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  • 秋の涙やけ|換毛・秋の花粉・ダニのフンと死骸——9〜11月に涙が増える3つの候補と、確かめる順番

    紅葉の落ち葉の上に伏せるポメラニアン
    この記事について

    現時点では個人的に感じた感想や意見はまだ記載しておりません!

    海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!

    これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!

    こんな人にオススメな内容
    • 秋になると、毎年涙やけが目立つ
    • 9月ごろから急に涙が増えて、目が赤い
    • 散歩のあとに顔をこする、足を舐める
    • 換毛期に目やにが増える気がする
    1. 秋に固有の候補は、3つあります
    2. 候補1:かゆみ——秋の花粉と、夏に増えたダニのフン・死骸
    3. 候補2:換毛期の抜け毛
    4. 候補3:乾いた草の種——片目だけ、急に
    5. 猫の秋:ストレスと、ヘルペスウイルスの再発
    6. 確かめる順番
    7. 受診の目安チェックリスト
    8. 自宅でできること
    9. CLEAR WATER を使う場合の手順
    10. やってはいけないこと
    11. よくある質問
    12. まとめ
    13. 参考文献
    14. 免責事項

    秋になると、毎年涙やけが目立つ。9月ごろから急に涙が増えて、目が赤い。散歩のあとに顔をこする——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。

    秋の涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。

    「秋に犬猫の涙が増える」ことを直接調べた研究は、確認できませんでした。 ただ、秋に固有の候補が3つあり、それぞれに根拠があります。そして、どれかは、両目か片目か、体もかいているか、で分けられます。

    海外の獣医学的な情報源と、日本の公的機関の資料を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。

    先に結論だけお伝えします。

    • 米国の大学の解説では、アトピー性皮膚炎の犬の 40〜75%に季節性 があり、アレルゲンは花粉・カビ・ダニ・フケです。アトピーの犬の 6割近くにアレルギー性結膜炎 があったという報告があり、両目 に出ます
    • 環境省の資料では、ブタクサ・ヨモギ・カナムグラの花粉は「夏の終わりから秋にかけて」 飛びます。スギ・ヒノキも秋に少量飛ぶことがあります
    • 東京都の資料では、ダニは 「7月下旬から9月上旬に最も数が多く」 なり、ダニのフンや死骸 がアレルゲンになります。ダニは乾燥に弱く、室内の湿度を60%以下 にすることが対策です
    • 換毛期の抜け毛 と、乾いた草の種 は、目に入る「異物」です。草の種は、いちど入ると自分では出てきません
    • 両目・毎年・体もかく ならかゆみ、片目・急に・目を細める なら異物か痛み。順番はここで決まります

    秋に固有の候補は、3つあります

    銀杏並木の落ち葉の道を歩いてくる柴犬

    秋の涙やけを「季節のせい」で終わらせると、来年も同じことが起きます。候補を分けます。

    候補何が起きているか見え方根拠
    かゆみ(秋の花粉、ダニのフン・死骸)アレルギー性結膜炎。結膜が腫れ、充血し、かゆく、涙が増える両目、毎年同じ時期、顔をこすり、足・耳・脇・お腹もかくコーネル大学、Delgado 2023、環境省、東京都
    換毛期の抜け毛抜けた毛が目に入り、異物として涙を増やす両目または片目、目やにに毛が絡む、ブラッシングで減る—
    乾いた草の種秋の草むらで、硬くなった種が目に入る片目、急に、目を細める、止まらないまばたき、腫れカリフォルニア大学デービス校

    3つのうち、いちばん多く、いちばん見過ごされやすいのが、1つ目のかゆみです。

    候補1:かゆみ——秋の花粉と、夏に増えたダニのフン・死骸

    ラグの上で後ろ足で耳をかくマルチーズ

    米国の大学の犬の専門機関(コーネル大学)のアトピー性皮膚炎の解説は、発症は生後6か月〜3歳が多く、40〜75%に季節性 があり、典型的なアレルゲンは 花粉、カビ、ダニ、フケ だとしています。アトピーの犬は「肘の後ろをかき、足を舐めてかみ、顔をこすり、お尻を床にこすりつける」とし、耳と皮膚の感染に加えて、「涙が多く、目が赤い」アレルギー性結膜炎 をともなうと書いています。

    ポルトガルのチームによる犬のアレルギー性結膜炎の研究(2023年)は、アトピー性皮膚炎の犬の6割近くに、アレルギー性結膜炎が併発していた と書いています。徴候は、結膜の充血、結膜の腫れ、目のかゆみ、涙で、すべての犬で両目 に出ていました。

