片目だけの涙やけ|左右差が教えてくれる、目・涙の通り道・歯・鼻の4つの原因
- この記事について
現時点では個人的に感じた感想や意見はまだ記載しておりません!
海外の獣医学的に涙やけをどう捉えるのかをまとめて参照した内容となります!
これはこういうのはあった。これはどうだろう?という僕の経験則の部分はまた随時更新いたします!
- こんな人にオススメな内容
-
- 涙やけが片目だけ濃い、または片目だけ涙が多い
- 両目だったのに、最近は片方だけひどくなってきた
- 拭いても片側だけ翌日には戻っている
- フードやサプリを変えても、片目の差が縮まらない
- 片目だけ、が意味すること
- 目そのもの:透明な涙が急に増えて、痛がっている
- 涙の通り道:透明な涙が、片側だけずっと続いている
- 歯:上あごの奥歯の根は、目のすぐ下にあります
- 鼻:片側の鼻水と、同じ側の涙
- 猫の片目:ウイルスとクラミジア
- 見分け方:涙の性質と、痛みのサイン
- 受診の目安チェックリスト
- 自宅でできること
- CLEAR WATER を使う場合の手順
- やってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
- 免責事項
涙やけが、片目だけ濃い。両目だったはずなのに、最近は片方だけひどい。拭いても、片側だけ翌日には戻っている——そう検索してこのページにたどり着いた方に向けて書いています。
片目だけの涙やけについて、最初にお伝えしたいことがあります。
左右差は、体質や食事では説明がつきません。 体質も食事も、左右の目に同じように作用します。片目だけに差があるなら、その片側に理由があります。 そして、その理由の多くは診察で確認でき、対処の方向が決まるものです。
海外の獣医学的な情報源を確認したうえで、犬と猫それぞれについて順に整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。
先に結論だけお伝えします。
- 片目だけの涙の原因は、4つの場所 に分けられます。目そのもの(角膜の傷・まつ毛・まぶた・異物)、片側の涙の通り道(つまり・異物・炎症・生まれつき)、上あごの奥歯の根、片側の鼻 です
- 米国の獣医眼科の施設で、片目の目やにが続く犬16頭の涙の通り道を内視鏡で調べた研究では、植物の異物5頭、涙嚢炎4頭、瘢痕による狭窄3頭 などが見つかっています
- 猫の クラミジア結膜炎は、片目から始まって両目に広がる のが典型で、猫の結膜炎の最大30%から検出されます
- 上あごの奥歯の根は 目のすぐ下 にあり、根の膿瘍は「目の感染」と間違えられやすいと、米国の大手動物病院チェーンが書いています
- 目を細める・まばたきが増える・こする は痛みのサインで、当日中の受診が必要です
片目だけ、が意味すること

両目の涙やけには、「涙が多い」「拭き方」「顔のつくり」「毛」といった、左右に同じように働く理由があります。犬の涙やけの全体像は、犬の記事にまとめています。
あわせて読みたい 犬の涙やけの原因は?海外の獣医学的な根拠と受診の目安を解説 →片目だけは、違います。片側にだけある何か を探す話です。涙が目からこぼれるまでの道のりを、目の表面から鼻の穴まで順にたどると、確かめる場所は4つに絞られます。
| 場所 | 起きていること | 涙の特徴 |
|---|---|---|
| 目そのもの | 角膜の傷、まつ毛、まぶたの巻き込み、異物 | 透明な涙が急に増える。痛みのサインをともなう |
| 涙の通り道 | つまり、異物、炎症(涙嚢炎)、生まれつきの形成不全 | 透明な涙が続く。炎症があれば黄色い目やに |
| 上あごの奥歯の根 | 根の膿瘍が、目の下の組織に広がる | 目の下の腫れ、同じ側の口臭 |
| 鼻 | 片側の鼻炎、腫瘍、歯の根から鼻へ | 同じ側の鼻水、鼻血、くしゃみ |
順に見ていきます。
目そのもの:透明な涙が急に増えて、痛がっている

片目だけ、透明な涙が急に増えた。目を細めている。前足でこする——この組み合わせは、目の表面が痛い ときの反応です。涙は、目を守るために増えています。
いちばん確かめなければならないのは、角膜の傷(角膜潰瘍) です。米国の大手動物病院チェーン(VCA)の解説では、角膜潰瘍の犬は強い痛みのために前足やカーペットで目をこすり、まぶたを固く閉じます。原因は、こする・ひっかく・異物といった外傷が最多で、ほかに化学物質、ドライアイ、まぶたの異常、感染が挙げられています。浅い傷でも治療にかかわらず悪化することがあり、失明に至ることもある ので、治療開始から2〜3日で再診して治り具合を確認する、と書かれています。
