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  • 柴犬の涙やけ|かゆみと緑内障、柴犬で先に確かめたい2つのこと

    落ち葉の上で笑顔で見上げる赤柴
    この記事について

    現時点では個人的に感じた感想や意見はまだ記載しておりません!

    海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!

    これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!

    こんな人にオススメな内容
    • 柴犬の目の下や頬の白い部分が、赤茶色に染まっている
    • 目をこする、顔を床や家具にこすりつける
    • 白柴を飼っていて、涙やけが目立つ
    • 急に片目が赤くなった、目を細めている
    1. 柴犬の顔は、涙が「抜ける」形をしています
    2. 先に確かめたいこと1:かゆみ(アトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎)
    3. 先に確かめたいこと2:緑内障
    4. ウラジロと白柴で、跡が目立ちます
    5. 換毛期と、密な下毛
    6. 受診の目安チェックリスト
    7. 自宅でできること
    8. CLEAR WATER を使う場合の手順
    9. やってはいけないこと
    10. よくある質問
    11. まとめ
    12. 参考文献
    13. 免責事項

    柴犬の目の下や頬の白い部分が、赤茶色に染まっている。目をこする、顔を床にこすりつける。白柴なので余計に目立つ——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。

    柴犬の涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。

    柴犬は、顔のつくりで涙があふれる犬種ではありません。 だからこそ、涙が続いているなら理由があります。そして柴犬の場合、その理由として先に確かめたいことが2つあります。かゆみ と、緑内障 です。どちらも、拭いても変わりません。

    海外と日本の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。

    先に結論だけお伝えします。

    • 国際畜犬連盟(FCI)の柴犬の標準では、鼻筋はまっすぐ、ストップははっきり。涙の通り道が坂道になる顔ではありません
    • 柴犬は 日本でアトピー性皮膚炎になりやすい犬種 として知られています。そして、アトピー性皮膚炎の犬の 6割近くにアレルギー性結膜炎 があったという報告があります。徴候は結膜の腫れ・充血・目のかゆみ・涙で、両目 に出ます
    • 日本の緑内障の症例では 柴犬が第1位で、全犬種の約3分の1。大学の眼科に来院した柴犬の 43% が緑内障だったという報告があります。急に片目が赤い・濁る・痛がるは、当日中です
    • 跡が目立つのは、ウラジロ(頬・口まわりの白い部分)と白柴 です。赤柴の濃い顔では見えないだけで、起きていることは同じです
    • 自宅でできるのは「拭く」「乾かす」「毛を整える」。触られるのが苦手な子は、数秒で切り上げて回数を分けます

    柴犬の顔は、涙が「抜ける」形をしています

    まっすぐな鼻筋が分かる柴犬の横顔

    国際畜犬連盟(FCI)の柴犬の標準(2017年)は、頭について次のように定めています。

    • 額:広い
    • ストップ:はっきりしていて、わずかな溝がある
    • 鼻:黒く、鼻筋はまっすぐ
    • 口吻:ほどよく厚い。頬はよく発達している
    • 目:三角形で、小さすぎず、濃い茶色。目尻がわずかに上がっている

    シーズーやパグのような短頭種で涙があふれる理由は、鼻が低いために涙の通り道が短く急になり、目頭側のまぶたが巻き込むことでした。柴犬の顔には、この構造がありません。涙は、目頭の出口から鼻へ、普通に抜けられるはずの犬です。

    犬の涙やけの全体像——涙が「増える」理由と「出ていけない」理由——は、犬の記事にまとめています。柴犬でも、その内容が前提になります。

    あわせて読みたい 犬の涙やけの原因は?海外の獣医学的な根拠と受診の目安を解説 →

    それでも柴犬で涙が続いているなら、「出ていけない」より先に、「増えている」理由 を探します。柴犬でいちばん先に確かめたいのが、次の章のかゆみです。

    先に確かめたいこと1:かゆみ(アトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎)

