歯磨きの代わりになるデンタル用品はない|犬猫のケア用品、それぞれの役割と限界
- この記事について
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、デンタルケア用品の「種類ごとの役割」に絞って書いています!
当店の CLEAR DENTAL がどの位置にあるかも正直に書いています!
我が家(猫21匹・犬2匹)で何をどう組み合わせているかは、随時追記していきます!
- こんな人にオススメな内容
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- デンタルケア用品が多すぎて、何を選べばいいか分からない
- ガムをあげているから歯磨きはしていない
- 飲み水に混ぜるタイプだけで足りるのか知りたい
- 歯ブラシが使えない子に、何を組み合わせればいいか知りたい
- 自宅でできること
- 型1:歯ブラシが使える子
- 型2:歯ブラシはまだ、ガーゼや指なら触れる子
- 型3:口を触らせてくれない子
- CLEAR DENTAL を使う場合の手順
- 種類ごとに、できること・できないこと
- VOHC のマークは、何を保証しているのか
- 「歯にいい」と思われているもので、歯を折るもの
- 受診の目安チェックリスト
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
デンタルケア用品が多すぎて、何を選べばいいか分からない。ガムをあげているから歯磨きはしていない。飲み水に混ぜるタイプだけで足りるのか——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
デンタルケア用品について、最初にお伝えしたいことがあります。
種類が多いのは、役割が違うからです。 歯垢を「取る」ものと、「付きにくくする」もの、「息をよくする」もの。この3つを同じ棚に並べて比べると、選び方を間違えます。
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 米国の大手動物病院チェーン(VCA)は、毎日の歯磨きまたは拭き取り を最も効果的とし、フード・飲み水に混ぜるもの・ガムは 補助 としています
- 歯垢を 物理的に取れる のは、歯ブラシ・ガーゼ・拭き取りシートだけ。ジェルやスプレーは、それに「乗せる」もの
- ガムは 噛んだ歯の噛んだ面 にしか届かない。飲み水に混ぜるものは 飲まなければ効かない
- 骨・角・ひづめ・氷・硬いナイロン は歯を折る。「歯にいい」ではありません
- 当店の CLEAR DENTAL は スプレータイプの液体。歯ブラシ・ガーゼ・指・フード・飲み水の4つの使い方ができますが、歯垢を取るのは道具の役目です
自宅でできること

組み合わせの型は、3つです。 その子が今どの段階かで選びます。
型1:歯ブラシが使える子
- 歯ブラシ+ジェルまたはスプレー、毎日。 これが基本形で、ここに何を足しても、これを超えるものはありません
- 足すなら、デンタルフードやガム を「奥歯の噛む面の補助」として。前歯と犬歯には届かないので、歯ブラシは減らさない
型2:歯ブラシはまだ、ガーゼや指なら触れる子

- ガーゼ+ジェルまたはスプレー、毎日。 歯の外側を拭く。歯ぐきの境目まで
- 指+スプレー で、奥歯まで届く範囲を広げていく
- 目標は歯ブラシ。拭けるようになったら、歯ブラシに2〜3プッシュして、同じ動きに替える
型3:口を触らせてくれない子

- フードやおやつにかける+飲み水に混ぜる。 口を触らずにできる2つ
- ただし、これは「ゼロにしない」段階です。歯垢を取る働きはないので、口の周りを触る練習 を並行して進める
- 奥歯の磨き残しは必ず出ます。だからこそ、型2へ進むための準備期間と考える
