしたい
- 自宅でできること
- 最初の1週間:触らない、見る、柔らかいもの
- 2週目以降:許可が出たら、指から再開
- 「前回と違う1年」にするために
- CLEAR DENTAL を使う場合の手順
- 歯垢は、翌日からもう付いています
- 抜歯があったとき
- 毎日磨いても、処置は「不要」にはなりません
- 受診の目安チェックリスト
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
動物病院で歯石を取ってもらった。きれいになった歯を見て、ほっとした。でも、このあと何をすればいいのか——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
歯石除去のあとのケアについて、最初にお伝えしたいことがあります。
歯石除去は「ゴール」ではなく「スタートライン」です。 歯垢は、処置の翌日からもう付き始めています。前回と今回の違いを作るのは、処置そのものではなく、処置のあとの毎日です。
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 歯垢は 食後数時間 で付き始め、24時間 で固まり始める。歯石除去の翌日から、もう始まっています
- 抜歯があったら、最低5日間は柔らかい食事。口の中を触るのは、歯ぐきが治ってから。退院時の指示が最優先
- 口を触れない期間も、フードにかける でゼロにしない。触れるようになったら 指→ガーゼ→歯ブラシ の順で再開
- 米国動物病院協会(AAHA)の手引きは、毎日の歯磨きをしていても、麻酔下の処置は不要にならない としています。歯磨きは、次の処置までの間隔を延ばすためのもの
- 当店の CLEAR DENTAL は研磨剤・防腐剤不使用。処置直後のフードにかけるところから 使えます
自宅でできること

退院時の指示が、すべてに優先します。 そのうえで、一般的な流れを書きます。
最初の1週間:触らない、見る、柔らかいもの

- 抜歯があった子は、最低5日間は柔らかい食事。 英国の動物病院グループの退院後の案内の目安です。硬いフードは、ふやかすか、ウェットに
- 口の中を触らない。 歯ぐきに傷があるあいだは、歯ブラシもガーゼも入れません
- 毎日、外から見る。 唇をめくるだけ。初日に少し血がにじむのは普通。強い出血、腫れ、鼻や口からの分泌物、24時間食べない、は病院へ
- 硬いおもちゃ、骨、角、ひづめを片づける。 処置したばかりの歯に、いちばん要らないものです
- 口を触らずにできることは、始めてしまう。 フードやおやつにデンタルケア用品をかける。ここは処置の翌日からできます
2週目以降:許可が出たら、指から再開

- 獣医師に「口の中を触っていいか」を確認する。 抜歯の有無、傷の治り方で違います
- 指に含ませて、歯の外側を1往復。 歯ブラシからではなく、指からです。処置のあとは、口を触られること自体に敏感になっている子がいます
- ガーゼに含ませて、歯の表面を拭く。 数日かけて本数を増やします
- 歯ブラシに戻す。 片側30秒、外側だけ、毎日。ここが目標です
- できない日は、フードにかける。 ゼロにしないのが、1年後の違いになります
「前回と違う1年」にするために
歯石除去を2回以上している子は、こう考えてみてください。前回の処置のあと、翌日から毎日、何かをしていたか。 していなかったなら、今回が変えるチャンスです。していたのに付いたなら、やり方(回数、外側を磨けていたか)を見直すか、歯並びや口の形の問題を獣医師に相談します。
CLEAR DENTAL を使う場合の手順
当店の CLEAR DENTAL をお使いの場合は、次のとおりです。処置のあとの毎日を、途切れさせないための道具としてお使いください。
- 処置の翌日から、口を触らずに、フードやおやつに 2〜3プッシュ。抜歯があって口を触れない期間も、ここは続けられます
- 口の中を触ってよいと獣医師に確認できたら、指に 1プッシュ して、歯の外側を1往復
- ガーゼに2〜3プッシュして、歯の表面を拭く
- 歯ブラシに2〜3プッシュして、片側30秒ずつ。ここが目標です
- 1日の使用は 20プッシュまで を目安に。開封後は冷蔵庫で保管し、6か月以内に使い切る
成分は、RO水、有機酸、乳酸、グレープフルーツ種子抽出物、マスティハ樹脂パウダー、フルボ酸です。研磨剤と防腐剤は使っていません。 処置のあとの歯ぐきを、研磨剤でこする必要はありません。犬も猫も歯磨き粉を吐き出せないので、最初から飲み込まれる前提で成分を決めています。
「この商品を使えば歯磨きは要らない」という話ではありません。そのことは、別の記事にはっきり書いています。
あわせて読みたい 歯磨きをしなくて大丈夫!そんな犬猫の歯磨き商品はありません →歯垢は、翌日からもう付いています