    草の上で目を閉じて眠る柴犬

    柴犬の涙やけを考えるとき、皮膚の話を避けて通れません。

    柴犬のアトピー性皮膚炎について、皮膚と腸の細菌を調べた研究(2023年)は、柴犬を研究対象に選んだ理由を、「この犬種は日本でアトピー性皮膚炎にきわめてなりやすく、この地域で発表された研究の症例数の多さがそれを示している」 と書いています。日本で柴犬を診ている獣医師にとっては、よく知られたことです。

    そして、アトピー性皮膚炎は皮膚だけの病気ではありません。ポルトガルのチームによる犬のアレルギー性結膜炎の研究(2023年)は、同じグループの以前の研究(2011年)を引いて、アトピー性皮膚炎の犬の6割近くに、アレルギー性結膜炎が併発していた と書いています。徴候として挙げられているのは、次の6つです。

    • 結膜の充血
    • 結膜の腫れ(結膜浮腫)
    • 目のかゆみ
    • 涙
    • さらさら〜膿のような目やに
    • 角膜炎

    2023年の研究では、結膜の腫れが84%、充血が83%、目のかゆみが79%に見られ、半数以上がこの3つをそろえて持っていました。そして、すべての犬で両目 に出ていました。

    ここから、柴犬の涙やけで見るべきことが決まります。

    目をこする、顔を床や家具にこすりつける、前足で目の周りをかく。 これがある柴犬の涙やけは、涙の問題である前に、かゆみの問題 です。こすれば涙が増え、目の周りの毛が抜け、皮膚が赤くなり、着色が広がります。この状態は、どれだけ丁寧に拭いても変わりません。かゆみの治療が先です。

    見分けるポイントは、両目かどうか と、目の周り以外にもかゆみがあるか です。アレルギー性結膜炎は両目に出ます。そして、アトピー性皮膚炎の柴犬は、目の周りだけでなく、口の周り、耳、脇、足先、お腹をかいたり舐めたりしていることが多いです。目の下の赤茶色だけを見ていると、全身のかゆみを見逃します。

    かゆみが涙やけをつくる犬種は、柴犬だけではありません。米国の大学の解説でアトピー性皮膚炎になりやすい犬種に挙げられているウエスティでは、白い毛にそのまま跡が出ます。

    あわせて読みたい ウエスティの涙やけ|白い毛にかゆみとドライアイが重なる犬種です →

    先に確かめたいこと2:緑内障

    夕方の光の中で正面を向く柴犬の目

    もうひとつ、柴犬の飼い主さんには知っておいてほしいことがあります。

    日本獣医師会の学術誌に掲載された報告(2018年)は、柴犬について次のように書いています。「緑内障好発犬種としては柴犬、シベリアンハスキー、ビーグル、シーズー、パピヨンなどが知られているが、中でも柴犬は症例数第1位で、全犬種の約3分の1に相当する」。さらに、「麻布大学眼科に来院した柴犬の43%が緑内障に罹患していたとの報告もある」 と続けています。柴犬は生まれつき眼の中の水の出口(隅角)の形成に異常が認められることが多く、それが緑内障の多さの理由とされています。

    緑内障は、眼球の中の圧力が上がって、視神経が傷む病気です。米国の獣医学の手引きは、急性の緑内障を 眼科の救急疾患 とし、徴候として まぶたの痙攣、白目の充血、角膜全体の濁り、瞳孔の開き、視力の喪失 を挙げています。圧力が上がり続けると、回復しない失明になります。

    涙やけの記事で緑内障の話をするのは、急性の緑内障の最初の見た目が、「急に片目の涙が増えて、目が赤くて、痛がっている」だから です。これを涙やけの悪化だと思って拭いている時間はありません。

    柴犬で、次のどれかがあれば、当日中 に動物病院へ。

    • 急に片目が赤くなった(白目の充血)
    • 角膜が白っぽく、または青っぽく濁っている
    • 目を細めている、まぶたがピクピクしている
    • 瞳孔が開いたままで、光を当てても小さくならない
    • 目が大きくなった・飛び出したように見える
    • 急に物にぶつかる、暗いところで動けない

