ウエスティの涙やけ|白い毛にかゆみとドライアイが重なる犬種です
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海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!
これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!
- こんな人にオススメな内容
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- ウエスティの白い顔の、目の下だけが赤茶色に染まっている
- 顔を床やソファにこすりつけるようになって、涙が増えた
- 目やにが粘るようになり、朝に目が開きにくそうにしている
- 皮膚のかゆみで通院中で、目の周りも赤い
- 手引きに載っている、ウエスティの目の病気
- 英国の記録:ドライアイの有病率は全犬種で2番目
- かゆみが涙を増やす:アトピー性皮膚炎
- 白いから目立ち、眉の毛が涙を受け止めます
- 涙点の閉鎖と、睫毛重生
- 水晶体脱臼と緑内障:涙やけとして様子を見てはいけない症状
- 日本では少ない犬種です
- 受診の目安チェックリスト
- 自宅でできること
- CLEAR WATER を使う場合の手順
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
ウエスティの白い顔の、目の下だけが赤茶色に染まっている。顔をこすりつけるようになって、涙が増えた。目やにが粘るようになった——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウエスティ)の涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。
ウエスティは、白い毛で目立つだけの犬種ではありません。 涙が「増える」理由(皮膚のかゆみ)と、涙が「減る」理由(ドライアイ)を、どちらも高い割合で持っています。そして、その2つは見た目が似ていて、対処は正反対です。
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 英国の一次診療の記録(犬36万3,898頭)では、ウエスティの ドライアイ(乾性角結膜炎)の有病率は2.21%。アメリカンコッカースパニエルに次いで、全犬種で2番目 に高い数字です
- ウエスティ6,605頭 を調べた英国の研究(2019年)では、皮膚のアレルギーの病気が6.5%、ドライアイが2.0%。米国の大学の犬の専門機関は、アトピー性皮膚炎になりやすい犬種にウエスティを挙げ、その症状に 「涙が増える、目が赤くなる」 を含めています
- ヨーロッパの獣医眼科専門医の団体(ECVO)の手引きには、ドライアイ(両目・4〜7歳・メスに多い)・睫毛重生・涙点の閉鎖・水晶体脱臼・緑内障 が「遺伝性が知られている、または推定される」病気として載っています
- 米国の標準は 「白い」被毛と「重い眉の下から見る」深く落ちくぼんだ目 を定めています。白いから目立ち、眉の毛が涙を受け止めます
- 日本では少ない犬種(2025年の登録416頭)。かゆみ・ドライアイ・涙点の3つを、診察で分けてもらうところから始めます
手引きに載っている、ウエスティの目の病気

ECVOが犬種ごとに遺伝性・好発の目の病気をまとめた手引きの2021年版で、ウエスティの項には、「遺伝性が知られている、または推定される」病気と、「報告あり」の病気が、次のように載っています。
| 分類 | 病気 | 涙やけとの関わり |
|---|---|---|
| 知られている・推定 | 乾性角結膜炎(ドライアイ)。両目、4〜7歳、メスに多い。家族性の素因 | 涙が減り、粘る目やにが増える |
| 知られている・推定 | 睫毛重生 | 生える場所の違うまつ毛が角膜に当たり、涙が増える |
| 知られている・推定 | 涙点の閉鎖 | 涙の出口が閉じていて、涙がこぼれ続ける |
