ラグドールの涙やけ|「猫種のせい」にできない理由と、白い逆V字に残る跡
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海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!
これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!
- こんな人にオススメな内容
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- ラグドールの白い顔(逆V字やあご)が、目の下だけ赤茶色に染まっている
- 子猫を迎えてから、涙と目やにが続いている
- 「ラグドールだから」と言われたけれど、本当にそうなのか知りたい
- 顔の色が濃くなってきたのが、涙やけなのかマスクの色なのか分からない
- ラグドールの目の病気は「猫の平均」です
- 顔のつくりは、涙が「抜ける」形をしています
- だから「原因」を探します:いちばん多いのは子猫期のウイルスです
- 跡が残るのは、白い逆V字と白いあごです
- マスクが濃くなるのは、涙やけではありません
- 毛は長く、根元は乾きにくい
- 受診の目安チェックリスト
- 自宅でできること
- CLEAR WATER を使う場合の手順
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
ラグドールの白い逆V字が、目の下だけ赤茶色に染まっている。あごの白いところも、なんとなく黄ばんでいる。子猫を迎えたときからずっとで、「ラグドールだから」と言われた——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
ラグドールの涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。
ラグドールは、顔のつくりで涙があふれる猫種ではありません。 だからこそ、涙が続いているなら「猫種のせい」で片づけられません。その子に、確かめるべき原因があります。
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 英国の一次診療の記録でラグドール2,025頭を調べた研究(2025年)では、目の病気が記録されていたのは5.8%。猫全体の4.8%とほぼ同じ で、ペルシャの15.3%とはまったく違います
- 米国の猫の登録団体の審査基準では、ラグドールの鼻は 「まっすぐで中くらいの長さ」。涙の通り道が坂道になる、ペルシャのような顔ではありません
- だから、涙が続くなら 猫種ではなく、その子の原因を探します。 いちばん多いのは、子猫期にもらった 猫ヘルペスウイルス です。米国の大学の解説では、猫の最大97%が生涯のうちに触れ、最大80%で一生残る感染になります
- 跡が目立つのは、バイカラーの白い逆V字と、ミテッドの白いあご です。ポイント(濃い色のマスク)の子は、同じことが起きていても見えません
- 顔の色が濃くなるのは マスクの自然な発色 で、涙やけとは別のものです。見分け方を本文に書きます
ラグドールの目の病気は「猫の平均」です

英国の一次診療施設の記録(VetCompass)から、2019年に診療を受けた猫125万4,484頭のうちラグドール2万1,358頭(1.70%)を取り出し、そこから無作為に選んだ2,025頭にどんな病気が記録されていたかを調べた研究(2025年)があります。英国では、ラグドールは一次診療で 2番目に多い純血種 で、2005年には生まれた猫の0.70%だったものが、2019年には3.72%まで増えています。
日本でも同じです。ペット保険会社が2024年2月〜2025年1月に新規契約した0歳の猫5万6,111頭を集計したランキングでは、ラグドールは 4位(9.2%) でした。
その研究で、目に関わる数字を、同じ記録システムを使った猫全体の研究(2023年)とペルシャの研究(2019年)と並べます。