    もちろん、急に片目の涙が増える理由は緑内障だけではなく、角膜の傷や異物もあります。ただ、柴犬では、緑内障を最初の候補から外さないでください。片目だけの涙については、ポメラニアンの記事にも詳しく書いています。

    あわせて読みたい ポメラニアンの涙やけ|片目だけなら原因が違います →

    急に起きるタイプとは別に、1歳までに静かに眼圧が上がるタイプの緑内障が手引きに載っている犬種もいます。ビーグルの記事に書いています。

    あわせて読みたい ビーグルの涙やけ|大きく優しい目と、1歳で静かに始まる緑内障 →

    ウラジロと白柴で、跡が目立ちます

    頬と胸の白いウラジロが見える柴犬

    ここまでが「涙が出る理由」です。ここからは「なぜ跡が目立つか」です。

    FCIの標準は、柴犬の毛色を赤、黒褐色、胡麻、黒胡麻、赤胡麻とし、そのすべてに 「ウラジロ」 があることを求めています。ウラジロとは、口吻の両側と頬、あごの下と首、胸と腹、尾の裏側、脚の内側 に現れる白っぽい毛のことです。

    つまり、赤柴の顔でも、目の下から頬にかけての白い部分 があります。涙やけの着色に関わるとされるポルフィリンという物質は、米国の動物病院グループの解説によれば、鉄を含む分子が分解される過程でつくられ、涙・唾液・尿に含まれ、毛色に関係なく 涙に含まれています。赤い毛の部分では見えず、ウラジロの白い部分では見える。それだけの違いです。

    白柴では、顔全体が白いので、涙の跡がそのまま見えます。白い毛は「なりやすい」のではなく「目立ちやすい」 が正確です。ただ、白い毛にはひとつ良い面もあります。涙の変化に、いちばん早く気づけることです。片目だけ濃くなった、急に増えた、目やにが粘るようになった——その変化は、前の2つの章の「かゆみ」「緑内障」に気づく手がかりになります。

    濃い顔の赤柴・黒柴は、着色ではなく、目の下の毛が湿っていないか、においがないか、皮膚が赤くないかで判断してください。

    換毛期と、密な下毛

    枯れ草の上で伏せる密な毛の柴犬

    FCIの標準は、柴犬の被毛を「上毛は硬くまっすぐ、下毛は柔らかく密」としています。年に2回の換毛期には、この下毛が大量に抜けます。

    換毛期が涙を増やすことを示した資料は、確認できませんでした。ただ、考えられることが2つあります。

    • 抜けた下毛が目に入る。 顔の周りで抜けた細い毛は、目に入って刺激になります。急に涙が増えたときに、まぶたの裏に毛が入っていないかを見てください
    • 密な下毛が、涙を根元に閉じ込める。 表面が乾いたように見えても、下毛の根元は湿ったままになります。拭いたあとに、指で根元を確かめてください

    換毛期は、目の周りを拭いたあとに、コームで抜け毛を取り除いてから乾かす、という順番にしてください。そして、目をこする様子が強いなら、換毛ではなく、前の章のかゆみの問題として診てもらってください。