| 知られている・推定 | 水晶体脱臼(3〜4歳) | 急な痛み・充血・涙。緊急 |
| 知られている・推定 | 緑内障(隅角の異常) | 急な痛み・充血・涙。緊急 |
| 知られている・推定 | 白内障(劣性遺伝が疑われる)、角膜ジストロフィー(8歳以上)、進行性網膜萎縮(4歳以上)、小眼球症、持続性瞳孔膜、水晶体の血管の遺残 | 涙やけとは直接関係しないが、眼科検診で見つかる |
| 報告あり | 硝子体の変性、網膜のひだ | 同上 |
「減る」理由(ドライアイ)、「増える」理由(睫毛重生)、「出ていけない」理由(涙点の閉鎖)が、そろっています。だから、この犬種の涙やけは、「拭き方」の前に「どれか」を診察で分けてもらうところから始まります。
犬の涙やけの原因の全体像と、動物病院での検査は、犬全体の記事にまとめています。
あわせて読みたい 犬の涙やけの原因は?海外の獣医学的な根拠と受診の目安を解説 →英国の記録:ドライアイの有病率は全犬種で2番目

英国の王立獣医大学(RVC)が一次診療の記録36万3,898頭を1年間追跡した研究(2021年)では、ドライアイ(乾性角結膜炎)の発生は犬全体で250頭に1頭(0.4%)でした。犬種別の有病率で見ると、ウエスティは2.21%(およそ45頭に1頭) で、アメリカンコッカースパニエル(5.90%)に次いで 全犬種で2番目 に高い数字でした。キャバリア(1.91%)、ラサ・アプソ(1.86%)、イングリッシュ・ブルドッグ(1.82%)より上です。
同じ研究チームが、ウエスティだけを対象に一次診療の記録を調べた研究(2019年、2016年に診療を受けたウエスティ6,605頭)でも、ドライアイは2.0% でした。この研究では、ウエスティの病気で多い順に、歯周病15.7%、外耳炎10.6%、爪の伸びすぎ7.2%、皮膚のアレルギーの病気6.5%、肥満6.1%。正式にアトピー性皮膚炎と診断されていたのは2.5%でした。寿命の中央値は13.4歳です。
ECVOの手引きは、ウエスティのドライアイを 「両目・4〜7歳・メスに多い」 と書いています。涙の水の部分が減ると、目の表面を守るために粘る目やにが増え、それが目の周りの白い毛に固まって、黄色〜茶色っぽく汚れます。涙やけと見た目が紛らわしいのに、中身は逆 です。ウエスティで、目やにが粘るようになった、毛に固まるようになった、朝に目が開きにくそう——そのときは、涙を「拭く」前に「測って」もらってください。涙の量を測るシルマー試験は数分で終わり、治療は涙を増やす点眼を 一生続ける ことになります。
あわせて読みたい キャバリアの涙やけ|涙が多いのではなく、足りなくなる犬種です →かゆみが涙を増やす:アトピー性皮膚炎

ウエスティといえば皮膚、と言われるほど、この犬種は皮膚の病気で知られています。米国の大学の犬の専門機関(コーネル大学)の解説では、アトピー性皮膚炎は犬全体の10〜15%が持つとされ、発症は 生後6か月〜3歳 が典型。なりやすい犬種として、ラブラドール、ゴールデン、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ジャック・ラッセル・テリア、ブルドッグ、ボストン・テリア、シー・ズーなどと、ミックス犬が挙げられています。
大事なのは、その症状の書き方です。アトピー性皮膚炎の犬は、肘の裏をかき、足をなめ、顔をこすりつけます。そして、耳の感染、目の 「涙が増える、目が赤くなる」 が起こる、と書かれています。
つまり、ウエスティの涙やけの一部は、目の病気ではなく、皮膚のかゆみの結果 です。かゆくて顔をこすれば、目の周りの皮膚が赤くなり、涙が増え、白い毛にそのまま跡がつきます。この場合、拭くだけでは止まりません。かゆみのほうの治療(外用薬、飲み薬、注射、アレルゲンの検査と減感作、ノミの予防)と同時に見ていく必要があります。
かゆみと涙やけが重なる犬種の話は、柴犬の記事にも書いています。見るところは同じです。
