猫の口臭の原因|歯周病・歯が溶ける病気・口内炎・腎臓病。猫は痛みを隠します
- この記事について
現時点では個人的に感じた感想や意見はまだ記載しておりません!
海外の獣医学的に猫の口臭をどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!
これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!
- こんな人にオススメな内容
-
- 愛猫の口が、前より明らかにくさくなった
- よだれが増えた、口を気にする、食べ方が変わった
- 「猫は歯磨きできないから」で止まっている
- シニア猫で、においが変わってきた気がする
- 猫の口臭の正体も、いちばん多いのは歯周病です
- 猫だけの病気:歯が根元から溶ける「吸収病巣」
- 強い口臭とよだれ:慢性歯肉口内炎
- 口の外から来る口臭:腎臓病、糖尿病、肝臓
- 口の中のできもの
- 猫は痛みを隠します:口臭以外のサイン
- 受診の目安チェックリスト
- 動物病院では何をするのか
- 自宅でできること
- CLEAR DENTAL を使う場合の手順
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
愛猫の口が、前より明らかにくさい。抱き上げたときにふっとにおう。「猫は歯磨きできないし」で止まっている——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
猫の口臭について、最初にお伝えしたいことがあります。
猫は口の痛みを隠します。だから、口臭が最初のサインになります。 猫の口には、犬にはない病気がいくつもあります。歯が溶ける病気、免疫が暴走する口内炎、そして口の外から来る腎臓病。においを消す前に、においが何を伝えているかを確かめてください。
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 英国の一次診療1万8,249頭の記録では、猫の あらゆる病気の中でいちばん多く記録されたのが歯周病(15.2%) でした。12〜15歳は3歳未満の7.36倍です
- 猫には 歯が根元から溶ける「吸収病巣」 があり、30〜70%の猫に何らかの兆候があるとされています。強い痛みがあるのに、レントゲンなしには見えません
- 強い口臭とよだれ、口の痛み がそろうなら、慢性歯肉口内炎の可能性があります。3〜5%の猫に兆候があるとされ、歯磨きで対処できる段階ではありません
- 口の外から来る口臭もあります。アンモニア臭は腎臓病、甘いにおいは糖尿病。 猫の腎臓病は10歳を超えると30〜40%以上とされ、歯周病のある猫は腎臓病を1.92倍持っていました
- 自宅でできる中心は 毎日の歯磨き ですが、猫では「無理に口を開けない」が前提です。フードや水にかけるところから段階を踏んでください
猫の口臭の正体も、いちばん多いのは歯周病です

コーネル大学の猫の健康センターは、猫の口臭についてこう書いています。「口臭に関わる問題として、群を抜いて多いのが歯周病である。」 歯垢がたまり、歯ぐきが炎症を起こし、歯を支える組織と骨が失われていく病気です。
どのくらいの猫に起きているのか。
英国の一次診療施設の記録(VetCompass)から、2019年に診療を受けた猫125万5,130頭のうち1万8,249頭を抽出して調べた研究(2023年)があります。結果は、歯周病が15.2%で、猫のあらゆる病気の中でいちばん多く記録された病気 でした。2位は肥満(11.58%)、3位は歯周病以外の歯の病気(9.23%)です。
年齢の影響は、犬以上にはっきりしています。
| 年齢 | 3歳未満と比べた確率 |
|---|---|
| 12〜15歳 | 7.36倍 |
| 15歳以上 | 7.89倍 |