    では、秋に何が飛んでいるのか。

    秋の花粉。 環境省の花粉症環境保健マニュアルは、日本で報告されている約60種類の花粉アレルギーのうち、「ブタクサやヨモギなどのキク科とカナムグラは夏の終わりから秋にかけて飛散しています」 とし、「スギやヒノキは春が中心で、秋にも少量の花粉が飛散することがあります」、「カモガヤやオオアワガエリなどのイネ科の花粉は種類が多いために、春から初秋までの長い期間飛散します」 と書いています。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラは、いずれも木ではなく、道端や河川敷に生える草や蔓です。木の花粉と違って、地面に近い高さから飛びます。散歩する犬の顔の高さです。

    ダニのフンと死骸。 東京都のアレルギー情報の資料は、室内のダニ(ヒョウヒダニ)について、「通常、湿度の高い梅雨時に増えはじめ、夏期の7月下旬から9月上旬に最も数が多くなります」 とし、アレルゲンになるのは ダニ自体と、ダニのフンや死骸 だとしています。増殖の条件は「最適温度25〜30℃、相対湿度60〜80%」で、「ダニは乾燥に弱く、増殖に60%以上の湿度が必要」。対策として、室内の湿度を60%以下 にすること、寝具を日光や布団乾燥機でよく乾かすこと、掃除機を1平方メートルあたり20秒ほどかけること、寝具やぬいぐるみは洗える材質を選んで定期的に洗うことが挙げられています。同じ資料は、ダニが原因になる人の病気として気管支ぜん息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎を挙げています。

    これは人のアレルギーの資料ですが、犬のアトピーのアレルゲンにダニが挙げられている以上、犬猫の暮らす部屋でも同じことが起きています。夏に最多になったダニが、秋に死骸とフンを残す。犬猫は、その寝具の上で、顔をつけて眠ります。

    秋に、両目とも赤く、涙が多く、顔をこすり、足を舐め、耳をかく——それは、涙やけではなく、かゆみ です。かゆみの治療が先で、拭いても変わりません。かゆみの側の話は、柴犬の記事に詳しく書いています。

    あわせて読みたい 柴犬の涙やけ|かゆみと緑内障、柴犬で先に確かめたい2つのこと →

    候補2:換毛期の抜け毛

    ブラシと抜けた白い毛のそばで伏せる日本スピッツ

    秋は、多くの犬猫で冬毛に生え変わる時期です。ダブルコートの犬種(柴犬、ポメラニアン、日本スピッツ、ゴールデンなど)や長毛の猫では、抜け毛が大きく増えます。

    抜けた毛は、目に入ります。目に入った毛は異物として涙を増やし、目やにに絡まって目頭に固まります。毛が絡んだ目やにを、乾いたまま引きはがすと、まぶたと皮膚を傷めます。

    これは、候補の中でいちばん自宅で対処しやすいものです。ブラッシングで抜け毛を減らす、目頭の毛を短く保つ、拭くときは湿らせてふやかしてから押さえて取る。 これで減るなら、原因は毛です。

    ただし、注意があります。換毛期の涙が「毎年、両目、体もかく」なら、毛ではなく、同じ時期に飛んでいる花粉やダニのかゆみです。毛のせいにして、かゆみを見過ごさないでください。

    換毛期に涙と目やにが増えやすい、密なダブルコートの犬種の記事です。見るところは同じです。

    あわせて読みたい ポメラニアンの涙やけ|片目だけなら原因が違います → あわせて読みたい コーギーの涙やけ|手引きに「涙の病気」がほとんど載っていない犬種で、出ているなら理由があります →

    候補3:乾いた草の種——片目だけ、急に

    穂をつけた枯れ草の中を歩くトイプードル

    秋の草むらには、乾いて硬くなった草の種があります。米国の大学(カリフォルニア大学デービス校)の獣医学部の解説は、イネ科などの草の種(フォックステイル)について、「乾いて硬くなったときにとくに危険」 とし、「鼻、口、耳、目から体に入ることがもっとも多い」、「土に潜り込むための形をしているため、いちど体に入ると向きを変えて自分で出てくることができない」 と書いています。目に入った場合の徴候は 「止まらないまばたきと腫れ」 です。

    日本では、エノコログサやチカラシバなど、秋に穂をつけて乾く草が散歩道にあります。片目だけ、急に、涙が増えて、目を細めている、まばたきが止まらない——散歩のあとにこれが起きたら、季節の話ではなく、その目に何かが入っています。当日中に受診してください。自分で取ろうとしないでください。角膜に刺さっていることがあります。