あわせて読みたい 柴犬の涙やけ|かゆみと緑内障、柴犬で先に確かめたい2つのこと →かゆみが春だけ強くなるなら、スギ花粉への反応を含めて、春の記事で確かめる順番を書いています。
あわせて読みたい 春の涙やけ|スギ・ヒノキ花粉、黄砂、換毛、新生活——2〜5月に涙が増える4つの候補と、確かめる順番 →白いから目立ち、眉の毛が涙を受け止めます

米国の標準(AKC、2024年改定)は、ウエスティの毛色を 「犬種名が示すとおり、白」 と定め、被毛を 「白いダブルコートで、硬く、耐候性があり、まっすぐで硬い上毛と、短く柔らかい下毛から成る」 としています。「少し小麦色の先端があっても、硬くまっすぐな被毛のほうが、柔らかい白い被毛より好ましい」とまで書かれている犬種です。
目については、「広く離れて、中くらいの大きさ、アーモンド形、濃い茶色で、深く落ちくぼむ。重い眉の下から見るその目が、鋭い表情を与える」。頭の毛は 「抜いて整え、顔を丸く縁取るように残す」 と定められています。
ここに、この犬種の涙やけの「見た目」の理由があります。
- 白いから目立つ。 涙に含まれる色素(ポルフィリン)は、どの犬の涙にも含まれますが、白い毛では隠れる場所がありません
- 重い眉の毛が、涙を受け止める。 深く落ちくぼんだ目の上に、硬い毛が張り出しています。目頭からこぼれた涙は、眉の毛と、顔を縁取る毛に吸われて、根元にたまります
- 硬い毛は、いちど汚れると落ちにくい。 色素は毛の表面ではなく、毛そのものに入ります
白い犬種の涙やけの見え方は、マルチーズの記事に詳しく書いています。目立つ理由は同じで、目の構造が違います。
あわせて読みたい マルチーズの涙やけ|白い毛で目立つ理由と、目頭のまぶたが巻き込む理由 →涙点の閉鎖と、睫毛重生
ECVOの手引きには、「遺伝性が知られている、または推定される」病気として、涙点の閉鎖 と 睫毛重生 も載っています。
涙は、目頭の上下のまぶたにある小さな穴(涙点)から鼻へ抜けていきます。この穴が生まれつき開いていない状態が、涙点の閉鎖です。見え方には特徴があります。子犬のころからずっと、片目に偏って、拭き方を変えても変わらない。目は赤くなく、痛がらず、目やにも粘らない。色素を目に入れて鼻に抜けるかを見る検査で確認でき、閉じている場合は開ける処置ができます。
睫毛重生は、まぶたの縁の分泌腺の出口からまつ毛が生えるもので、通常のまつ毛と同じ色なので見つけにくく、角膜に当たっていれば刺激で涙が増えます。目を細める、片目だけ涙が多い、まぶしがる——そのときは、まぶたの縁を診てもらってください。自分で抜かないでください。抜いても生え直しますし、まぶたを傷つけます。
片目だけの涙やけの見分け方は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 片目だけの涙やけ|左右差が教えてくれる、目・涙の通り道・歯・鼻の4つの原因 →水晶体脱臼と緑内障:涙やけとして様子を見てはいけない症状
ECVOの手引きには、ウエスティの病気として 水晶体脱臼(3〜4歳) と 緑内障(隅角の異常) が載っています。
水晶体脱臼は、目の中のレンズが本来の位置からずれる病気です。米国の大学の遺伝子検査機関(カリフォルニア大学デービス校)の解説では、「痛みをともなう遺伝性の目の病気で、炎症と緑内障を起こす」、徴候は 「水っぽく、赤く、涙の多い目」、治療しなければ 「急速に失明につながる」 とされています。
急な充血、急な涙、目を痛がる、角膜が白く濁る、瞳孔が開いたまま——この組み合わせは、涙やけの相談として様子を見る症状ではありません。当日中に受診してください。
日本では少ない犬種です
日本の登録団体(ジャパンケネルクラブ)の2025年の犬種別登録は、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは 416頭(141犬種中33位)でした。英国でも、この犬種は人気が下がっていて、先の研究では、年間の出生に占める割合が2004年の1.69%から2015年の0.43%に減っていました。