角膜の傷は、フルオレセインという色素で染めると緑色に浮かび上がります。数分で終わる検査です。
秋の草むらで乾いた草の種が片目に入る——「片目だけ、急に」の典型は、秋の記事に書いています。
あわせて読みたい 秋の涙やけ|換毛・秋の花粉・ダニのフンと死骸——9〜11月に涙が増える3つの候補と、確かめる順番 →そのほか、片目だけに起きやすい「目そのもの」の原因を挙げます。
- 異所性睫毛:本来まつ毛が生えない場所(まぶたの裏側)からまつ毛が生え、角膜に刺さります。米国の獣医学の手引きは、強い痛みと角膜潰瘍を起こすと書いています。まぶたの裏側なので外からは見えず、片目だけ急に痛がる典型です
- 睫毛重生:まぶたの縁の分泌腺の出口からまつ毛が生えます。同じ色で見つけにくく、角膜に当たらなければ処置は不要ですが、当たっていれば片目の涙の原因になります
- まぶたの巻き込み(眼瞼内反):片側だけ巻き込んでいれば、その側の毛が角膜に当たり、涙の出口もふさがれます。目頭側の下まぶたの巻き込みは、シーズーの記事に詳しく書いています
- 異物:草の種、砂、毛。まぶたの裏や第三眼瞼の裏に入り込むと、片目だけの強い涙と痛みになります
睫毛重生が手引きに載っている犬種のひとつが、ビーグルです。目を細める、片目だけ涙が多い——そのときに診てもらう場所を書いています。
あわせて読みたい ビーグルの涙やけ|大きく優しい目と、1歳で静かに始まる緑内障 →猫では、もうひとつ加わります。角膜分離症 です。角膜の一部が壊死して茶色〜黒い斑として見える、猫に特有の病気で、片目に起きることが多く、ペルシャ・ヒマラヤン・バーミーズが好発猫種です。ペルシャの記事に書いたとおり、ペルシャ系の猫の角膜は普通の猫の約2倍の刺激がないとまばたきが出ないほど鈍く、傷があっても痛がりません。 猫で片目だけ涙が多いときは、痛がっているかではなく、黒目の色を見てください。
あわせて読みたい ペルシャの涙やけ|涙が重力に逆らう顔のつくりと、黒目の茶色いサイン →涙の通り道:透明な涙が、片側だけずっと続いている

痛がっていない。充血もない。でも片目だけ、透明な涙がずっと多い——この場合、涙は増えているのではなく、出ていけない のかもしれません。
涙は、目頭の上下にある小さな穴(涙点)から、涙嚢を経て、鼻涙管を通り、鼻の穴の中へ抜けます。この通り道は左右別々なので、片側だけふさがれば、片目だけ涙があふれます。
動物病院では、フルオレセインを目に入れて、数分以内に鼻の穴から出てくるかを見る検査(通過試験)で、通り道が働いているかを確認できます。出てこなければ、通り道を生理食塩水で洗い流す処置(洗浄)を行い、通るかどうか、何が出てくるかを見ます。この検査と処置については、トイプードルの記事に詳しく書いています。
あわせて読みたい トイプードルの涙やけ|涙が多いのか、出口が閉じているのか →通り道がふさがる理由は、いくつかあります。
- 生まれつき:涙点が無い・未熟・狭い。子犬のころから片目に偏って涙が多く、拭き方を変えても変わらない、が特徴です
- 異物:草の種(ノギ)などが通り道に入り込みます
- 涙嚢炎:涙嚢に炎症が起き、黄色い目やにが出ます。米国の獣医学の手引きは、涙嚢炎の多くは涙嚢と鼻涙管の近い側のつまりが原因で、治療に反応しない結膜炎 と、犬では 目頭の下のまぶたに膿の出口(瘻管) ができることがあると書いています
- 瘢痕:過去の炎症や外傷のあとが狭くなっている
米国の獣医眼科の施設で、片目の目やにが続き、洗浄だけでは治らなかった犬16頭の涙の通り道を、細い内視鏡と造影で調べた研究(2018年)があります。原因は、植物の異物5頭、涙嚢炎4頭、瘢痕による狭窄3頭、肉芽組織1頭、小さな異物をともなう肉芽組織1頭、不明2頭 でした。年齢の中央値は4.3歳で、全頭が片側の、さらさら〜膿のような目やに を主訴にしていました。片目だけの目やにが「体質」ではなく、通り道の中に理由があった例です。
犬種の形で涙やけを説明できないコーギーでも、片目だけ続くなら、確かめるのはこの通り道です。
あわせて読みたい コーギーの涙やけ|手引きに「涙の病気」がほとんど載っていない犬種で、出ているなら理由があります →歯:上あごの奥歯の根は、目のすぐ下にあります