    片目だけの涙の見分け方は、別の記事にまとめています。

    あわせて読みたい 片目だけの涙やけ|左右差が教えてくれる、目・涙の通り道・歯・鼻の4つの原因 →

    猫の秋:ストレスと、ヘルペスウイルスの再発

    雨の日の窓辺に座って外を見るスコティッシュフォールド

    猫の涙でいちばん多いのは、猫ヘルペスウイルスの再発です。ヨーロッパの猫の病気の諮問委員会(ABCD)の指針では、初感染した猫はほぼすべてが生涯キャリアになり、ストレスで再発 します。

    秋は、猫にとってのストレスが重なりやすい時期です。台風、雷、花火、行楽シーズンの留守番やペットホテル、衣替えや模様替え、暖房器具の登場。秋に片目の目やにが増えた猫は、季節そのものではなく、ストレスとウイルス を疑ってください。

    猫でも、秋の花粉やダニのかゆみはあります。ただ、猫では感染症のほうがずっと多いので、順番はウイルスが先です。粘る目やに、目を細める、くしゃみや鼻水があれば、受診です。猫の涙やけ全般の原因と受診の目安は、別の記事にまとめています。

    あわせて読みたい 猫の涙やけの原因|感染症のサインと受診の目安を解説 →

    確かめる順番

    紅葉を背景にこちらを見るチワワの顔のアップ

    秋の涙を、3つの質問で分けます。

    1. 片目か、両目か。 片目で、急で、目を細めているなら、異物か痛みです。季節ではなく、当日中に受診です
    2. 体もかいているか。 両目で、足・耳・脇・お腹もかいていて、毎年同じ時期なら、かゆみです。散歩のあとの顔拭きと寝具・湿度の管理で減るか試し、減らなければ治療です
    3. 毛が絡んでいるか。 両目で、体はかいておらず、目やにに毛が絡んでいるなら、換毛です。ブラッシングと目頭の毛の管理で減るか試します

    3つとも当てはまらないのに秋に増えるなら、季節ではなく、涙やけそのものの原因(まぶた、涙点、まつ毛、ドライアイ)を診察で探す段階です。涙やけ全般の原因は、別の記事にまとめています。

    あわせて読みたい 犬の涙やけの原因は?海外の獣医学的な根拠と受診の目安を解説 →

    春(花粉・黄砂・換毛)と夏(湿気・エアコン・紫外線・水遊び)の涙は、季節ごとに別の記事に分けています。

    あわせて読みたい 春の涙やけ|スギ・ヒノキ花粉、黄砂、換毛、新生活——2〜5月に涙が増える4つの候補と、確かめる順番 → あわせて読みたい 夏の涙やけ|エアコンの風、紫外線、湿気とダニ、水遊び——6〜8月に涙と皮膚が荒れる4つの候補と、確かめる順番 →

    秋に残ったダニのフンと死骸は、冬の寝具にも残ります。冬の記事はこちらです。

    あわせて読みたい 冬の涙やけ|暖房の乾いた風・残るダニ・寒い外気——12〜2月に「目やにが粘る」なら涙が減った側を疑ってください →

    受診の目安チェックリスト

    当日中に受診してください。

    • 片目だけ、急に涙が増えて、目を細めている、まばたきが止まらない、まぶたが腫れている
    • 散歩のあとに、片目をこすり続けている
    • 目の中や、まぶたの裏に草の種や異物が見える
    • 角膜が白っぽく濁っている、まぶしがる
    • 猫で、粘る目やに、目を細める、くしゃみ・鼻水・食欲不振をともなう

    数日以内に受診してください。

    • 両目とも赤く、涙が多く、顔をこすり、足・耳・脇・お腹もかいている
    • 毎年同じ時期に、同じことが起きる
    • 目の周りの毛が薄くなってきた、皮膚が赤い
    • 散歩のあとの顔拭きと寝具・湿度の管理を2週間続けても、変わらない

    自宅でできること

    秋にできることは、「候補を減らす」「拭く」「乾かす」の3つです。 着色を消すためではなく、目に触れるものを減らし、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものと考えてください。

    候補を減らす。 ここが、秋の本題です。

    • 散歩のあとに、顔と足を拭く。 花粉、ほこり、草の種のかけらを、家に持ち込まない。目の周りは、乾いたコットンで押さえてから、湿らせたコットンで目頭から外側へ
    • 草むらに顔を突っ込ませない。 秋の穂が乾いている場所は、とくに
    • 寝具を洗い、乾かし、湿度を60%以下にする。 東京都の資料のとおりです。犬猫の寝具も同じで、洗える材質を選び、日光や布団乾燥機で乾かし、掃除機をゆっくりかける
    • ブラッシングで抜け毛を減らし、目頭の毛を短く保つ。 目頭の毛は、トリマーか動物病院で。自分でハサミを使うのは避けてください
    • 新しく使い始めたもの(暖房器具、加湿器、芳香剤、衣替えの布)があれば、いったん外す

