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  • チンチラの涙やけ|「白いから目立つ」と「顔のつくり」は別の話です

    日差しの中で青いボールを抱えて横になるチンチラ
    この記事について

    現時点では個人的に感じた感想や意見はまだ記載しておりません!

    海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!

    これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!

    こんな人にオススメな内容
    • チンチラの白い毛が、目の下だけ赤茶色に染まっている
    • 鼻はそこまで低くないのに、涙やけが続いている
    • 白い毛を白く戻したくて、漂白や「白くなる」製品を検討している
    • 黒目に茶色や黒っぽい点・膜のようなものがある
    1. チンチラは猫種名ではなく、ペルシャの毛色です
    2. 白い毛は「なりやすい」ではなく「目立ちやすい」
    3. 同じチンチラでも、鼻の高さには幅があります
    4. 鼻が低くない子の涙やけは、別の原因を先に疑ってください
    5. 白い毛の子ほど、黒目を見てください
    6. 受診の目安チェックリスト
    7. 自宅でできること
    8. CLEAR WATER を使う場合の手順
    9. やってはいけないこと
    10. よくある質問
    11. まとめ
    12. 参考文献
    13. 免責事項

    チンチラの白い毛が、目の下だけ赤茶色に染まっている。せっかくの白さなのに、そこばかり目につく。白く戻す方法を探して、このページにたどり着いた方に向けて書いています。

    チンチラの涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。

    「白いから目立つ」と「顔のつくりで涙があふれる」は、別の話です。 チンチラは、この2つが重なりやすい猫です。だからこそ、分けて考えないと、着色を消すことばかりに気持ちが向いて、涙があふれている理由を見落とします。

    海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。

    先に結論だけお伝えします。

    • チンチラは猫種名ではなく、ペルシャの毛色 です。米国の猫の登録団体(CFA)の審査基準では、ペルシャの「シルバー&ゴールデン部門」にチンチラシルバーとチンチラゴールデンが載っています。顔の基準はペルシャと同じです
    • 白い被毛は「なりやすい」のではなく 「目立ちやすい」 が正確です。着色に関わるとされる物質は、毛色に関係なく涙に含まれています
    • 同じチンチラでも、鼻の高さには幅があります。 CTの研究では、鼻先が下まぶたより高い段階から、涙の通り道と犬歯の根の距離が約1mmまで縮んでいました。鼻が低くない子は、顔のつくり以外の原因を先に確認する価値があります
    • ショーに来たペルシャ76頭では、32%にまぶたの巻き込み があり、巻き込みは流涙と関連していました
    • 黒目に 茶色〜黒っぽい斑 があれば、汚れではなく「角膜分離症」の可能性があります。白い毛の子ほど、着色より先に黒目を見てください

    チンチラは猫種名ではなく、ペルシャの毛色です

    ぬいぐるみを抱えて伏せるシルバーのチンチラ

    日本では「チンチラ」という名前で親しまれていますが、CFAの審査基準では、チンチラはペルシャの7つの毛色部門のひとつ「シルバー&ゴールデン部門」に含まれます。載っているのは、チンチラシルバー、シェーデッドシルバー、チンチラゴールデン、シェーデッドゴールデンの4つです。英国の猫の登録団体(GCCF)も、ペルシャの審査基準(2021年7月版)の中に「チンチラ」の項を設けています。

    CFAの基準は、チンチラシルバーの被毛を「アンダーコートは純白。背中・脇腹・頭・尾の毛先が黒く色づき、きらめくような銀色に見える」と記述し、「目の縁、唇、鼻の縁は黒く縁取られる」、鼻鏡はレンガ色、目は緑または青緑と定めています。チンチラゴールデンは、アンダーコートが淡い蜂蜜色〜アプリコット色になるだけで、黒い縁取りは同じです。

    一方、顔の基準はペルシャと共通です。鼻は「短く、上向きで、幅広く、目と目の間の中央に鼻の付け根のくぼみ(ブレイク)がある」、目は「大きく、丸く、いっぱいに開き、離れてついている」。つまり、涙があふれる仕組みは、ペルシャの記事に書いたことがそのまま当てはまります。