見落とされやすい場所です。
VCAの歯根膿瘍の解説は、上あごの奥歯(第4前臼歯や臼歯)の根が化膿したときの外から見える徴候は、「目の感染や刺し傷といった、別の問題と間違えられることが多い」 と書いています。理由は、これらの歯の根が目のすぐ下にあり、膿瘍になると感染がすぐ周囲の組織に広がるからです。膿瘍が破れる直前には、目の下の組織が腫れて炎症を起こします。
つまり、片目の下だけが腫れている、片目の涙と同じ側に口臭がある、その側の歯ぐきが赤い、片側で噛むのを嫌がる——このときは、目ではなく 口の中 です。診断には歯科用のレントゲンが必要で、治療は根管治療か抜歯です。犬でも猫でも起こります。
歯周病そのものについては、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 歯磨きをしなくて大丈夫!そんな犬猫の歯磨き商品はありません →鼻:片側の鼻水と、同じ側の涙
涙の通り道の出口は、鼻の中です。鼻の中で何かが起きれば、出口がふさがれて、同じ側の涙があふれます。
米国の獣医学の手引きは、犬と猫の鼻の腫瘍について、次のように書いています。
- 診断時の平均年齢は 犬で9.5〜10歳、猫で12歳
- いちばん多い徴候は慢性の鼻水で、最初は片側、のちに両側 になることが多い
- くしゃみ、鼻血、いびきのような呼吸音をともなう
- 鼻涙管がふさがれると、二次的に涙があふれる
- 犬では鼻の長い・中くらいの犬種のほうが、短頭種より危険が高い
シニアの犬や猫で、片目の涙と同じ側の鼻水、とくに血の混じった鼻水があるときは、涙やけとして拭くのではなく、鼻を診てもらう段階です。腫瘍でなくても、片側の慢性鼻炎や、歯の根から鼻へ抜けた炎症(口鼻瘻管)が、同じ経路で片目の涙を起こします。
猫の片目:ウイルスとクラミジア
猫では、感染症が片目から始まることを知っておいてください。
猫ヘルペスウイルス は、猫の涙と目やにのいちばん多い原因です。初めての感染は両目のことが多いのですが、いったん潜伏したウイルスがストレスで再び目覚めるときは、片目だけに出ることがよくあります。米国獣医眼科専門医協会(ACVO)の解説は、目の症状の再発は生涯にわたって周期的に起こり、体調不良やストレスのときにとくに起こりやすいと書いています。
クラミジア は、猫の結膜炎の最大30%から検出される細菌で、ヨーロッパの猫の病気の専門委員会(ABCD)の手引きは、最初は片目に出て、その後、両目に広がるのが一般的 で、9か月未満の若い猫に多いと書いています。目やには最初は水っぽく、のちに粘り気のある膿のようになり、結膜の腫れ(結膜浮腫)が特徴です。ドキシサイクリンで4週間の治療が必要とされています。
片目から始まった猫の目やには、「片目だから軽い」ではなく、「これから両目になるかもしれない感染の始まり」 です。猫の涙やけ全体については、猫の記事をご覧ください。
あわせて読みたい 猫の涙やけの原因|感染症のサインと受診の目安を解説 →見分け方:涙の性質と、痛みのサイン

4つの場所のどれかを、自宅で「決める」ことはできません。ただ、受診のときに伝えると診察が早くなる観察が2つあります。
1つ目は、涙の性質です。
- 透明でさらさら:目の刺激か、通り道のつまり
- 粘り気がある、黄色〜緑色:感染か炎症(結膜炎、涙嚢炎、角膜の傷への感染)
- 鼻水も同じ側:鼻か歯
2つ目は、痛みのサインです。
- 目を細めている、まぶたを閉じ気味にしている
- まばたきが増えた
- 前足で目をこする、床や家具に顔をこすりつける
- 光をまぶしがる
- 白目が充血している、角膜が白っぽく濁っている
痛みのサインがあれば、当日中 の受診です。角膜の傷は、時間とともに深くなります。
犬種によっては、片目の涙の「起きやすい原因」が違います。ポメラニアンの記事では、片目だけのときに疑う順番を犬種に合わせて書いています。
あわせて読みたい ポメラニアンの涙やけ|片目だけなら原因が違います →受診の目安チェックリスト
片目だけの涙やけは、それ自体が受診の理由になります。とくに次のどれかがあれば、早めにご相談ください。
- 目を細めている、まばたきが増えた、前足で目をこする(当日中)
- 白目が充血している、角膜が白っぽく濁っている、黒目に茶色い斑がある(当日中)
- 片目だけ、急に透明な涙が増えた
- 片目だけ、黄色〜緑色の膿のような目やにが出る