    拭く、乾かす。 順番はこうです。

    1. 乾拭きで、涙そのものを先に取る。 濡れたもので先に拭くと、涙を薄めて広げます
    2. 湿らせて、毛の根元まで届く量で拭く。 目やにに毛が絡んでいるなら、ふやかしてから押さえて取る
    3. 仕上げに乾拭きして、乾いた状態にする。 濡れたまま置くと、着色より先に皮膚が荒れます

    かゆい目の周りをコットンでこすると、かゆみが増します。「押さえる」だけにしてください。

    濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。

    あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →

    CLEAR WATER を使う場合の手順

    当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、目を細めていない・充血していない ことを確かめてから、次の手順です。

    1. 散歩から帰ったら、乾いたコットンで、目の下の涙を先に押さえて取る
    2. コットンを指先大にちぎり、ひたひたになるまでスプレーする(顔に直接スプレーしない)
    3. コットンを軽く絞りながら、目頭から外側へ、毛の根元まで届くように優しく押さえて拭く。毛が絡んだ目やには、ふやかしてから
    4. 清潔なコットンで水気を拭き取り、乾いた状態にする
    5. 同じ手順で、顔全体と足を拭き、花粉やほこりを落とす

    かゆみを止めるための工程ではありません。 目に触れるものを減らし、涙が付着している時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。だからこそ、今ある色が薄くなるのを待つのではなく、これ以上濃くしないために毎日続けます。

    ただし、繰り返しになりますが、かゆみそのものと、目に入った異物は、拭いても変わりません。 お手入れと受診は、別の話として両方してください。

    やってはいけないこと

    片目だけ急に増えた涙を、「秋だから」で様子見にしないでください。 季節は、片目だけに起きません。異物か痛みです。

    目に入った草の種を、自分で取ろうとしないでください。 形の性質上、自分では出てきません。角膜に刺さっていることがあります。

    かゆい目の周りを、コットンでこすらないでください。 かゆみが増して、またこすります。

    毛が絡んだ目やにを、乾いたまま引きはがさないでください。 まぶたと皮膚を傷めます。ふやかしてから押さえて取ります。

    かゆみを、フードやサプリで自己判断しないでください。 食べ物のアレルギーは季節で増減しません。秋に増えるかゆみは、環境の側です。何に反応しているのかは、診察で分けてもらう段階です。

    以前に処方された目薬を使い回さないでください。 角膜に傷がある状態でステロイドを含む目薬を使うと、治りが止まり、重い合併症を起こすことがあります。異物が入っているかもしれない秋の目には、とくに危険です。人間用の目薬も同じです。

    過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使わないでください。 米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説が、目に入れば重い損傷を起こすと明確に警告しています。

    よくある質問

    Q. 秋になると涙やけがひどくなるのは、なぜですか?

    「秋に犬猫の涙が増える」ことを直接調べた研究は、確認できませんでした。ただ、候補は3つあります。1つ目は かゆみ です。コーネル大学の解説では、アトピー性皮膚炎の犬の40〜75%に季節性があり、アレルゲンは花粉・カビ・ダニ・フケです。環境省の資料では、ブタクサ・ヨモギ・カナムグラの花粉が夏の終わりから秋に飛び、東京都の資料では、ダニは7月下旬〜9月上旬に数がもっとも多くなり、そのフンと死骸がアレルゲンになります。2つ目は 換毛期の抜け毛 が目に入る刺激、3つ目は 乾いた草の種 が目に入ることです。どれかは、両目か片目か、体もかいているかで分けられます。

    Q. 両目とも赤くて、涙が多くて、体もかいています。

    かゆみです。アトピー性皮膚炎の犬の6割近くにアレルギー性結膜炎があったという報告があり、その徴候は結膜の腫れ・充血・目のかゆみ・涙で、すべての犬で両目に出ていました。秋に増えるなら、秋の花粉(ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ)と、夏に増えたダニのフン・死骸が候補です。散歩のあとに顔と足を拭く、寝具を洗って湿度を60%以下にする、で減るなら、原因はその方向です。減らなければ、かゆみの治療が必要です。拭いても、かゆみは変わりません。