| 項目 | ラグドール(2,025頭) | 猫全体(18,249頭) | ペルシャ(3,235頭) |
|---|---|---|---|
| 目の病気(グループ全体) | 5.8% | 4.8% | 15.3% |
| 結膜炎 | 2.5% | 1.6% | 4.5% |
| 目やに・涙 | 1.4% | — | 5.8% |
出典:O’Neill らの研究(2025年・2023年・2019年)。猫全体の研究では「目やに・涙」は上位の診断に入っていません。ペルシャの研究は2013年の記録です
見てのとおり、ラグドールの目の病気の割合は、猫全体とほぼ同じ です。ペルシャの3分の1ほどしかありません。ラグドールで記録の多かった病気は、歯周病(8.8%)、下痢(7.1%)、肥満(6.9%)、爪の伸びすぎ(5.7%)で、目は上位に出てきません。
この数字は、「ラグドールだから涙やけ」という説明が成り立たないことを示しています。ラグドールの涙やけは、猫種の特徴ではなく、その子に起きている何かのサイン です。
なお、ペルシャで何が起きているか——涙の通り道が犬歯の根に押されて坂道になり、眼球の約40%が眼窩の外に出ている——は、ペルシャの記事に書いています。ラグドールがそうではない、という意味で読んでいただくと分かりやすいと思います。
あわせて読みたい ペルシャの涙やけ|涙が重力に逆らう顔のつくりと、黒目の茶色いサイン →顔のつくりは、涙が「抜ける」形をしています

米国の猫の登録団体(CFA)のラグドールの解説は、頭を「大きく、正三角形に近い緩やかなくさび形」、横顔を「ゆるやかに曲がって、まっすぐで中くらいの長さの鼻 に至る」、目を「大きく、鮮やかな青の楕円形」としています。
ペルシャで涙があふれる理由は、鼻先が下まぶたより高い位置にあり、涙の通り道が犬歯の根に押されて急な坂道になることでした。ラグドールの横顔には、この「鼻先が下まぶたより上」がありません。涙の通り道は、普通の猫と同じように、口蓋と平行に走っていると考えてよい形です。
つまり、ラグドールの涙は、重力に逆らわずに鼻へ抜けられる はずの猫です。それでもあふれているなら、通り道のどこかが「ふさがっている」か、涙が「増えている」かの、どちらかです。
顔のつくりが普通の猫で見るところは、アメリカンショートヘアの記事と同じです。あちらは、目尻のタビー模様と目頭の跡の見分け方から始めています。
あわせて読みたい アメリカンショートヘアの涙やけ|目尻の「模様」と目頭の「跡」を見分けてください →だから「原因」を探します:いちばん多いのは子猫期のウイルスです

猫で涙と目やにを増やす原因のうち、いちばん多いのは 猫ヘルペスウイルス(FHV-1) による結膜炎です。米国の大学の猫の専門機関(コーネル大学)の解説は、次のように書いています。
- 猫の 最大97% が、生涯のうちにヘルペスウイルスに触れる
- 触れた猫の 最大80% で、一生残る感染になる
- そのうち 最大45% が、主にストレスをきっかけに、周期的にウイルスを出す
- 一度感染した猫は生涯ウイルスを持ち続け、上部気道と目の症状を 繰り返すことがある
ラグドールは、ほぼ例外なくブリーダーのもとで生まれ、複数の猫がいる環境で2〜3か月を過ごしてから家に来ます。同じ解説は、カリシウイルスについて、少数で飼われている猫では約10%の感染率が、シェルターや繁殖キャッテリーのような密集した環境では最大90% になると書いています。ヘルペスウイルスも、母猫や同居猫から子猫期にもらうのが普通です。
そして、新しい家に来ること自体が、ストレス です。迎えて数日〜数週間で涙と目やにが出はじめ、落ち着いたと思ったらまた出る——ラグドールの子猫でよく聞くこの経過は、猫種ではなく、ウイルスの性質で説明がつきます。先ほどの研究でラグドールの中央値の年齢が 2.63歳 と若く、結膜炎が猫全体(1.6%)より多い2.5%だったことも、この背景と矛盾しません。