    あわせて読みたい ペルシャの涙やけ|涙が重力に逆らう顔のつくりと、黒目の茶色いサイン →

    短毛のペルシャであるエキゾチックショートヘアの記事も、顔のつくりの話は共通です。

    あわせて読みたい エキゾチックショートヘアの涙やけ|毛が短くても、顔のつくりはペルシャです →

    そのうえで、チンチラならではの点が2つあります。白い毛であること と、鼻の高さに幅があること です。順に書きます。

    白い毛は「なりやすい」ではなく「目立ちやすい」

    カーペットに顎をつけてこちらを見る白いチンチラ

    米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説は、猫の流涙のサインとして「目の下の毛の赤茶色の着色」を挙げています。着色に関わるとされるのはポルフィリンという物質で、米国の動物病院グループの解説によれば、鉄を含む分子が分解される過程でつくられ、涙のほか唾液や尿からも排出されます。毛色に関係なく、涙に含まれています。

    つまり、ブラックやブルーの猫の目の下でも、同じことが起きています。見えないだけです。チンチラの場合、アンダーコートが純白で、毛先だけが黒いので、涙で濡れた毛の色の変化が そのまま見えます。

    ここで、CFAの基準をもう一度思い出してください。チンチラは 「目の縁、唇、鼻の縁が黒く縁取られる」 猫です。これは色素で、汚れではありません。目の縁の黒さを涙やけと勘違いして、こすり落とそうとしないでください。着色は「毛」に起きるもので、「皮膚の縁の黒さ」は生まれつきのものです。

    白い毛には、ひとつ良い面もあります。涙の変化に、いちばん早く気づける猫だということです。 濃い色の猫では、皮膚がただれるまで気づかれないことがあります。チンチラなら、濡れた跡が広がった、色が濃くなった、片目だけ目立ってきた、という変化が見えます。着色を「消すべきもの」ではなく 「読むべきサイン」 として使ってください。

    同じチンチラでも、鼻の高さには幅があります

    鼻が低すぎない、ドールフェイスタイプのチンチラ

    チンチラには、鼻が低すぎない、いわゆるドールフェイス(トラディショナル)のタイプから、ショータイプの平らな顔まで幅があります。涙やけを考えるうえで、これがいちばん大きな違いになります。

    ドイツとオーストリアのチームが、短頭の猫31頭(ペルシャ27頭・エキゾチックショートヘア4頭)と普通の顔の猫15頭の頭をCTと解剖で調べた研究(2009年)では、短頭の度合いを4段階に分け、涙の通り道の起点(涙嚢)から上あごの犬歯の根までの距離を測っています。

    段階顔の特徴涙嚢から犬歯の根までの距離
    普通の顔—約5mm
    I(軽度)上の犬歯がほぼ垂直約2mm
    II(中等度)犬歯とあごが上向きに回転し始めている約2mm
    III(高度)鼻先が下まぶたより高い位置にある約1mm
    IV(重度)上の犬歯がほぼ水平根が涙嚢に接している

    出典:Schlueter らの研究(2009年)

    普通の顔の猫では、涙の通り道は硬口蓋と平行に、水平に走ります。顔が平らになるほど通り道は短く急になり、もっとも重い例では 犬歯の下をくぐるV字 を描いていました。著者らは、この排出の妨げが流涙を招くと考えられる、流涙は短頭の猫で顕著かつ頻繁にみられる徴候である、と結論づけています。

    大事なのは、段階IIIの定義が「鼻先が下まぶたより高い位置にある」だということ です。愛猫を横から見てください。

    • 鼻の上端が下まぶたより上にある:段階III以上。涙の通り道は約1mmまで押され、涙は坂を上らされています。ペルシャの記事に書いた「重力に逆らう涙」の話が、そのまま当てはまります
    • 鼻の上端が下まぶたより下にある:段階I〜II。距離は約2mmで、普通の猫の約5mmよりは短いものの、坂はゆるやかです。この子の涙やけは、顔のつくり以外の原因を先に確認する価値があります(次の章)

    この違いは、研究の数字にも表れています。ドイツの繁殖クラブのペルシャ69頭をCTで調べた研究(2021年)では、両目に涙やけのあった21頭は、なかった48頭より 頭が短く幅広い という結果でした。スウェーデンのキャットショーに来たペルシャ・エキゾチック76頭を診察した研究(2021年)では、93%が鼻の上端が下まぶたより上 にあり、83%に流涙 がありました。ショーに来る猫は、平らな顔の側に寄っています。