どの型でも、週1回は唇をめくって、歯と歯ぐきを見る のを足してください。用品は口の中を見てくれません。見るのは飼い主です。
CLEAR DENTAL を使う場合の手順
当店の CLEAR DENTAL は、上の3つの型のどれでも使える スプレータイプの液体 です。歯垢を取るのは歯ブラシやガーゼの役目で、CLEAR DENTAL はそれを毎日続けるための液体です。 歯ブラシやガーゼと一緒に使います。
- 型1:歯ブラシに 2〜3プッシュ して磨く。片側30秒、外側だけ、毎日
- 型2:ガーゼに 2〜3プッシュ して拭く。指に 1プッシュ して歯に触れる
- 型3:フードやおやつに 2〜3プッシュ。飲み水にスプレー。口の周りを触る練習を並行する
- 1日の使用は 20プッシュまで を目安に。開封後は冷蔵庫で保管し、6か月以内に使い切る
成分は、RO水、有機酸、乳酸、グレープフルーツ種子抽出物、マスティハ樹脂パウダー、フルボ酸です。研磨剤と防腐剤は使っていません。 犬も猫も歯磨き粉を吐き出せないので、最初から飲み込まれる前提で成分を決めています。1本で4つの使い方ができるので、段階が進んでも買い替えが要りません。
種類ごとに、できること・できないこと

VCA の解説と、米国動物病院協会(AAHA)の歯科ケアの手引き(2019年)をもとに整理します。
| 種類 | できること | できないこと | 向いている段階 |
|---|---|---|---|
| 歯ブラシ | 歯垢を物理的に取る。歯ぐきの境目、歯の間まで届く | 歯石は取れない。炎症のある歯ぐきには痛い | 口を触らせてくれる子。最終目標 |
| ガーゼ・拭き取りシート | 歯の外側の歯垢を取る。VCA は「磨く、または拭く」を同列に挙げている | 歯の間には届きにくい | 歯ブラシの手前の段階 |
| ジェル・スプレー・歯磨き粉 | 道具に乗せる液体。指につけて歯に触れる練習にも | 単独では歯垢を物理的に取れない | すべての段階。道具とセット |
| 飲み水に混ぜるもの | VOHC が認めたものは、口の中の細菌を減らし、息をよくする | 歯垢を物理的に取れない。飲まない子には効かない | 補助。型3の「ゼロにしない」 |
| デンタルフード | VOHC が認めたものは、歯垢と歯石の付き方を遅らせる | 前歯・犬歯には届きにくい。AAHA は「奥歯はフード、前歯は拭き取り」の組み合わせを例に挙げている | 補助。歯ブラシを減らす理由にはならない |
| ガム・デンタルトリーツ | 軽い歯石を減らすように作られている | 噛んだ歯の噛んだ面だけ。前歯・犬歯・歯ぐきの境目には届かない | 補助。カロリーも計算に入れる |
| 骨・角・ひづめ・氷・硬いナイロン | — | 歯を折る。 VCA が明確に警告している | 使わない |
表の「できないこと」の列を見てください。歯垢を物理的に取れるのは、上の2段だけ です。残りは全部、補助です。補助を3つ重ねても、歯ブラシ1本には届きません。
VOHC のマークは、何を保証しているのか

米国獣医口腔衛生協議会(VOHC)は、その製品を単体で使ったときに、歯垢または歯石の付き方が減ることを試験で示した製品に承認を与えています。VCA の解説は、VOHC が認めるのは 厳密な科学的研究で安全性と歯垢・歯石の減少が示された製品だけ だとしています。
VOHC が認めている製品の種類は、犬ではデンタルフード、ガム、飲み水に混ぜるもの、ジェル・スプレー・歯磨き粉、フードにかけるパウダー、歯ブラシ・拭き取りシート、処置用のシーラント。猫ではデンタルフード、飲み水に混ぜるものやジェル、歯ブラシ・拭き取りシート、トリーツです。製品ごとに「歯垢」「歯石」「歯垢と歯石」のどれを減らすかが示されています。