出典:O’Neill らの研究(2023年)。歯周病のある猫の年齢の中央値は9.47歳、ない猫は4.94歳
猫種別では、シャム(18.7%)、メインクーン(16.67%)、ブリティッシュショートヘア(15.5%)が高めでした。去勢した雄は未避妊の雌の1.27倍です。
そして、この研究には見過ごせない結果がもうひとつあります。歯周病のある猫は、慢性腎不全を1.92倍持っていました。 因果関係を示した結果ではありませんが、口の中と腎臓が無関係ではないことは覚えておいてください。あとの章でもう一度触れます。
コーネル大学の別の解説では、4歳を超えた猫の50〜90%に何らかの歯の病気 があるとされています。「くさいのが普通」なのではなく、「病気がある猫が普通に多い」のです。
においの正体は、犬と同じです。歯ぐきの下にすみつく細菌が、たんぱく質に含まれる硫黄を含むアミノ酸を分解して、硫化水素とメチルメルカプタンという揮発性硫黄化合物を出します。口臭は「口がくさい」ことではなく、歯ぐきの下で細菌が組織を分解していることのサインです。
猫だけの病気:歯が根元から溶ける「吸収病巣」

ここからが、猫に特有の話です。
猫には、歯が根元から溶けていく「歯の吸収病巣」 という病気があります。コーネル大学の解説では、30〜70%の猫に何らかの兆候 があるとされ、歯肉炎、歯周炎とならんで猫の3大歯科疾患のひとつです。
問題は、見えないこと です。多くは歯ぐきの下、歯の根元から始まり、進むと歯の神経がむき出しになって強い痛みを出します。それでも、外から見える歯は一見きれいなことがあります。診断にはレントゲンが要り、レントゲンには麻酔が要ります。
だから、口臭以外の 食べ方の変化 が手がかりになります。コーネル大学の解説が挙げているのは、次のようなものです。
- 食べるときに 頭を不自然に傾ける
- 硬いフードを避けて、やわらかいものを好む
- 食べたそうにするのに、食べない
- よだれが増える
- 怒りっぽくなる(吸収病巣の猫に見られる)
このほか、口をカチカチ鳴らす、食べ物を落とす、といった変化も口の痛みのサインとして知られています。
「最近フードの好みが変わった」「食べ方が雑になった」が、実は歯の痛みだったということが起こります。治療は、溶けた歯の抜歯です。
強い口臭とよだれ:慢性歯肉口内炎

口臭が とても強く、よだれが多く、口を痛がる。この3つがそろうなら、歯周病とは別の病気を考えます。
慢性歯肉口内炎 は、歯ぐきと口の粘膜が激しく、慢性的に炎症を起こす病気です。コーネル大学の解説では、3〜5%の猫に兆候 があるとされています。原因は完全には分かっていませんが、免疫が歯垢に対して過剰に反応し、歯ぐきに激しい炎症を起こす と説明されています。猫免疫不全ウイルス(FIV)の感染や細菌の関与も挙げられ、ヨーロッパの猫の病気に関する専門家会議の手引きでは、猫カリシウイルスとの関連が指摘されています。
症状は、はっきりしています。
- 極端な口の痛み。 腫れ、潰瘍になり、出血する歯ぐき
- 食べたいのに食べられない、体重減少
- よだれの増加、よだれに血が混じる
- 強い口臭
- 前足で口をかく
コーネル大学の解説では、85%は口の中を見ただけで診断がつくとされています。治療は、免疫を抑える薬などの内科的な管理か、歯の抜歯です。全部の歯を抜く治療のあと、約60%の猫はそれ以上の薬を必要とせず、生活の質が高くなる と書かれています。
この病気は、歯磨きで対処できる段階ではありません。むしろ、痛い口を触られることで、猫は口のケア全般を拒むようになります。強い口臭・よだれ・痛みがそろったら、すぐに受診してください。
口の外から来る口臭:腎臓病、糖尿病、肝臓

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい内容です。においの種類が変わったとき、それは口の病気ではなく、体の病気のサインであることがあります。