ヘルペスウイルスは、結膜炎だけでなく角膜に傷をつくることがあります。ラグドールは目が大きく、角膜の面積も大きい猫です。くしゃみ・鼻水をともなう、片目から始まった、目を細める、目やにが黄色〜緑色 のどれかがあれば、涙やけとして拭く前に、受診してください。
ウイルスのこと、片目だけの涙、子猫の時期の感染、涙の通り道のつまりについては、猫の涙やけの記事にまとめています。ラグドールでも、その内容がそのまま前提になります。
あわせて読みたい 猫の涙やけの原因|感染症のサインと受診の目安を解説 →跡が残るのは、白い逆V字と白いあごです

ここまでが「涙が出る理由」です。ここからは「なぜ跡が目立つか」です。
CFAの解説は、ラグドールの3つのパターンを次のように説明しています。
- カラーポイント:耳・マスク・足・尾が濃い色で、体との対比がはっきりしている
- ミテッド:前足に白い手袋、後ろ足のかかとまで白く、腹に白い線。あごが白い
- バイカラー:マスクに 白い逆V字 があり、その白は目の外側の縁の内側におさまる。あご・胸・下側が白い
涙やけの着色に関わるとされるのは、ポルフィリンという物質です。米国の動物病院グループの解説によれば、鉄を含む分子が分解される過程でつくられ、涙のほか唾液や尿からも排出されます。毛色に関係なく、涙に含まれています。 白い毛では見える。濃い色の毛では見えない。それだけの違いです。
つまり、バイカラーの逆V字の下 と、ミテッドやバイカラーの白いあご(よだれや、飲み水についた口元)に、跡は出ます。カラーポイントの子では、マスクが濃いので、同じことが起きていても見えません。ポイントの子は、着色ではなく、目の下の毛が湿っていないか、においがないか、皮膚が赤くないかで判断してください。
もうひとつ、ラグドールならではの事情があります。子猫は白く生まれます。 CFAの解説では、色は成長とともに徐々に入り、被毛の色が完成するのは2歳ごろです。ということは、子猫期の涙——多くはヘルペスウイルスの初感染——の跡は、まだ白い顔にいちばんはっきり残ります。「子猫のころから涙やけ」と感じるのは、涙が多かった時期と、顔が白かった時期が重なっているからです。
マスクが濃くなるのは、涙やけではありません

ラグドールの飼い主さんから「顔が黒ずんできた」と相談されることがあります。ここは、切り分けが必要です。
ポイントの毛色は、色素をつくる酵素(チロシナーゼ)の遺伝子の変異によるもので、米国の大学の遺伝子検査機関(UC Davis)の解説では、体の温かい部分では色素の産生が減り、耳や足先など体温の低い末端が濃くなる と説明されています。顔も、体より温度が低いので濃くなります。目の色が青いのも、同じ遺伝子で目の色素が減るためです。
だから、マスクの色は 生まれつきのプログラム で濃くなっていきます。涙やけと見分けるポイントは3つです。
| マスクの発色 | 涙やけ | |
|---|---|---|
| 場所 | 顔全体、左右対称 | 目頭から下へ向かう筋状 |
| 触ると | 乾いている | 根元が湿っている、固まっている |
| 色 | 毛色の濃い版(シール、ブルーなど) | 赤茶色〜黄褐色 |
左右対称に顔全体が濃くなるのは、発色です。目頭から下だけが赤茶色で、根元が湿っているなら、涙やけです。両方が同時に起きている子 もいるので、「濃くなってきた=涙やけ」でも「濃くなってきた=発色だから大丈夫」でもなく、目の下の湿り気を触って確かめてください。
毛は長く、根元は乾きにくい

CFAの解説は、ラグドールの被毛を「中くらいの長さで、ガードヘアが豊富、ふわふわした下毛は最小限、柔らかく絹のような手触り」としています。ペルシャほど密ではなく、実際、先ほどの研究でも被毛の問題は4.0%で、ペルシャの12.7%の3分の1以下でした。
ただ、目の下の毛が長いことに変わりはありません。涙で濡れた毛は、猫自身の毛づくろいでは乾きません。英国の動物福祉団体(UFAW)は、あふれた涙で常に濡れていることが、目と鼻の間の毛を染め、皮膚の感染や皮膚炎を起こしやすくすると説明しています。ラグドールで気をつけたいのは、着色そのものより、白い毛の下の皮膚 です。赤み、ただれ、におい、毛が抜ける——これは着色ではなく皮膚炎で、受診の理由になります。