頭数が多くないぶん、日本語で「ウエスティの涙やけ」を調べても、確かめられる情報は限られています。だからこそ、犬種名ではなく、かゆみ・涙の量・涙点 の3つを、その子の目で分けてもらうことが大事になります。
受診の目安チェックリスト
当日中に受診してください。
- 急に片目が赤い、角膜が白っぽく濁っている、痛がっている
- 目を細めて、まぶたを固く閉じ気味にしている、まぶしがる
- 瞳孔が開いたままで、光に反応が鈍い
- 角膜の表面につやがなく、粘る目やにがついて、目を開けにくそうにしている
- 目の中や、まぶたの裏に異物や毛が見える
数日以内に受診してください。
- 粘り気のある黄色〜緑色の目やにが毎日出て、毛に固まる
- 目やにの性質が変わった(さらさら → 粘る)
- 顔をこすりつける、足をなめる、肘の裏をかく。目の周りの皮膚が赤い
- 片目だけ、子犬のころから涙が多い
- 目の周りの皮膚がじゅくじゅくしている、においがする
自宅でできること

確認できた自宅ケアは「拭く」「乾かす」「毛を整える」の3つです。 着色を消すためではなく、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものと考えてください。米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説でも、目の周りを清潔に乾いた状態に保ち、たまった汚れを取り、目の周りの毛を短くすることが挙げられています。
ウエスティで大事なのは、かゆみのある皮膚を、こすらないこと です。アトピー性皮膚炎の犬の目の周りは、こするほど赤くなります。
- 乾拭きで、涙そのものを先に取る。 濡れたもので先に拭くと、涙を薄めて広げます
- 湿らせて、毛の根元まで届く量で拭く。 表面だけ湿らせても、涙が残っているのは根元です
- 仕上げに乾拭きして、乾いた状態にする。 硬い上毛の下の、柔らかい下毛が乾きにくい場所です
拭き取りは、乾いた被毛をこするのではなく、湿らせて汚れをふやかしてから、力を入れずに押さえるように行います。目に液体が入らないよう、目頭から外側に向けて動かしてください。眉の毛と、顔を縁取る毛は、トリマーに相談して目にかからない長さに整えてもらうと、涙をためる場所が減ります。
粘る目やにが毛に固まっているときは、無理にはがさないでください。湿らせてふやかしてから、押さえて取ります。ただし、その目やにが毎日粘るなら、拭く前に涙を測ってもらう段階です。
濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →CLEAR WATER を使う場合の手順
当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、目を細めていない・充血していない ことを確かめてから、次の手順です。
- 乾いたコットンで、目の下の涙を先に押さえて取る
- コットンを指先大にちぎり、ひたひたになるまでスプレーする(顔に直接スプレーしない)
- コットンを軽く絞りながら、目頭から外側へ、毛の根元まで届くように優しく押さえて拭く。固まった目やには、ふやかしてから押さえて取る
- 清潔なコットンで水気を拭き取り、下毛の根元まで乾いた状態にする
- 皮膚が赤くただれている場所は、拭かずに受診する
着色を消すための工程ではありません。 涙が付着している時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。だからこそ、今ある色が薄くなるのを待つのではなく、これ以上濃くしないために毎日続けます。
ただし、繰り返しになりますが、かゆみ・ドライアイ・涙点の閉鎖・まつ毛は、拭いても変わりません。 お手入れと受診は、別の話として両方してください。
やってはいけないこと
粘る目やにを「涙やけの悪化」として拭き続けないでください。 ウエスティはドライアイの有病率が全犬種で2番目の犬種です。涙を測ってもらってください。