    Q. 片目だけ、急に涙が増えました。

    季節の話ではなく、その目に何かが起きています。秋の草むらでは、乾いて硬くなった草の種が目に入ることがあります。カリフォルニア大学デービス校の解説は、草の種は形の性質上、いちど体に入ると自分では出てこないとし、目に入ると止まらないまばたきと腫れが見られると書いています。片目だけ、急に、目を細めている、なら当日中に受診してください。 自分で取ろうとしないでください。

    Q. 換毛期に目やにが増える気がします。

    抜けた毛が目に入る刺激は、候補のひとつです。秋は多くの犬猫で冬毛に生え変わる時期で、抜け毛が増えます。目に入った毛は、異物として涙を増やし、目やにに絡まります。ブラッシングで抜け毛を減らし、目頭の毛を短く保つことで、この刺激は減らせます。ただし、換毛期の涙が「毎年、両目、体もかく」なら、毛ではなく、同じ時期の花粉やダニのかゆみです。

    Q. 猫でも秋に涙が増えますか?

    猫の涙でいちばん多いのは猫ヘルペスウイルスの再発で、引き金はストレスです。秋は台風、雷、花火、引っ越しや模様替えなど、猫にとってのストレスが重なりやすい時期です。初感染した猫はほぼすべてが生涯キャリアになり、ストレスで再発します。秋に片目の目やにが増えた猫は、季節ではなく、ストレスとウイルス を疑ってください。粘る目やに、目を細める、くしゃみがあれば、受診です。

    Q. フードを変えれば秋の涙やけは減りますか?

    通常のドッグフード・キャットフードが涙やけを引き起こすことを示した対照試験は、確認できませんでした。秋に増える涙は、花粉・ダニ・抜け毛・草の種・ストレスという、季節に固有の候補から順に見ていくのが筋です。食べ物のアレルギーは、季節で増減しません。 フードの見直しは、獣医師が原因を絞り込んだうえでの選択肢です。

    まとめ

    • 「秋に犬猫の涙が増える」研究は 確認できない。ただし秋に固有の候補が 3つ ある
    • かゆみ:アトピーの犬の40〜75%に季節性。秋の花粉(ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ)と、7月下旬〜9月上旬に最多になったダニの フンと死骸。両目・毎年・体もかく。治療が先
    • 換毛期の抜け毛:異物として涙を増やす。ブラッシングと目頭の毛の管理で減る。減らなければかゆみ
    • 乾いた草の種:片目・急に・目を細める。自分では出てこない。当日中
    • 猫は ストレス → ヘルペスウイルスの再発。台風・雷・花火・模様替え
    • 自宅でできるのは 散歩のあとの顔拭き、寝具の洗濯と湿度60%以下、ブラッシング、拭く、乾かす。拭いても、かゆみも異物も変わらない

    秋の涙は、「季節のせい」ではなく「季節に増えるものの、どれか」です。両目か片目か、体もかいているか。そこから分けてください。

    参考文献

    • Atopic dermatitis (atopy)|Riney Canine Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine(アトピー性皮膚炎の発症年齢、仕草、アレルゲン、季節性、アレルギー性結膜炎についての記述)
    • Delgado E, Gomes É, Gil S, Lourenço AM. Diagnostic approach and grading scheme for canine allergic conjunctivitis. BMC Vet Res. 2023;19:35. doi:10.1186/s12917-022-03561-5(犬のアレルギー性結膜炎の徴候と、アトピー性皮膚炎との併発率についての記述)
    • 花粉症環境保健マニュアル|環境省(花粉の種類と飛散時期についての記述)
    • 室内環境対策|東京都アレルギー情報navi.(ダニの増殖時期、アレルゲン、湿度、対策についての記述)
    • Foxtails|Animal Health Topics, School of Veterinary Medicine, University of California, Davis(乾いた草の種の危険、入り込む場所、目の徴候についての解説)
    • Guideline for Feline Herpesvirus Infection|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases。猫ヘルペスウイルスの生涯キャリアとストレスによる再発)
    • Corneal Ulcers in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。角膜潰瘍の原因としての外傷・異物と、ステロイドについての警告)
    • Eye Discharge or Epiphora in Dogs|VCA Animal Hospitals(自宅ケアと過酸化水素についての警告)
    • Tear Staining in Dogs|MedVet(米国の動物病院グループ。ポルフィリンについての解説)

    免責事項

    本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬・愛猫の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の犬猫に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。

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    記事執筆者・監修者

    西尾 亮佑 西尾 亮佑
    西尾 亮佑

    【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。

    その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。

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