受診の目安チェックリスト
ひとつでも当てはまれば、動物病院にご相談ください。
- 子猫を迎えてから、涙・目やにが2週間以上続いている
- くしゃみ、鼻水をともなう
- 片目だけに症状が出ている、片目だけ跡が濃い
- 急に涙の量が増えた
- 目を細めている、まばたきが増えた、光をまぶしがる
- 目頭から白い膜(第三眼瞼)が出ている
- 白目が充血している、角膜が白っぽく濁っている
- 目やにが粘り気を帯びてきた、黄色〜緑色の膿のような目やにが出る
- 目の下の皮膚が赤い、ただれている、においがする、毛が抜けている
- 前足で目をこする、床や家具に顔をこすりつける
- 1歳を過ぎて、両目とも涙が多い状態が続いている(涙の通り道を確認する段階です)
自宅でできること

原因の診断がついている、あるいは受診したうえで経過を見ている——その前提での話として書きます。
確認できた自宅ケアは「拭く」「乾かす」「毛を整える」の3つです。 着色を消すためではなく、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものと考えてください。米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説でも、目の周りを清潔に乾いた状態に保ち、たまった汚れを取り、目の周りの毛を短くすることが挙げられています。
猫では、犬以上に やり方そのもの が大事になります。
- 無理に押さえつけないこと。 ラグドールは「抱くと力を抜く」「おとなしい」と言われる猫種ですが、それはお手入れを我慢してくれる保証ではありません。顔まわりを強く保定されることは猫にとって強いストレスで、ストレスはヘルペスウイルスの再活性化のきっかけになります。嫌がる日はやめる、が正解です
- 1回を短く。 数秒で終わらせて、あとはごほうび。回数を分けるほうが続きます
- 目に液体が入らないよう、目頭から外側へ。 こするのではなく、湿らせてふやかしてから押さえるように。ラグドールは目が大きいので、コットンの端が角膜に触れないよう、目から離れたところから始めてください
- 拭いたあとに乾かすところまでが1セット。 濡れたまま置くと、着色より先に皮膚が荒れます
ラグドールならではの点が2つあります。
1つ目は、あごです。 白いあごは、涙ではなく、飲み水やよだれ、フードで汚れます。目の下と同じように、湿らせて拭いてから乾かしてください。あごの黒いブツブツ(にきび)が出ているなら、それは別の皮膚の問題なので、診てもらってください。
2つ目は、コームです。 拭いたあとに目の周りの毛をコームで整え、毛の流れの中に湿った部分が残らないようにします。目頭の毛が伸びて目に入るようなら、トリマーか動物病院で短く整えてもらってください。自分でハサミを使うのは避けてください。
濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →CLEAR WATER を使う場合の手順
当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、次の手順です。
- コットンを指先大にちぎる
- ひたひたになるまでスプレーする
- 猫の顔に直接スプレーしない。 コットンに含ませてから使う
- コットンを軽く絞りながら、目から離れたところから、目の周りを優しく押さえるように拭く。白いあごも同じように
- 清潔なコットンで水気を拭き取り、毛の根元まで乾いた状態にする
- 嫌がるようなら中断し、日を改める
着色を消すための工程ではありません。 涙が付着している時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。だからこそ、今ある色が薄くなるのを待つのではなく、これ以上濃くしないために続けます。