    二重の被毛で同じことが起きる犬種に、コーギーがあります。

    あわせて読みたい コーギーの涙やけ|手引きに「涙の病気」がほとんど載っていない犬種で、出ているなら理由があります →

    春の換毛と、同じ時期に飛ぶ花粉・黄砂をどう分けるかは、春の記事に書いています。

    あわせて読みたい 春の涙やけ|スギ・ヒノキ花粉、黄砂、換毛、新生活——2〜5月に涙が増える4つの候補と、確かめる順番 →

    秋の換毛(冬毛への生え変わり)と、秋の花粉・ダニのかゆみを分ける順番は、秋の記事に書いています。

    あわせて読みたい 秋の涙やけ|換毛・秋の花粉・ダニのフンと死骸——9〜11月に涙が増える3つの候補と、確かめる順番 →

    冬の乾いた空気と暖房、寒い外気の散歩については、冬の記事に書いています。

    あわせて読みたい 冬の涙やけ|暖房の乾いた風・残るダニ・寒い外気——12〜2月に「目やにが粘る」なら涙が減った側を疑ってください →

    受診の目安チェックリスト

    当日中に受診してください。

    • 急に片目が赤くなった、角膜が白っぽく・青っぽく濁っている
    • 目を細めている、まぶたがピクピクしている、瞳孔が開いたまま
    • 目が大きくなった・飛び出したように見える
    • 急に物にぶつかる

    早めに受診してください。

    • 目をこする、顔を床や家具にこすりつける、前足で目の周りをかく
    • 両目とも充血していて、白目が腫れて盛り上がっている
    • 目の周りの毛が抜けている、皮膚が赤い
    • 口の周り、耳、脇、足先、お腹もかいている・舐めている
    • 目やにが粘り気を帯びてきた、黄色〜緑色の膿のような目やにが出る
    • 片目だけ涙が多い、片目だけ跡が濃い
    • 目の下の皮膚がただれている、においがする
    • 拭き方を変えても、3週間以上まったく変わらない

    自宅でできること

    原因の診断がついている、あるいは受診したうえで経過を見ている——その前提での話として書きます。

    確認できた自宅ケアは「拭く」「乾かす」「毛を整える」の3つです。 着色を消すためではなく、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものと考えてください。米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説でも、目の周りを清潔に乾いた状態に保ち、たまった汚れを取り、目の周りの毛を短くすることが挙げられています。

    • 乾いたコットンで、涙そのものを先に取る。 濡れたもので先に拭くと、涙を薄めて広げます
    • 湿らせて、毛の根元まで届く量で拭く。 目に液体が入らないよう、目頭から外側へ、こすらず押さえるように
    • 仕上げに乾拭きして、乾いた状態にする。 密な下毛の根元は乾きにくいので、指で確かめてください

    柴犬ならではの点が2つあります。

    1つ目は、触られるのが苦手な子が多いことです。 柴犬は、顔を触られることを嫌う子が多く、押さえつけた記憶は、その後のお手入れを難しくします。数秒で終わらせて、ごほうび。1日に何度かに分ける。 乾いたコットンで目の下を押さえるだけでも意味があります。「今日は乾拭きだけ」の日があってかまいません。

    2つ目は、かゆみがある子は、拭くこと自体が刺激になることです。 かゆい目の周りをコットンでこすれば、かゆみが増して、またこすります。かゆみの治療をしながら、拭くときは「押さえる」だけにしてください。

    濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。

    あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →

    CLEAR WATER を使う場合の手順

    当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、次の手順です。

    1. 乾いたコットンで、目の下の涙を先に押さえて取る
    2. コットンを指先大にちぎり、ひたひたになるまでスプレーする(顔に直接スプレーしない)
    3. コットンを軽く絞りながら、目頭から外側へ、ウラジロの白い部分まで、優しく押さえるように拭く
    4. 清潔なコットンで水気を拭き取り、下毛の根元まで乾いた状態にする
    5. 換毛期は、コームで抜け毛を取り除いてから乾かす
    6. 数秒で切り上げて、ごほうび。嫌がるようなら中断し、日を改める

    着色を消すための工程ではありません。 涙が付着している時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。だからこそ、今ある色が薄くなるのを待つのではなく、これ以上濃くしないために続けます。