マークが意味を持つのは、食べる・噛む・飲む、つまり犬猫が自分で使って、それだけで効果を出すことになっている製品 です。フード、ガム、飲み水に混ぜるものは、飼い主の手が歯に触れません。だから「その製品だけで本当に減るのか」を、第三者の試験で確かめる価値があります。米国の制度なので、日本で売られている製品で取得しているものは多くありません。
一方、歯ブラシやガーゼに含ませて使う液体は、考え方が違います。歯垢を取るのは、歯に触れる手と布と毛先です。液体の役目は、その毎日を 続けやすくする こと。見るべきは、認定マークよりも、研磨剤を使っていないか、飲み込んでも問題ない成分か、防腐剤を使っていないか、嫌がらずに続けられるか です。当店の CLEAR DENTAL は、この考え方で作っています。研磨剤・防腐剤不使用、犬猫兼用、飲み込む前提の成分。歯磨きの代わりになる、とは書きません。歯磨きを毎日続けるための液体です。
「この商品を使えば歯磨きは要らない」という売り方については、別の記事にはっきり書いています。
あわせて読みたい 歯磨きをしなくて大丈夫!そんな犬猫の歯磨き商品はありません →「歯にいい」と思われているもので、歯を折るもの

VCA の解説は、骨、馬のひづめ、鹿の角、氷、硬いナイロンのおもちゃ が歯を折ることを、はっきり警告しています。AAHA の手引きも、不適切な噛むおもちゃによる損傷を飼い主に伝えるよう獣医師に求めています。
目安は、親指の爪で押してへこむ硬さかどうかです。へこまないものは、歯のほうがへこみます。折れた歯は神経が露出し、痛みと感染の原因になります。「歯石が取れる」と言われているものほど、硬いです。
猫の口の中の病気と、猫に使えないものについては、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 猫の口臭の原因|歯周病・歯が溶ける病気・口内炎・腎臓病。猫は痛みを隠します →受診の目安チェックリスト
用品を選ぶ前に、受診が先の状態があります。
数日以内に受診してください。
- 歯ぐきが赤い、腫れている、血がにじむ
- 口臭が強い
- 歯石がはっきり見える(用品では取れません)
- 歯が折れた、欠けた、色が変わった
- 片側だけで噛む、硬いものを避ける
- 口を触ろうとすると、以前より強く嫌がる
当日中に受診してください。
- 口が閉じない、よだれが垂れ続ける
- 顔が腫れている
- 食べたがるのに食べられない
- おもちゃの破片を飲み込んだかもしれない
やってはいけないこと
ガムやフードを、歯磨きの代わりにしないでください。 補助です。届くのは噛んだ面だけです。
飲み水に混ぜるものだけで、済ませないでください。 歯垢を物理的に取る働きはありません。飲まない子には、そもそも届きません。
骨・角・ひづめ・氷・硬いナイロンを「歯にいい」と思わないでください。 歯を折ります。
人間用の歯磨き粉を使わないでください。 問題はキシリトールなど、飲み込む前提で作られていない成分です。
あわせて読みたい 犬に人間用の歯磨き粉がだめな理由|獣医学的根拠 →歯石を、用品で取ろうとしないでください。 固まった歯石は、家では取れません。麻酔下の処置の領域です。
用品を増やして、歯ブラシを減らさないでください。 補助を3つ重ねても、歯ブラシ1本には届きません。
よくある質問
Q. デンタルガムをあげていれば、歯磨きは要りませんか?
要ります。VCA の解説は、ガムやデンタルトリーツを「軽い歯石を減らすように作られたもの」と位置づけ、最も効果的なのは毎日の歯磨きまたは拭き取りだとしています。ガムが届くのは、噛んだ歯の噛んだ面だけです。前歯や犬歯、歯ぐきの境目には届きません。
Q. 飲み水に混ぜるタイプだけで足りますか?
足りません。VCA の解説は、VOHC が認めた飲み水に混ぜる製品を「口の中の細菌を減らし、息をよくする」ものとしています。歯垢を物理的に取る働きはないので、歯磨きや拭き取りと組み合わせるものです。飲まない子には、そもそも効きません。