ただし、繰り返しになりますが、ウイルス性の結膜炎や涙の通り道のつまりは、拭いても変わりません。 お手入れと受診は、別の話として両方してください。
やってはいけないこと
「ラグドールだから」で受診を先延ばしにしないでください。 この猫種には、涙があふれる顔のつくりがありません。続いている涙には、確かめるべき原因があります。
他の猫に処方された目薬を使い回さないでください。 猫の目の病気ではステロイドを含む薬が症状を悪化させることがあり、獣医師の管理下で使うべき薬とされています。角膜に傷がある状態で使えば、傷を深くします。人間用の目薬も同じです。
犬用の製品を、成分を見ずに猫へ使わないでください。 猫は精油に含まれるフェノール類を分解する酵素を欠いており、犬では問題にならない成分が猫では問題になります。犬猫兼用と書かれていても、成分表示を確認してください。
あわせて読みたい 猫がいる家で、犬の肉球クリームを選ぶときに確認すべきこと →過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使わないでください。 VCAの解説が、目に入れば重い損傷を起こすと明確に警告しています。白い逆V字を白く戻したくなりますが、目と引き換えにしていいものではありません。
目のすぐそばを、自分でハサミやバリカンで触らないでください。 ラグドールは目が大きく、角膜との距離が近い猫です。目頭の毛は、動物病院かトリマーにお願いしてください。
無理に押さえつけて毎日拭かないでください。 猫にとってのストレスは、ヘルペスウイルスを再び目覚めさせる引き金のひとつです。よかれと思ったお手入れが、原因を悪化させることがあります。
「白くなる」と謳うサプリには注意が必要です。 2014年8月、米国の食品医薬品局(FDA)は涙やけ製品を販売する3社に警告書を発出しました。一部の製品にタイロシン酒石酸塩という抗菌性物質が含まれていたためです。FDAは、タイロシンは犬・猫のいかなる用途にも承認されていないと明言しています。より大きな問題は、原因を診断しないまま着色だけを消してしまうと、ウイルス性の結膜炎という見逃してはいけないサインを覆い隠してしまう ことです。
よくある質問
Q. ラグドールは涙やけになりやすい猫種ですか?
顔のつくりで涙があふれやすい猫種ではありません。英国の一次診療の記録でラグドール2,025頭を調べた研究(2025年)では、目の病気が記録されていたのは 5.8%で、猫全体の4.8%とほぼ同じ でした。ペルシャは15.3%です。CFAの審査基準でも、ラグドールの鼻は「まっすぐで中くらいの長さ」と定められています。白い部分が多いので目立ちやすい猫種ではありますが、「なりやすい」猫種ではありません。
Q. 「ラグドールだから仕方ない」と言われました。本当ですか?
ラグドールには、ペルシャのような「涙が抜けない顔のつくり」がありません。だから、涙が続くなら 「猫種のせい」ではなく、その子に原因がある と考えるほうが筋です。猫でいちばん多いのは猫ヘルペスウイルスによる結膜炎で、ほかに片目だけの涙、涙の通り道のつまり、まぶたの問題などがあります。いずれも診察で確認できます。
Q. 子猫を迎えてから、涙と目やにが続いています。
子猫期の感染がいちばん考えやすい原因です。コーネル大学の解説では、猫の最大97%が生涯のうちにヘルペスウイルスに触れ、最大80%で一生残る感染になり、そのうち最大45%がストレスで再びウイルスを出します。新しい家への引っ越しは、そのストレスにあたります。 くしゃみや鼻水をともなう、片目から始まった、目を細める、といったときは受診してください。
Q. 顔の色が濃くなってきました。涙やけですか?
ラグドールの顔(マスク)は、生まれたときは白く、成長とともに自然に濃くなります。体温の低い部分ほど色素が作られる遺伝子のためで、2歳ごろまで色が入り続けます。マスクの色は 左右対称で、乾いていて、目の下だけが染まるわけではありません。涙やけは、目頭から下へ向かう筋状で、根元が湿っていて、赤茶色 です。この2つを見分けてください。