    ただし、繰り返しになりますが、かゆみと緑内障は、拭いても変わりません。 お手入れと受診は、別の話として両方してください。

    やってはいけないこと

    急に赤くなった片目を、涙やけとして拭かないでください。 柴犬では、緑内障を最初の候補から外さないでください。当日中の受診です。

    目をこする柴犬の涙やけを、拭くことで解決しようとしないでください。 かゆみの治療が先です。こすれば涙が増え、拭けばかゆみが増します。

    以前に処方された目薬を使い回さないでください。 角膜に傷がある状態でステロイドを含む目薬を使うと、治りが止まり、重い合併症を起こすことがあります。人間用の目薬も同じです。

    押さえつけて拭かないでください。 柴犬は、押さえつけた記憶をよく覚えています。数秒で切り上げて、回数を分けてください。

    過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使わないでください。 VCAの解説が、目に入れば重い損傷を起こすと明確に警告しています。白柴で白く戻したくなっても、目と引き換えにしていいものではありません。

    「白くなる」と謳うサプリには注意が必要です。 2014年8月、米国の食品医薬品局(FDA)は涙やけ製品を販売する3社に警告書を発出しました。一部の製品にタイロシン酒石酸塩という抗菌性物質が含まれていたためです。FDAは、タイロシンは犬・猫のいかなる用途にも承認されていないと明言しています。より大きな問題は、原因を診断しないまま着色だけを消してしまうと、かゆみや緑内障という見逃してはいけないサインを覆い隠してしまう ことです。

    よくある質問

    Q. 柴犬は涙やけになりやすい犬種ですか?

    顔のつくりで涙があふれやすい犬種ではありません。FCIの柴犬の標準では、鼻筋はまっすぐで、ストップははっきりしていると定められており、涙の通り道が坂道になる短頭種の顔ではありません。ただし、柴犬には涙やけに関わる別の事情があります。日本で柴犬に多い アトピー性皮膚炎 と、それにともなう アレルギー性結膜炎 です。かゆみで目をこする柴犬の涙やけは、涙の問題である前に、かゆみの問題です。

    Q. 目をこする、顔を床にこすりつけます。涙やけと関係ありますか?

    関係します。アトピー性皮膚炎の犬の 6割近くにアレルギー性結膜炎 があったという報告があり、その徴候は結膜の腫れ・充血・目のかゆみ・涙で、両目 に出ます。柴犬は日本でアトピー性皮膚炎になりやすい犬種として知られています。目をこすれば涙が増え、目の周りの毛が抜け、皮膚が赤くなります。この場合、拭いても変わりません。かゆみの治療が先です。

    Q. 急に片目が赤くなって、目を細めています。

    当日中に受診してください。 日本の緑内障の症例では柴犬が第1位で全犬種の約3分の1を占め、大学の眼科に来院した柴犬の43%が緑内障だったという報告があります。急性の緑内障の徴候は、まぶたの痙攣、白目の充血、角膜の濁り、瞳孔の開き、視力の喪失で、眼科の救急疾患です。涙やけとして拭いている時間はありません。

    Q. 白柴なので涙やけが目立ちます。

    白い毛は「なりやすい」のではなく 「目立ちやすい」 が正確です。着色に関わるとされるポルフィリンという物質は毛色を問わず涙に含まれ、赤柴の濃い顔では見えず、白柴やウラジロの白い部分では見えます。起きていることは同じです。白柴の良い面は、涙の変化にいちばん早く気づけることです。片目だけ濃くなった、急に増えた、目やにが粘るようになった——その変化が受診の手がかりになります。

    Q. 換毛期に涙やけがひどくなる気がします。

    換毛期が涙を増やすことを示した資料は確認できませんでしたが、抜けた下毛が目に入って刺激になることと、密な下毛が涙を根元に閉じ込めて乾きにくくなることは考えられます。換毛期は、目の周りを拭いたあとに コームで抜け毛を取り除き、根元まで乾かして ください。目をこする様子が強いなら、換毛ではなくかゆみの問題として診てもらってください。