かゆみで赤くなった皮膚を、ごしごし拭かないでください。 アトピー性皮膚炎の皮膚は、こするほど悪化します。押さえて取る、が基本です。
急な充血・痛み・涙を、様子見しないでください。 水晶体脱臼と緑内障が載っている犬種です。当日中に受診してください。
内側を向いたまつ毛を、自分で抜かないでください。 抜いても生え直しますし、まぶたを傷つけます。
以前に処方された目薬を使い回さないでください。 角膜に傷がある状態でステロイドを含む目薬を使うと、治りが止まり、重い合併症を起こすことがあります。人間用の目薬も同じです。
過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使わないでください。 VCAの解説が、目に入れば重い損傷を起こすと明確に警告しています。白い毛を「漂白する」目的で使うのは、なおさらです。
「白くなる」と謳うサプリには注意が必要です。 2014年8月、米国の食品医薬品局(FDA)は涙やけ製品を販売する3社に警告書を発出しました。一部の製品にタイロシン酒石酸塩という抗菌性物質が含まれていたためです。FDAは、タイロシンは犬・猫のいかなる用途にも承認されていないと明言しています。より大きな問題は、原因を診断しないまま着色だけを消してしまうと、ドライアイやかゆみという見逃してはいけないサインを覆い隠してしまう ことです。
よくある質問
Q. ウエスティは涙やけになりやすい犬種ですか?
白い毛で目立つうえに、涙が「増える」理由と「減る」理由の両方を持つ犬種です。英国の一次診療の記録(犬36万3,898頭)では、ウエスティのドライアイ(乾性角結膜炎)の有病率は 2.21%で、全犬種で2番目 に高い数字でした。ウエスティ6,605頭を調べた別の研究では、皮膚のアレルギーの病気が6.5%、ドライアイが2.0%でした。コーネル大学の解説も、アトピー性皮膚炎になりやすい犬種としてウエスティを挙げ、症状に「涙が増える、目が赤くなる」を含めています。ECVOの手引きには、ドライアイ、睫毛重生、涙点の閉鎖が載っています。
Q. 顔をこすりつけるのと、涙やけは関係がありますか?
関係があります。コーネル大学の解説では、アトピー性皮膚炎の犬は顔をこすり、目には 「涙が増える、目が赤くなる」 が起こるとされています。発症は生後6か月〜3歳が典型です。かゆみでこすれば、目の周りの皮膚は赤くなり、涙も増え、白い毛にそのまま跡がつきます。この場合、涙やけは皮膚のかゆみの「結果」なので、拭くだけでは止まりません。皮膚のほうの治療と同時に見ていく必要があります。
Q. 目やにが粘るようになりました。
ドライアイを先に確かめてください。英国の記録では、ウエスティのドライアイの有病率は2.21%で、アメリカンコッカースパニエルに次いで全犬種で2番目でした。ECVOの手引きには、ウエスティのドライアイは 「両目・4〜7歳・メスに多い」 と書かれています。涙の水の部分が減ると、粘る目やにが増えて白い毛に固まり、黄色〜茶色に汚れます。涙やけと見た目が紛らわしいのに、中身は逆です。涙の量を測るシルマー試験で数分で分かり、治療は点眼を一生続けます。
Q. 片目だけ、子犬のころから涙が多いです。
涙点の閉鎖を確かめる段階です。ECVOの手引きには、ウエスティの「遺伝性が知られている、または推定される」病気として涙点の閉鎖が載っています。涙の出口が生まれつき開いていない状態で、子犬のころから、片目に偏って、拭き方を変えても変わらない、が特徴です。目は赤くなく、痛がらず、目やにも粘りません。色素を目に入れて鼻に抜けるかを見る検査で確認でき、閉じている場合は開ける処置ができます。
Q. 急に片目を痛がって、涙と充血が出ました。
当日中に受診してください。ECVOの手引きには、ウエスティの病気として 水晶体脱臼(3〜4歳)と緑内障 が載っています。水晶体脱臼は、目の中のレンズがずれる病気で、痛みと炎症、緑内障を起こし、放置すると急速に失明につながります。涙やけの相談として様子を見る症状ではありません。