    英国の動物福祉団体(UFAW)は、これから猫を迎える人に対して、福祉の観点から 自然な頭の形の猫を選ぶほうがよい と書いています。鼻が低すぎないチンチラは、その意味で恵まれた側にいます。

    鼻が低くない子の涙やけは、別の原因を先に疑ってください

    顔のつくりで説明がつかない涙やけには、確認すべき原因があります。猫では、犬以上にここが大事です。

    1つ目は、感染症です。 猫の涙やけは、ヘルペスウイルスやクラミジアなどの感染症が背景にあることが少なくありません。片目から始まる目やに、くしゃみ・鼻水をともなう、1歳未満、というのがそのサインです。子猫のときの重い感染が、涙の出口をふさいでしまうこともあります。ここは猫の記事に詳しく書いています。

    あわせて読みたい 猫の涙やけの原因|感染症のサインと受診の目安を解説 →

    2つ目は、まぶたの巻き込み(眼瞼内反)です。 スウェーデンの76頭では、32%にまぶたの巻き込み があり、巻き込みは流涙と関連していました。 巻き込んだまぶたは涙の出口をふさぎ、毛を角膜に当てます。鼻の高さに関係なく起きます。まぶたの縁が内側に巻き込んで見える、目を細める、片目だけ涙が多い、といったときは、ここを診てもらってください。

    3つ目は、目の周りの毛です。 VCAの解説は、猫の流涙の原因のひとつとして、目の周りの毛が涙の出口(涙点)の入口を物理的にふさぐことを挙げています。チンチラは長毛です。目頭の毛が涙を吸い上げ、出口をふさぎ、乾きません。

    動物病院では、フルオレセインという色素を目に入れて、数分以内に鼻の穴から出てくるかを見る検査で、涙の通り道が働いているかを確認できます。VCAの解説では、通り道が正常なら色素は数分で鼻に現れる、とされています。「体質」と決める前に、この検査を受ける価値があります。

    鼻が「ほどほど」に短いスコティッシュフォールドの記事でも、同じ順番——感染症・まぶた・毛・涙の通り道——で確かめています。

    あわせて読みたい スコティッシュフォールドの涙やけ|鼻は「ほどほど」に短い。だから原因を決めつけない →

    白い毛の子ほど、黒目を見てください

    着色に目が行くチンチラだからこそ、お伝えしたいことがあります。涙やけを見るたびに、黒目の色も一緒に見てください。

    猫には、犬にはほとんどない角膜の病気があります。角膜分離症(コーニアル・シークエストラム) です。米国獣医眼科専門医協会(ACVO)の解説では、角膜の一部が壊死して 黄褐色から濃い茶色・黒の斑 として見える病気で、ペルシャ、ヒマラヤン、バーミーズが好発猫種として挙げられています。誘因は、角膜の外傷、眼瞼内反、猫ヘルペスウイルスです。治療せずにおくと、角膜の深い感染、角膜の穿孔(穴があくこと)、眼球の摘出に至ることがあると書かれています。

    フランスの眼科専門施設に来た猫1,161頭の記録を調べた研究(2022年)では、角膜分離症の猫28頭のうち 14頭がペルシャ でした(診断時の年齢の中央値は6.7歳)。

    そして、ペルシャの角膜は鈍い。米国の研究(2001年)で、普通の短毛の猫50頭とペルシャ13頭・ヒマラヤン7頭の角膜の感覚を知覚計で比べたところ、角膜の中央で反応が出るまでに必要な刺激の強さは、ペルシャ・ヒマラヤンで約2倍 でした。毛が角膜に触れても、傷ができても、反応が遅れます。痛がらないことは、無事の根拠になりません。

    白い毛の子は、目の下の着色が目立つぶん、そちらばかり見てしまいます。黒目に茶色い点を見つけたとき、「汚れが飛んだ」と思って拭かないでください。拭いて取れないものは、受診してください。