コーネル大学の解説は、においの種類と病気の対応を、こう整理しています。
| においの種類 | 疑われるもの | 一緒に出やすいサイン |
|---|---|---|
| 尿、アンモニアのようなにおい | 腎臓病 | 水を飲む量と尿の量が増える、食欲が落ちる、やせる |
| 甘い、果物のようなにおい | 糖尿病 | 水を飲む量と尿の量が増える、食べているのにやせる |
| 強い腐敗臭に嘔吐をともなう | 肝臓の病気 | 白目や歯ぐきが黄色い、お腹がふくらむ、食欲が落ちる |
猫の場合、とくに 腎臓 です。ヨーロッパの猫の専門団体(ISFM)の手引き(2016年)によれば、猫の慢性腎臓病は 10歳を超えると30〜40%以上 に及ぶとされ、英国の研究では5歳以上の猫の死因でいちばん多く、13%を超えていました(死亡時の年齢の中央値は15歳)。腎臓の働きが落ちると、本来は尿に出るはずの尿素が血液にたまり、息が尿やアンモニアのようににおうことがあります。
先ほどの英国の研究で、歯周病のある猫が慢性腎不全を1.92倍持っていた、という結果を思い出してください。シニア猫の口臭は、口と腎臓の両方を疑う のが筋です。
大事なのは、においだけで判断しないこと です。表の右の列——飲水量、尿量、体重、食欲——を一緒に見てください。口臭に加えて右の列のどれかが当てはまるなら、歯科ではなく、血液検査と尿検査を含めた受診が先です。
口の中のできもの
獣医師向けの標準的な手引き(Merck Veterinary Manual)は、猫の口の悪性腫瘍でいちばん多いのは扁平上皮がん で、2番目が線維肉腫だとしています。症状は 口臭、食べたがらないこと、よだれの増加 で、できものは潰瘍になって出血しやすく、大きくなると顔が腫れます。猫の口の扁平上皮がんは、手術で取っても再発しやすく、予後は一般に不良 とされています。だからこそ、早い段階で見つける意味があります。
片側だけ強くにおう、口臭と一緒によだれや出血がある、顔の片側が腫れている。 このときは、歯周病と決めずに口の中を診てもらってください。診断には生検が必要です。
猫は痛みを隠します:口臭以外のサイン

猫は、痛みを表に出しません。口が痛くても、食べます。だから飼い主が気づくのは、口臭か、食べ方の小さな変化です。
コーネル大学の解説が、歯の病気のある猫に見られるものとして挙げているのは、口臭、よだれ、食べたがらない・食べられない、食べるときに頭を不自然に傾ける、やわらかいものを好む、怒りっぽくなる、です。慢性歯肉口内炎では、前足で口をかく、体重が減る、が加わります。
「年のせいで食が細くなった」「好みがうるさくなった」「最近よく隠れる」——その中に、口の痛みが混ざっていることがあります。口臭に気づいたら、食べ方と体重を一緒に見てください。
老猫で、毛づくろいが減って顎の下がよだれで汚れてきたときも、歯の痛みが隠れていることがあります。
あわせて読みたい 【猫21匹の飼い主】 老猫の体の汚れをドライシャンプーで優しくキレイに!老猫のシャンプーは「水で洗わない」が正解。やり方・頻度・選び方 →口以外のにおい(耳、お尻、皮膚)の嗅ぎ分けは、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 猫がくさいのは体からのサイン|口・耳・お尻・皮膚・毛づくろい、5か所の嗅ぎ分け →受診の目安チェックリスト

ひとつでも当てはまれば、動物病院にご相談ください。猫は痛がるそぶりを見せません。痛がっていないことを、様子見の理由にしないでください。
- 口臭が続いている、前より明らかに強くなった
- 歯ぐきが赤い、腫れている、出血している
- 歯に茶色〜黄色の歯石がついている
- よだれが増えた、よだれに血が混じる
- 食べるときに頭を傾ける、片側で噛む、食べ物を落とす
- 硬いフードを避ける、食べたそうにするのに食べない