    Q. 触られるのを嫌がって、拭かせてくれません。

    無理に押さえつけないでください。柴犬は顔を触られることを嫌う子が多く、押さえつけた記憶はその後のお手入れを難しくします。数秒で終わらせて、ごほうび。1日に何度かに分けてください。 乾いたコットンで目の下を押さえるだけでも意味があります。どうしても難しい場合は、トリマーや動物病院で目の周りの毛を短くしてもらうことが、自宅での負担を減らします。

    まとめ

    • 柴犬は 鼻筋がまっすぐ で、涙があふれる顔のつくりではない。涙が続くなら理由がある
    • 先に確かめたいこと1は かゆみ。柴犬は日本でアトピー性皮膚炎になりやすく、アトピーの犬の6割近くに アレルギー性結膜炎。両目・目をこする・目の周りの脱毛なら、拭いても変わらない。治療が先
    • 先に確かめたいこと2は 緑内障。日本の症例で柴犬が第1位、約3分の1。急に片目が赤い・濁る・痛がるは 当日中
    • 跡が目立つのは ウラジロと白柴。赤柴の濃い顔では見えないだけ。白い毛は変化に早く気づける
    • 換毛期は コームで抜け毛を取ってから乾かす。密な下毛の根元まで
    • 触られるのが苦手な子は 数秒で切り上げて回数を分ける。押さえつけない

    涙やけは見た目の問題として語られがちですが、柴犬の場合、その裏でかゆみか、眼圧が動いていることがあります。目の下の色より先に、目をこすっていないか、片目が赤くないかを見てください。

    参考文献

    • FCI-Standard N° 257: SHIBA(09.02.2017)|Fédération Cynologique Internationale(国際畜犬連盟の柴犬の標準。頭・目・被毛・毛色とウラジロの定義)
    • Thomsen M, Künstner A, Wohlers I, et al. A comprehensive analysis of gut and skin microbiota in canine atopic dermatitis in Shiba Inu dogs. Microbiome. 2023;11:232. doi:10.1186/s40168-023-01671-2(柴犬が日本でアトピー性皮膚炎にきわめてなりやすい犬種であることについての記述)
    • Delgado E, Gomes É, Gil S, Lourenço AM. Diagnostic approach and grading scheme for canine allergic conjunctivitis. BMC Vet Res. 2023;19:35. doi:10.1186/s12917-022-03561-5(犬のアレルギー性結膜炎の徴候と、アトピー性皮膚炎との併発率についての記述)
    • Lourenço-Martins AM, Delgado E, Neto I, et al. Allergic conjunctivitis and conjunctival provocation tests in atopic dogs. Vet Ophthalmol. 2011;14(4):248-256. doi:10.1111/j.1463-5224.2011.00874.x(アトピー性皮膚炎の犬におけるアレルギー性結膜炎の研究)
    • 印牧信行, 太田充治, 辻田裕規, ほか. 柴犬における緑内障感受性遺伝子 SRBD1 の遺伝子型調査. 日本獣医師会雑誌. 2018;71:645-648(日本の緑内障の症例における柴犬の割合と、麻布大学眼科の来院柴犬の緑内障罹患率についての記述)
    • Kato K, Sasaki N, Matsunaga S, Nishimura R, Ogawa H. Incidence of canine glaucoma with goniodysplasia in Japan: a retrospective study. J Vet Med Sci. 2006;68(8):853-858(日本における隅角形成不全をともなう犬の緑内障の発生についての調査)
    • Acute Glaucoma in Small Animals|Merck Veterinary Manual(米国の獣医学の手引き。急性緑内障の徴候)
    • Eye Discharge or Epiphora in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。好発犬種と自宅ケア、過酸化水素についての警告)
    • Tear Staining in Dogs|MedVet(米国の動物病院グループ。ポルフィリンについての解説)
    • FDA warns makers of unapproved tear stain products|AVMA / JAVMA News, 2014

    免責事項

    本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の犬に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。

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    記事執筆者・監修者

    西尾 亮佑 西尾 亮佑
    西尾 亮佑

    【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。

    その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。

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