    受診の目安チェックリスト

    ひとつでも当てはまれば、動物病院にご相談ください。痛がっているかどうかで判断しないでください。

    • 黒目に茶色〜黒っぽい斑や膜のようなものがある、広がってきた
    • 白目が充血している
    • 角膜が白っぽく濁っている、もやがかかって見える
    • 目を細めている、まばたきが増えた
    • 目頭から白い膜(第三眼瞼)が出ている
    • まぶたの縁が内側に巻き込んで見える
    • 片目だけに症状が出ている、片目だけ着色が濃くなってきた
    • 急に涙の量が増えた、濡れた跡の範囲が広がってきた
    • 目やにが粘り気を帯びてきた、黄色〜緑色の膿のような目やにが出る
    • くしゃみ、鼻水をともなう
    • 1歳未満で涙・目やにが続いている
    • 目の下や鼻のくぼみの皮膚が赤い、ただれている、においがする、毛が抜けている
    • 前足で目をこする、床や家具に顔をこすりつける

    自宅でできること

    ボールを前足で押さえて横になるチンチラ

    原因の診断がついている、あるいは受診したうえで経過を見ている——その前提での話として書きます。

    確認できた自宅ケアは「拭く」「乾かす」「毛を短くする」の3つです。 着色を消すためではなく、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものと考えてください。VCAの解説でも、目の周りを清潔に乾いた状態に保ち、たまった汚れを取り、目の周りの毛を短くすることが挙げられています。

    猫では、犬以上に やり方そのもの が大事になります。

    • 無理に押さえつけないこと。 顔まわりを強く保定されることは、猫にとって強いストレスです。そしてストレスはヘルペスウイルスの再活性化のきっかけになります。嫌がる日はやめる、が正解です
    • 1回を短く。 数秒で終わらせて、あとはごほうび。回数を分けるほうが続きます
    • 目に液体が入らないよう、目頭から外側へ。 こするのではなく、湿らせてふやかしてから押さえるように。目が前に出ている子は、コットンの端が角膜に触れないよう、目から離れたところから始めてください
    • 拭いたあとに乾かすところまでが1セット。 濡れたまま置くと、着色より先に皮膚が荒れます

    チンチラならではの点が2つあります。

    1つ目は、白い毛を「白くしよう」としないことです。 すでに色のついた毛は元に戻りません。生え変わりを待つしかなく、お手入れでできるのは これ以上濃くしない ことだけです。白くする目的で強い成分を使うと、目と皮膚を傷めます(次の章に書きます)。

    2つ目は、毛です。 チンチラは長毛で、目頭の毛が涙を吸い上げます。目頭の毛は、トリマーか動物病院で短く整えてもらってください。角膜が鈍く、目が出ている猫で、自分でハサミを使うのは避けてください。そのうえで、拭いたあとに目の周りの毛をコームで整え、毛の流れの中に湿った部分が残らないようにします。鼻の付け根のくぼみにも涙がたまるので、軽く広げて内側まで乾かしてください。

    濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。

    あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →

    CLEAR WATER を使う場合の手順

    当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、次の手順です。

    1. コットンを指先大にちぎる
    2. ひたひたになるまでスプレーする
    3. 猫の顔に直接スプレーしない。 コットンに含ませてから使う
    4. コットンを軽く絞りながら、目から離れたところから、目の周りと鼻のくぼみを優しく押さえるように拭く
    5. 清潔なコットンで水気を拭き取り、コームで毛を整えて、根元とくぼみの内側まで乾いた状態にする
    6. 嫌がるようなら中断し、日を改める

    着色を消すための工程ではありません。 涙が付着している時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。だからこそ、今ある色が薄くなるのを待つのではなく、これ以上濃くしないために続けます。 白い毛のチンチラでは、拭かなかった日のぶんだけ、新しい着色がそのまま見えます。

    ただし、繰り返しになりますが、黒目の斑や濁りは、拭いても変わりません。 お手入れと受診は、別の話として両方してください。

    やってはいけないこと

    白い毛の猫の飼い主さんが、いちばん手を出しやすいものから書きます。

    過酸化水素(オキシドール)や漂白成分を含む製品を、目の周りに使わないでください。 VCAの解説が、目に入れば重い損傷を起こすと明確に警告しています。「白くなる」ことと引き換えにしていいものではありません。

    「白くなる」と謳うサプリには注意が必要です。 2014年8月、米国の食品医薬品局(FDA)は涙やけ製品を販売する3社に警告書を発出しました。一部の製品にタイロシン酒石酸塩という抗菌性物質が含まれていたためです。FDAは、タイロシンは犬・猫のいかなる用途にも承認されていないと明言しています。より大きな問題は、原因を診断しないまま着色だけを消してしまうと、角膜の異常という見逃してはいけないサインを覆い隠してしまう ことです。