- 口をカチカチ鳴らす、前足で口をかく、顔をこすりつける
- 怒りっぽくなった、触られるのを嫌がるようになった、隠れることが増えた
- 体重が減ってきた
- 口の中にできもの、腫れ、色の変わった部分がある。顔の片側が腫れている
- においの種類が変わった(アンモニア、甘い、腐敗臭)
- 水を飲む量と尿の量が増えた
- 食欲が落ちた、白目や歯ぐきが黄色い
動物病院では何をするのか
口の中の診察に加えて、麻酔をかけて歯科レントゲンを撮る ことが、猫ではとくに重要です。歯の吸収病巣は歯ぐきの下で進み、レントゲンでしか分かりません。コーネル大学の解説も、レントゲンによる評価には麻酔が必要だとしています。
治療は、麻酔のもとで歯ぐきの上と下の歯垢・歯石を取り、溶けた歯や重度の歯は抜歯します。慢性歯肉口内炎では、内科的な管理か抜歯を選びます。
口の外から来る口臭が疑われるときは、血液検査と尿検査で腎臓・肝臓・血糖を確認します。シニア猫では、口臭の相談が腎臓病の発見につながることがあります。
自宅でできること
自宅でできる対策の中心は、毎日の歯磨きです。 ここは、犬と同じです。コーネル大学の解説は、歯肉炎を防ぐいちばんの方法は歯磨きで歯垢を定期的に取り除くことだとし、理想は毎日としています。米国動物病院協会(AAHA)の手引きも、効果を得るためには毎日の歯磨きが必要だとしています。
ただし、猫では やり方そのもの が犬以上に大事です。コーネル大学の解説が勧めているのは、次のような始め方です。
- 無理に口を開けない。 優しく始めて、少しずつ
- ごほうびと結びつける。 歯磨きのあとに、その子の好きなことをセットにする
- 若いうちから。 子猫のほうが慣れやすい
- 猫用の歯磨きジェルやペーストを使う。 人間用は猫に有害になりうる
そして、猫では順番がいっそう要ります。
- 口臭が強い、よだれが多い、口を痛がる、歯石がある——この段階なら、先に受診してください。 慢性歯肉口内炎や吸収病巣があるなら、歯磨きは痛いだけで、口のケア全般を拒むようになります
- 受診して口の中が落ち着いたら、口を触られることに慣れる段階 を作ります。フードや水に味のするものを加える、指で歯に触れる、ガーゼで拭く
- そのうえで、小さな歯ブラシに移ります。目標は毎日です。ただし、嫌がる日はやめてください。口を触られること自体を嫌がるようになるのが、いちばん避けたいこと です
CLEAR DENTAL を使う場合の手順
当店の CLEAR DENTAL は犬猫兼用です。お使いの場合は、次の順番です。歯磨きの代わりではなく、歯ブラシに至るまでの段階として お使いください。
- フードやおやつ、飲み水にスプレーする。口を触らない段階から始められます
- 慣れてきたら、指にスプレーして歯に触れる。数秒で終わらせて、ごほうび
- ガーゼに含ませて、前歯から順に歯の表面を拭く
- 小さな歯ブラシに2〜3プッシュして磨く。ここが目標です。猫では奥歯の磨き残しが起きやすいので、届く範囲から
成分は、RO水、有機酸、乳酸、グレープフルーツ種子抽出物、マスティハ樹脂パウダー、フルボ酸です。研磨剤と防腐剤は使っていません。 精油・ハーブ系の成分も使っていません。猫は精油に含まれるフェノール類を分解する酵素を欠いているからです。犬も猫も歯磨き粉を吐き出せないので、最初から飲み込まれる前提で成分を決めています。
繰り返しになりますが、これは「歯磨きは要らない」という話ではありません。 そのことは別の記事にはっきり書いています。
あわせて読みたい 歯磨きをしなくて大丈夫!そんな犬猫の歯磨き商品はありません →歯石除去や抜歯のあとの、家での再開の順番は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 犬猫の歯石除去のあとのケア|せっかく取った歯石を、また付けないために最初の1か月でやること →やってはいけないこと