米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説は、歯垢について次のように書いています。歯垢は 食事のあと数時間のうちに 歯の表面に付き始め、24時間以内に、唾液の中のミネラルと結びついて固まり始める。固まり続けたものが歯石です。
歯石除去は、この積み重ねをいったんゼロに戻す処置です。でも、翌日の食事のあと数時間で、また最初の歯垢が付きます。だから、処置のあとに何もしなければ、前回と同じ1年 になります。
歯磨きで取れるのは歯垢だけです。固まった歯石は、家では取れません。AAHA の歯科ケアの手引き(2019年)は、飼い主に「歯磨きで取れるのは歯垢であって歯石ではない」ことをはっきり伝えるよう獣医師に求めています。固まる前に、毎日取る。 歯石除去のあとのケアは、それに尽きます。
あわせて読みたい 犬猫の歯磨きは「毎日」が標準|できない日の最低ラインと、回数・時間帯 →抜歯があったとき

歯石除去と同時に、ぐらついた歯や溶けた歯を抜くことがあります。猫では、歯が根元から溶ける病気(吸収病巣)で抜歯になることが少なくありません。
英国の動物病院グループの退院後の案内では、抜歯やそれに準じる処置をした子は、最低5日間は柔らかい食事 にする、としています。初日に歯ぐきから少し血がにじむのは普通です。ただし、次のときは病院に連絡してください。
- 出血が強い、止まらない
- 24時間たっても食べない
- あごの周りが腫れてきた
- 鼻や口から分泌物が出る
- 口臭が強くなってきた
口の中を触れるようになる時期は、抜いた本数と場所で違います。目安として1〜2週間と言われることが多いですが、退院時の指示と、再診での確認を優先 してください。その間、口を触らない方法(フードにかける)で続けておくと、再開がなめらかです。
猫の口の中の病気については、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 猫の口臭の原因|歯周病・歯が溶ける病気・口内炎・腎臓病。猫は痛みを隠します →毎日磨いても、処置は「不要」にはなりません