Q. フードを変えれば涙やけは減りますか?
通常のドッグフードが涙やけを引き起こすことを示した対照試験は、確認できませんでした。ウエスティの場合、皮膚のアレルギー(アトピー性皮膚炎)が涙を増やしている可能性があるので、獣医師の診察のもとで食物アレルギーの除去試験を行うことはあります。それは「涙やけ用のフード」に変えることとは別の話です。順番は、かゆみと涙の量を診てもらってからです。
まとめ
- 英国の記録で ドライアイの有病率は2.21%、全犬種で2番目。ECVOの手引きは「両目・4〜7歳・メスに多い」。粘る目やには「涙が減った」を疑う
- ウエスティ6,605頭の研究で 皮膚のアレルギーの病気は6.5%。コーネル大学は、アトピー性皮膚炎の症状に 「涙が増える、目が赤くなる」 を含めている。かゆみが涙やけをつくる
- ECVOの手引きに 睫毛重生・涙点の閉鎖 も。子犬のころから片目なら涙点、目を細めるならまつ毛
- 水晶体脱臼(3〜4歳)・緑内障 が載っている犬種。急な充血・痛み・涙は当日中に
- 標準が定める 「白」の被毛と「重い眉」 が、目立たせ、涙をためる。眉と顔の縁取りの毛は目にかからない長さに
- 自宅でできるのは「拭く」「乾かす」「毛を整える」。拭いても、かゆみもドライアイも涙点も変わらない
ウエスティの涙やけは、白い毛のせいに見えて、その奥にかゆみと涙の量の話があります。こすっているなら皮膚を、粘るなら涙の量を、片目なら涙点を。順番はそこからです。
参考文献
- ECVO Manual: Breeds 2021 – West Highland White Terrier|European College of Veterinary Ophthalmologists(ヨーロッパの獣医眼科専門医団体による犬種別の遺伝性・好発眼疾患の手引き)
- O’Neill DG, et al. Keratoconjunctivitis sicca in dogs under primary veterinary care in the UK: an epidemiological study. J Small Anim Pract. 2021. doi:10.1111/jsap.13382(英国の一次診療の記録から犬363,898頭のドライアイを調べた研究。犬種別の有病率)
- More than one “dry eye” in the house: RVC research reveals certain dog breeds are more prone to eye disease|Veterinary Practice, 2021(上記研究の犬種別の数字についての報道)
- O’Neill DG, Ballantyne ZF, Hendricks A, Church DB, Brodbelt DC, Pegram C. West Highland White Terriers under primary veterinary care in the UK in 2016: demography, mortality and disorders. Canine Genet Epidemiol. 2019;6:7. doi:10.1186/s40575-019-0075-2(英国の一次診療の記録からウエスティ6,605頭の病気・寿命・人気の推移を調べた研究)
- Atopic Dermatitis (Atopy)|Riney Canine Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine(アトピー性皮膚炎の有病率、発症年齢、好発犬種、目の症状、治療)
- Primary Lens Luxation (PLL)|Veterinary Genetics Laboratory, UC Davis(水晶体脱臼の徴候、発症年齢、遺伝形式)
- Official Standard of the West Highland White Terrier(Approved February 13, 2024; Effective May 1, 2024)|American Kennel Club(米国の犬種標準。目・眉・被毛・毛色の定義)
- 犬種別犬籍登録頭数(2025年1〜12月)|一般社団法人ジャパンケネルクラブ
- Eye Discharge or Epiphora in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。自宅ケアと過酸化水素についての警告)
- Corneal Ulcers in Dogs|VCA Animal Hospitals(ステロイドを含む目薬についての警告)
- Tear Staining in Dogs|MedVet(米国の動物病院グループ。ポルフィリンについての解説)
- FDA warns makers of unapproved tear stain products|AVMA / JAVMA News, 2014
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の犬に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
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【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。