Q. VOHC のマークとは何ですか?
米国獣医口腔衛生協議会(Veterinary Oral Health Council)が、歯垢または歯石を減らすことを試験で示した製品に与える承認です。デンタルフード、ガム、飲み水に混ぜるもの、ジェル・スプレー・歯磨き粉、歯ブラシ・拭き取りシートなどの種類があります。マークが意味を持つのは、フード・ガム・飲み水に混ぜるもののように、犬猫が自分で使ってそれだけで効果を出す製品です。歯ブラシやガーゼに含ませる液体は、歯垢を取るのが手と毛先なので、見るべきは研磨剤・防腐剤の有無と、飲み込める成分か、続けられるか、です。
Q. ジェルとスプレー、どちらがいいですか?
形が違うだけで、役割は同じです。どちらも「歯ブラシやガーゼにつけて使う」「指につけて歯に触れる」ための液体です。道具に乗せやすいのがジェル、フードや水に使いやすいのがスプレーです。大事なのは、どちらを選ぶかより、それを毎日、歯に届けられるかです。
Q. 骨や角のおもちゃは、歯にいいのですか?
逆です。VCA の解説は、骨、馬のひづめ、鹿の角、氷、硬いナイロンのおもちゃが歯を折ることを警告しています。AAHA の手引きも、不適切な噛むおもちゃによる損傷を飼い主に伝えるよう求めています。折れた歯は神経が露出し、痛みと感染の原因になります。
Q. CLEAR DENTAL は、どの種類に入りますか?
スプレータイプの液体です。歯ブラシやガーゼに2〜3プッシュして磨く・拭く、指に1プッシュして歯に触れる、フードやおやつにかける、飲み水にスプレーする、の4つの使い方ができます。研磨剤と防腐剤は使っていません。歯垢を物理的に取るのは歯ブラシやガーゼの役目で、CLEAR DENTAL はそれを毎日続けるための液体です。歯ブラシやガーゼと一緒に使います。
まとめ
- 歯垢を 物理的に取れる のは 歯ブラシとガーゼ・拭き取りシート だけ。ジェル・スプレーはそれに 乗せる もの
- フード・飲み水に混ぜるもの・ガムは 補助。噛んだ面だけ、飲まなければ届かない
- 骨・角・ひづめ・氷・硬いナイロン は歯を折る
- VOHC のマークは 単体で使う製品(フード・ガム・水に混ぜる) を選ぶときの基準。歯ブラシに含ませる液体は 研磨剤・防腐剤の有無、飲み込める成分か、続けられるか で見る
- 組み合わせは 型1:歯ブラシ+液体 / 型2:ガーゼ・指+液体 / 型3:フード・飲み水+触る練習
- CLEAR DENTAL は 1本で4つの使い方。段階が進んでも同じ1本
用品は、口の中を見てくれません。見るのは飼い主で、取るのは道具で、続けさせるのが液体です。この順番さえ間違えなければ、何を買うかはそれほど難しくありません。
参考文献
- Plaque and Tartar Prevention in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。毎日の歯磨きまたは拭き取り、VOHC が認めたフード・飲み水に混ぜるもの、ガムの位置づけ、歯を折るもの)
- 2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats — Recommending home oral hygiene and products|American Animal Hospital Association(米国動物病院協会。毎日でなければ効果がない、歯磨きで取れるのは歯垢だけ、フードと拭き取りの組み合わせの例、不適切な噛むおもちゃ)
- VOHC Accepted Products|Veterinary Oral Health Council(米国獣医口腔衛生協議会。承認製品の種類と「歯垢」「歯石」の表示)
- Brushing Your Cat’s Teeth|VCA Animal Hospitals(猫の歯磨き用品、人間用歯磨き粉と重曹を使わない)
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬・愛猫の口の中の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいています。当店のケア用品は医薬品ではなく、病気の治療や予防を目的としたものではありません。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
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【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。