    目の縁の黒い色素を、汚れと思ってこすらないでください。 チンチラの目の縁、唇、鼻の縁が黒いのは、審査基準にも書かれている生まれつきの色素です。

    黒目の茶色い斑を「汚れ」や「年のせい」と決めないでください。 角膜分離症は、放置すれば角膜に穴があくことがある病気です。拭いて取ろうとせず、受診してください。

    目のすぐそばを、自分でハサミやバリカンで触らないでください。 角膜との距離が近く、傷ができても痛がりません。目頭の毛は、動物病院かトリマーにお願いしてください。

    他の猫に処方された目薬を使い回さないでください。 猫の目の病気ではステロイドを含む薬が症状を悪化させることがあり、獣医師の管理下で使うべき薬とされています。人間用の目薬も同じです。

    犬用の製品を、成分を見ずに猫へ使わないでください。 猫は精油に含まれるフェノール類を分解する酵素を欠いており、犬では問題にならない成分が猫では問題になります。犬猫兼用と書かれていても、成分表示を確認してください。

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    無理に押さえつけて毎日拭かないでください。 猫にとってのストレスは、ヘルペスウイルスを再び目覚めさせる引き金のひとつです。よかれと思ったお手入れが、原因を悪化させることがあります。

    よくある質問

    Q. チンチラは涙やけになりやすい猫種ですか?

    チンチラは猫種ではなく、ペルシャの毛色(チンチラシルバー・チンチラゴールデン)です。顔のつくりはペルシャと同じ基準で作られていて、鼻が低い子ほど涙の通り道が坂道になり、涙があふれやすくなります。加えて、白い被毛は着色が目立ちます。「なりやすい」と「目立ちやすい」の両方が重なった猫 だと考えてください。

    Q. 白い毛だから涙やけになりやすいのですか?

    白い毛は「なりやすい」のではなく 「目立ちやすい」 が正確です。着色に関わるとされる物質は毛色に関係なく涙に含まれ、濃い色の子でも同じことが起きています。見えているかどうかの違いです。逆に言えば、チンチラは涙の変化に早く気づける猫です。

    Q. 鼻はそこまで低くないのに、涙やけが続いています。

    鼻が低くない子では、顔のつくり以外の原因を先に確認する価値があります。猫の涙やけは感染症が背景にあることが少なくなく、片目から始まる目やに、くしゃみ・鼻水、1歳未満はそのサインです。ショーに来たペルシャ76頭の32%にはまぶたの巻き込みがあり、巻き込みは流涙と関連していました。目の周りの毛が涙の出口をふさいでいることもあります。動物病院では、色素を目に入れて鼻に抜けるかを見る検査で、通り道が働いているかを確認できます。

    Q. 黒目に茶色い点があります。汚れですか?

    汚れではない可能性があります。猫に特有の「角膜分離症」は、角膜の一部が壊死して黄褐色〜黒の斑として見える病気で、ペルシャは好発猫種です。フランスの眼科専門施設の記録では、この病気の猫28頭のうち14頭がペルシャでした。放置すると角膜に穴があくこともあります。拭いて取ろうとせず、受診してください。

    Q. 白い毛を白く戻す方法はありますか?

    すでに色のついた毛は元に戻りません。生え変わりを待つしかなく、できるのは 「これ以上濃くしない」 ことです。過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使うことは、VCAが明確に警告しています。「白くなる」と謳うサプリには、FDAが警告書を出した抗菌性物質を含むものがありました。

    Q. フードを変えれば涙やけは減りますか?

    通常のキャットフードが涙やけを引き起こすことを示した対照試験は、確認できませんでした。チンチラの場合、鼻の高さ・眼球の位置・まぶた・感染症という、診察で確認できる原因から順に見ていくのが筋です。フードの見直しは、獣医師が原因を絞り込んだうえでの選択肢です。