ここは正直に書きます。AAHA の手引きは、毎日の歯磨きをしていても、麻酔下の検査・レントゲン・処置の必要はなくならない、と書いています。人間が毎日歯を磨いても歯科検診に行くのと同じです。
VCA の解説は、歯石が付き始めたら 6〜12か月ごと の麻酔下の処置を勧めています。毎日の歯磨きの目的は、処置を「なくす」ことではなく、次の処置までの間隔を延ばし、1回の処置を軽くする ことです。歯石が少なければ処置は短く、抜歯は減り、麻酔の時間も短くなります。
麻酔をかけずに見える歯石だけを取る処置については、米国獣医歯科専門医協会が「歯ぐきの下に器具を届かせることができず、健康への効果はない」としています。歯石除去を「軽く済ませる」方法は、無麻酔ではなく、毎日の歯磨きです。
受診の目安チェックリスト
処置のあと、次のときは当日中に連絡してください。
- 出血が強い、止まらない
- 24時間たっても食べない、水を飲まない
- あごや顔が腫れてきた
- 鼻や口から分泌物が出る
- ぐったりしている、嘔吐が続く
- 口を前足でしきりにかく
次のときは、再診で相談してください。
- 1〜2週間たっても口臭が強い、いったん消えてまた戻った
- 処置のあと、硬いものを避けるのが続いている
- 歯ぐきの赤みが引かない
- 口を触ろうとすると、処置前より強く嫌がる
やってはいけないこと
退院時の指示より、この記事を優先しないでください。 抜歯の有無、傷の場所で、触ってよい時期は変わります。
歯ぐきが治る前に、歯ブラシを入れないでください。 痛みを覚えた子は、歯磨きそのものを嫌がるようになります。再開は、許可が出てから、指からです。
きれいになった歯に、硬いおもちゃ・骨・角・ひづめを与えないでください。 VCA の解説は、これらが歯を折ることを警告しています。処置したばかりの歯なら、なおさらです。
「きれいになったから、しばらく大丈夫」と思わないでください。 歯垢は翌日から付きます。処置の翌日が、いちばん始めやすい日です。
無麻酔の歯石取りを、次の処置の代わりにしないでください。 見える歯石を取っても、歯ぐきの下は残ります。
人間用の歯磨き粉を使わないでください。 吐き出せない前提で作られていません。
あわせて読みたい 犬に人間用の歯磨き粉がだめな理由|獣医学的根拠 →よくある質問
Q. 歯石を取ったあと、いつから歯磨きを再開していいですか?
抜歯がなく、歯ぐきに傷がなければ、獣医師の許可が出しだい、早いほうがいいです。歯垢は食後数時間で付き始め、24時間で固まり始めるからです。抜歯があった場合は、抜いた部分の歯ぐきが治るまで口の中を触らないよう指示されるのが一般的で、目安は1〜2週間ですが、退院時の指示を優先してください。その間は、口を触らない方法(フードにかける)で続けます。
Q. 抜歯のあと、食事はどうすればいいですか?
英国の動物病院グループの退院後の案内では、抜歯やそれに準じる処置をした子は、最低5日間は柔らかい食事にする、としています。初日に歯ぐきから少し血がにじむのは普通ですが、出血が強い、24時間たっても食べない、あごの周りが腫れる、鼻や口からの分泌物がある、ときは病院に連絡してください。
Q. 歯石を取ったのに、口臭がまだあります。
数日は、処置した歯ぐきの治りかけのにおいが残ることがあります。1〜2週間たっても強い口臭が続く、あるいはいったん消えてまた戻ってきたなら、歯垢がもう付き始めているか、別の理由(残った歯の根、口の中のできもの、腎臓など)です。再診で確かめてください。
Q. 前回も歯石を取ったのに、1年でまた付きました。意味がないのでしょうか?
意味はあります。ただ、歯石除去は「ゼロに戻す」処置であって、「付かなくする」処置ではありません。VCA は、歯石が付き始めたら6〜12か月ごとの麻酔下の処置を勧めつつ、その間を毎日の歯磨きでつなぐ、としています。前回と今回の違いを作るのは、処置の翌日からの毎日です。
Q. 毎日歯磨きをすれば、もう歯石除去は要りませんか?
要らなくはなりません。AAHA の手引きは、毎日の歯磨きをしていても、麻酔下の検査・レントゲン・処置の必要はなくならない、と書いています。人間が毎日歯を磨いても歯科検診に行くのと同じです。毎日の歯磨きは、次の処置までの間隔を延ばし、1回の処置を軽くするためのものです。
Q. CLEAR DENTAL は、歯石除去のあとに使えますか?
使えます。研磨剤と防腐剤を使っていないので、処置後の歯ぐきに強くこすらない使い方ができます。口を触れない期間は、フードやおやつにかける使い方から始めてください。退院時の指示を優先し、口の中を触ってよい時期は獣医師に確認してください。
まとめ
- 歯垢は 食後数時間 で付き、24時間 で固まり始める。歯石除去は スタートライン
- 抜歯があったら 最低5日間は柔らかい食事。口の中を触るのは 歯ぐきが治ってから。退院時の指示が最優先
- 触れない期間は フードにかける でゼロにしない。再開は 指→ガーゼ→歯ブラシ
- 毎日磨いても処置は不要にならない。歯磨きは、次の処置までの 間隔を延ばし、1回を軽くする ため
- 硬いおもちゃ・骨・角・ひづめは、処置したばかりの歯にいちばん要らない
- CLEAR DENTAL は 処置の翌日、フードにかけるところから。
歯石除去の日は、歯がいちばんきれいな日です。その日から毎日1分。前回と違う1年は、そこから始まります。
参考文献
- Plaque and Tartar Prevention in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。歯垢が付く時間、固まる時間、6〜12か月ごとの麻酔下の処置、歯を折るおもちゃ)
- 2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats — Recommending home oral hygiene and products|American Animal Hospital Association(米国動物病院協会。歯磨きで取れるのは歯垢だけ、毎日の歯磨きをしていても麻酔下の処置は不要にならない、炎症のある歯ぐきを磨くと痛みが出る)
- Post Dental Care Guide|Pet Health Club(英国の動物病院グループの退院後の案内。抜歯後は最低5日間の柔らかい食事、初日の軽い出血、連絡すべき症状)
- Companion Animal Dental Scaling Without Anesthesia|American Veterinary Dental College(米国獣医歯科専門医協会の見解)
- Feline Dental Disease|Cornell Feline Health Center(コーネル大学。猫の吸収病巣と抜歯)
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。処置後の食事・口の中を触ってよい時期・再診の判断は、必ず処置を行ったかかりつけの獣医師の指示に従ってください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいています。当店のケア用品は医薬品ではなく、病気の治療や予防を目的としたものではありません。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
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【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。