人間用の歯磨き粉を使わないでください。 コーネル大学の解説は、人間用の製品は猫に有害になりうると明記しています。猫は吐き出せず、飲み込みます。
犬用の製品を、成分を見ずに猫へ使わないでください。 猫は精油に含まれるフェノール類を分解する酵素を欠いており、犬では問題にならない成分が猫では問題になります。犬猫兼用と書かれていても、成分表示を確認してください。
あわせて読みたい 猫がいる家で、犬の肉球クリームを選ぶときに確認すべきこと →無麻酔の歯石取りを、治療の代わりにしないでください。 米国獣医歯科専門医協会(AVDC)は、麻酔をかけない犬猫では すべての歯の歯ぐきの下に器具を届かせることは不可能 で、見える面の歯石を取っても 健康への効果はほとんどなく、誤った達成感を与える と明記しています。猫では、歯の吸収病巣のようにレントゲンでしか分からない病気が多く、麻酔下の検査そのものに意味があります。 見える歯石だけ取っても、においは戻り、溶けている歯は見つかりません。
無理に押さえつけて磨かないでください。 猫にとって口を強く触られることは大きなストレスで、一度嫌なことと学習すると、その後のケア全般が難しくなります。嫌がる日はやめて、日を改めてください。
においを消して終わりにしないでください。 口臭を消す製品は、歯周病を止める製品ではありません。においが消えたぶん、サインが見えなくなります。
「魚のフードだから」「年のせい」で片づけないでください。 続く口臭、強くなる口臭、種類の変わった口臭は、それぞれ理由があります。とくにシニア猫のアンモニア臭は、腎臓のサインかもしれません。
よくある質問
Q. 猫の口臭は、どの猫にもあるものですか?
「くさいのが普通」ではありません。英国の一次診療1万8,249頭の記録では、猫のあらゆる病気の中でいちばん多く記録されたのが歯周病で、15.2%でした。コーネル大学の猫の健康センターは、口臭に関わる問題として歯周病が「群を抜いて」多いと書いています。口臭は、猫が隠している口の痛みについて、飼い主が最初に気づけるサインです。
Q. 歯が溶ける病気があると聞きました。口臭と関係ありますか?
猫に特有の「歯の吸収病巣」です。コーネル大学の解説では、30〜70%の猫に何らかの兆候があるとされています。歯の根元から溶けていく病気で、強い痛みがありますが、歯ぐきの下で進むためレントゲンなしには分かりません。口臭だけでなく、食べるときに頭を傾ける、食べ物を落とす、口をカチカチ鳴らす、といった食べ方の変化が手がかりです。
Q. 口臭がとても強く、よだれが多く、口を痛がります。
慢性歯肉口内炎の可能性があります。歯垢に対して免疫が過剰に反応し、歯ぐきと口の粘膜が激しく炎症を起こす病気で、コーネル大学の解説では3〜5%の猫に兆候があるとされています。極端な口の痛み、腫れて出血する歯ぐき、食べたいのに食べられない、体重減少、強い口臭が特徴です。歯磨きで対処できる段階ではありません。すぐに受診してください。
Q. アンモニアのようなにおいがします。歯周病ですか?
腎臓病の可能性があります。腎臓の働きが落ちると尿素が血液にたまり、息が尿やアンモニアのようににおうことがあります。猫の腎臓病は10歳を超えると30〜40%以上に及ぶとされ、英国の記録では歯周病のある猫は慢性腎不全を1.92倍持っていました。水を飲む量と尿の量が増えた、やせてきた、食欲が落ちた、というときは、歯ではなく血液検査を含めた受診が必要です。
Q. 猫の歯磨きは無理だと思っています。
毎日の歯磨きが理想であることは、どの情報源も一致しています。ただ、コーネル大学の解説も「無理に口を開けない」「ごほうびと結びつける」「若いうちから」と、猫に合った始め方を勧めています。フードや水に味のするものを加えるところから、指、ガーゼ、小さなブラシへと段階を踏んでください。口を触られること自体を嫌がるようになるのが、いちばん避けたいことです。