    まとめ

    • チンチラは猫種名ではなく ペルシャの毛色。CFAの基準ではペルシャの「シルバー&ゴールデン部門」。顔の基準はペルシャと同じで、涙があふれる仕組みも同じ
    • 白い毛は 「なりやすい」ではなく「目立ちやすい」。着色に関わる物質は毛色を問わず涙に含まれる。目の縁の黒い縁取りは生まれつきの色素で、汚れではない
    • 同じチンチラでも 鼻の高さに幅がある。鼻の上端が下まぶたより上なら、涙の通り道は約1mmまで押されている。下なら約2mmで、坂はゆるやか
    • 鼻が低くない子の涙やけは、感染症・まぶたの巻き込み・目の周りの毛 を先に疑う。ショーに来た76頭の32%にまぶたの巻き込みがあり、流涙と関連していた。色素の検査で通り道の働きを確認できる
    • 白い毛の子ほど 黒目を見る。茶色〜黒い斑は角膜分離症の可能性。ペルシャの角膜は鈍く、痛がらない
    • 自宅でできるのは「拭く・乾かす・毛を短くする」。白くしようとしない。 漂白成分・過酸化水素・「白くなる」サプリは目と皮膚を傷め、サインを覆い隠す
    • 着色は「消すべきもの」ではなく 「読むべきサイン」。片目だけ濃くなった、範囲が広がった、という変化を受診の目安にする

    白い毛の涙やけは、飼い主さんの目に毎日入ります。だからこそ、消すことより先に、なぜ涙があふれているのかを確かめてください。黒目に茶色い斑を見つけたら、涙やけとは切り離して受診してください。

    参考文献

    • Persian Breed Standard|The Cat Fanciers’ Association(米国の猫の登録団体の審査基準。シルバー&ゴールデン部門のチンチラシルバー・チンチラゴールデンの記述)
    • Persian (PER) Standard of Points, July 2021|GCCF(英国の猫の登録団体の審査基準。チンチラの項を含む)
    • Schlueter C, Budras KD, Ludewig E, et al. Brachycephalic feline noses: CT and anatomical study of the relationship between head conformation and the nasolacrimal drainage system. J Feline Med Surg. 2009;11(11):891-900. doi:10.1016/j.jfms.2009.09.010(短頭31頭〈ペルシャ27頭・エキゾチック4頭〉・普通15頭の比較)
    • Sieslack J, Farke D, Failing K, Kramer M, Schmidt MJ. Correlation of brachycephaly grade with level of exophthalmos, reduced airway passages and degree of dental malalignment in Persian cats. PLoS ONE. 2021;16(7):e0254420. doi:10.1371/journal.pone.0254420(ドイツの繁殖クラブのペルシャ69頭をCTで調べた研究)
    • Anagrius KL, Dimopoulou M, Moe AN, Petterson A, Ljungvall I. Facial conformation characteristics in Persian and Exotic Shorthair cats. J Feline Med Surg. 2021;23(12):1089-1097. doi:10.1177/1098612X21997631(スウェーデンのキャットショーに来たペルシャ64頭・エキゾチック12頭を診察した研究)
    • Bott MMP, Chahory S. Epidemiology and clinical presentation of feline presumed hereditary or breed-related ocular diseases in France: retrospective study of 129 cats. J Feline Med Surg. 2022;24(12):1274-1282. doi:10.1177/1098612X221080598(フランスの眼科専門施設に来た猫1,161頭の記録。2013〜2017年)
    • Blocker T, van der Woerdt A. A comparison of corneal sensitivity between brachycephalic and Domestic Short-haired cats. Vet Ophthalmol. 2001;4(2):127-130. doi:10.1046/j.1463-5224.2001.00189.x(普通の猫50頭とペルシャ13頭・ヒマラヤン7頭の角膜の感覚の比較)
    • Corneal Sequestrum|ACVO Public(米国獣医眼科専門医協会の飼い主向け解説)
    • Persian – Brachycephaly|UFAW(英国の動物福祉団体による猫種別資料)
    • Eye Discharge (Epiphora) in Cats|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン)
    • Tear Staining in Dogs|MedVet(米国の動物病院グループ。ポルフィリンについての解説)
    • Guideline for Feline Herpesvirus Infection|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases)
    • FDA warns makers of unapproved tear stain products|AVMA / JAVMA News, 2014

    免責事項

    本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛猫の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の猫に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。

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    記事執筆者・監修者

    西尾 亮佑 西尾 亮佑
    西尾 亮佑

    【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。

    その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。

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