Q. 青い目と涙やけは関係ありますか?
確認できる根拠はありませんでした。ラグドールの青い目は、ポイントの毛色と同じ遺伝子(色素を作る酵素が温度に左右される変異)によるものですが、この遺伝子が涙の量や涙の通り道に関わると説明した資料は見つかりませんでした。目が大きい猫種なので、お手入れのときにコットンが角膜に触れないよう注意する、という点は関係します。
Q. フードを変えれば涙やけは減りますか?
通常のキャットフードが涙やけを引き起こすことを示した対照試験は、確認できませんでした。ラグドールの場合、まず確かめるべきはウイルス性の結膜炎や涙の通り道といった、診察で確認できる原因です。フードの見直しは、獣医師が原因を絞り込んだうえでの選択肢です。
まとめ
- ラグドールの目の病気は 5.8%で、猫全体の4.8%とほぼ同じ。ペルシャの15.3%とは違う。「ラグドールだから涙やけ」は成り立たない
- 横顔は まっすぐで中くらいの長さの鼻。涙の通り道が坂道になる顔ではないので、涙は抜けられるはず。あふれているなら「ふさがっている」か「増えている」
- いちばん多い原因は 子猫期にもらった猫ヘルペスウイルス。最大97%が触れ、最大80%で一生残り、ストレスで再び出る。新しい家に来ること自体がストレス
- 跡が出るのは バイカラーの白い逆V字と、白いあご。ポイントの子は見えないだけで、起きていることは同じ。子猫は白く生まれる ので、子猫期の涙の跡はいちばん目立つ
- マスクが濃くなるのは発色。左右対称で乾いていれば発色、目頭から下だけ赤茶色で湿っていれば涙やけ
- 自宅でできるのは「拭く・乾かす・毛を整える」。押さえつけない、嫌がる日はやめる、目から離れたところから、乾かすまでが1セット
涙やけは見た目の問題として語られがちですが、ラグドールの場合、その下には「猫種のせいではない、確かめられる原因」があります。白い逆V字は、それをいちばん早く教えてくれる場所です。
参考文献
- O’Neill DG, et al. Demography, common disorders, cause-specific mortality and life expectancy of Ragdoll cats under primary veterinary care during 2019 in the UK. Companion Animal Health and Genetics. 2025;12:8. doi:10.1186/s40575-025-00148-9(英国の一次診療の記録からラグドール2,025頭の病気を調べた研究)
- O’Neill DG, Gunn-Moore D, Sorrell S, et al. Commonly diagnosed disorders in domestic cats in the UK and their associations with sex and age. J Feline Med Surg. 2023;25(2). doi:10.1177/1098612X231155016(同じ記録システムを使った猫全体18,249頭の研究)
- O’Neill DG, Romans C, Brodbelt DC, et al. Persian cats under first opinion veterinary care in the UK: demography, mortality and disorders. Sci Rep. 2019;9:12952. doi:10.1038/s41598-019-49317-4(ペルシャ3,235頭の研究。比較のため)
- Ragdoll|The Cat Fanciers’ Association(米国の猫の登録団体による猫種の解説。頭・鼻・目・被毛・3つのパターン・発色の時期)
- Colorpoint Restriction|Veterinary Genetics Laboratory, UC Davis(ポイントの毛色と青い目をつくる遺伝子の解説)
- Respiratory Infections|Cornell Feline Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine(猫ヘルペスウイルス・カリシウイルスの感染率と再活性化)
- Guideline for Feline Herpesvirus Infection|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases)
- Eye Discharge (Epiphora) in Cats|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。原因と自宅ケア)
- Tear Staining in Dogs|MedVet(米国の動物病院グループ。ポルフィリンについての解説)
- Persian – Brachycephaly|UFAW(英国の動物福祉団体。涙で濡れ続けることによる皮膚への影響)
- 2025年最新版!「猫の名前&猫種ランキング」|アニコム損害保険(2024年2月〜2025年1月に新規契約した0歳の猫56,111頭の集計)
- FDA warns makers of unapproved tear stain products|AVMA / JAVMA News, 2014
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛猫の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の猫に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
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【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。