Q. 無麻酔の歯石取りで口臭は改善しますか?
おすすめできません。AVDCは、麻酔をかけない犬猫では、すべての歯の歯ぐきの下に器具を届かせることが不可能で、見える面の歯石を取っても健康への効果はほとんどない、と明記しています。猫では歯の吸収病巣のように、レントゲンでしか分からない病気が多く、麻酔下の検査そのものに意味があります。
まとめ
- 英国の一次診療では、猫のあらゆる病気の中で 歯周病がいちばん多い(15.2%)。12〜15歳は3歳未満の7.36倍。4歳を超えた猫の50〜90%に何らかの歯の病気
- 猫には 歯が根元から溶ける吸収病巣 があり、30〜70%に兆候。強い痛みがあるのにレントゲンなしには見えない。食べ方の変化が手がかり
- 強い口臭・よだれ・口の痛み がそろえば慢性歯肉口内炎。3〜5%。歯磨きの段階ではなく、すぐ受診
- 口の外の原因は 腎臓病(アンモニア臭)・糖尿病(甘いにおい)・肝臓。腎臓病は10歳超で30〜40%以上。歯周病のある猫は腎臓病を1.92倍。シニア猫の口臭は口と腎臓の両方を疑う
- 片側だけ、よだれや出血、顔の腫れ は口の中のできもの。猫の口の腫瘍でいちばん多い扁平上皮がんは予後が悪く、早い発見に意味がある
- 猫は痛みを隠す。口臭に気づいたら、食べ方と体重を一緒に見る
- 自宅でできる中心は毎日の歯磨き。ただし 無理に口を開けない、嫌がる日はやめる。フード・水→指→ガーゼ→小さなブラシ。炎症があるうちは先に受診
- 無麻酔の歯石取りを治療の代わりにしない。 猫では麻酔下のレントゲンそのものに意味がある
口臭は、消すものではなく読むものです。猫が隠している痛みと、体の中で起きていることを最初に教えてくれるのが、においです。
参考文献
- Bad Breath: Sign of Illness?|Cornell Feline Health Center(コーネル大学の猫の健康センター。口臭の原因とにおいの種類)
- Feline Dental Disease|Cornell Feline Health Center(同上。歯周病・吸収病巣・症状・歯磨き)
- Gingivostomatitis|Cornell Feline Health Center(同上。慢性歯肉口内炎)
- O’Neill DG, Blenkarn A, Brodbelt DC, Church DB, Freeman A. Periodontal disease in cats under primary veterinary care in the UK: frequency and risk factors. J Feline Med Surg. 2023;25. doi:10.1177/1098612X231158154(英国の一次診療1万8,249頭の記録)
- O’Neill DG, Gunn-Moore D, Sorrell S, et al. Commonly diagnosed disorders in domestic cats in the UK and their associations with sex and age. J Feline Med Surg. 2023;25. doi:10.1177/1098612X231155016(同じ記録から、猫の病気全体の頻度を調べた研究)
- Sparkes AH, Caney S, Chalhoub S, et al. ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease. J Feline Med Surg. 2016;18(3):219-239. doi:10.1177/1098612X16631234(ヨーロッパの猫の専門団体による慢性腎臓病の手引き)
- Oral Tumors in Small Animals|Merck Veterinary Manual(獣医師向けの標準的な手引き)
- 2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats|American Animal Hospital Association(米国動物病院協会)
- Companion Animal Dental Scaling Without Anesthesia|American Veterinary Dental College(米国獣医歯科専門医協会の見解、2004年採択)
- Guideline for Feline Calicivirus Infection|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases/ヨーロッパの猫の病気に関する専門家会議)
- Sordillo A, Casella L, Turcotte R, Sheth RU. A Novel Postbiotic Reduces Canine Halitosis. Animals. 2025;15:1596.(口臭と揮発性硫黄化合物についての背景の整理)
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛猫の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の猫に当てはまるとは限りません。口の痛みは食べられなくなることに直結します。強い口臭とよだれ、食べ方の変化があるときは、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
-
【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。