- 目頭の下のまぶたの皮膚が腫れている、穴があいて液が出ている
- 目の下が腫れている、同じ側の口臭が強い、片側で噛むのを嫌がる
- 同じ側の鼻水、鼻血、くしゃみがある
- 子犬・子猫のころからずっと片目に偏って涙が多い
- 猫で、片目の目やにが数日で両目に広がった、くしゃみをともなう
- 拭き方を変えても、片目の差が3週間以上まったく縮まらない
自宅でできること
原因の診断がついている、あるいは受診したうえで経過を見ている——その前提での話として書きます。
片目だけのときに、まず確かめてほしいのは 「その目を拭いていいか」 です。目を細めていない、充血していない、角膜が透明——この3つがそろっていなければ、拭かずに受診が先です。痛い目をコットンで触ると、角膜をさらに傷つけることがあります。
拭いていい状態なら、やることは両目のときと同じです。「拭く」「乾かす」「毛を短くする」の3つ で、着色を消すためではなく、濡れた状態が続くことで起きる皮膚トラブルを防ぐためのものです。
片目だけのときの注意が2つあります。
- 涙の多い側だけ、回数を増やしたり強く拭いたりしない。 片側だけ強く拭くと、その刺激で涙が増え、左右差がさらに広がります。両目とも同じやり方で、乾かすところまでを1セットにしてください
- 左右差を記録する。 スマートフォンで、同じ明るさ・同じ角度で週に1回撮っておくと、受診のときに「いつから」「どのくらい」を伝えられます。片目の変化は、両目のときより診断の手がかりになります
濡れたまま放置するとどうなるかは、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい 涙やけはお手入れ不足で悪化!原因をわかりやすく解説! →CLEAR WATER を使う場合の手順
当店の CLEAR WATER をお使いの場合は、次の手順です。
- 乾いたコットンで、目の下の涙を先に押さえて取る
- コットンを指先大にちぎり、ひたひたになるまでスプレーする(顔に直接スプレーしない)
- コットンを軽く絞りながら、目から離れたところから、目頭から外側へ優しく押さえるように拭く。涙の多い側も少ない側も、同じやり方で
- 清潔なコットンで水気を拭き取り、毛の根元まで乾いた状態にする
- 嫌がるようなら中断し、日を改める
着色を消すための工程ではありません。 涙が付着している時間を短くするための工程です。すでに色のついた毛は元に戻りません。
そして、繰り返しになりますが、角膜の傷・通り道のつまり・歯・鼻は、拭いても変わりません。 片目だけの涙やけは、お手入れの問題ではなく、原因を確かめる問題です。
やってはいけないこと
痛がっている目を、拭かないでください。 目を細める、こする、充血——このサインがある目は、コットンで触るより先に受診です。
以前に処方された目薬を、片目の涙に使い回さないでください。 VCAの解説は、角膜の傷にステロイドを含む目薬を使うと治りが止まり、重い合併症を起こすことがあると警告しています。その目薬が何のために出されたものかは、今の目には当てはまりません。人間用の目薬も同じです。
目の中の異物を、自分で取ろうとしないでください。 見えている異物でも、角膜に刺さっていることがあります。
片目だけの涙やけを、フードやサプリで変えようとしないでください。 左右差は、左右に同じように作用するものでは説明がつきません。原因を確かめないまま着色だけを消すと、通り道の異常や歯の膿瘍という、見逃してはいけないサインを覆い隠します。
過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の周りに使わないでください。 目に入れば重い損傷を起こします。
猫の片目の目やにを「軽い」と決めないでください。 クラミジアは片目から始まって両目に広がり、ヘルペスウイルスは片目に繰り返し出ます。どちらも治療の対象です。
よくある質問
Q. 片目だけ涙やけになるのは、なぜですか?
体質や食事は、左右の目に同じように作用します。片目だけに差があるなら、その片側に理由があります。 確認できる原因は、大きく4つです。目そのもの(角膜の傷、まつ毛、まぶたの巻き込み、異物)、片側の涙の通り道(つまり・異物・炎症・生まれつきの形成不全)、上あごの奥歯の根の病気、片側の鼻の病気です。どれも診察で確認できます。
Q. 痛がっていないなら、様子を見てもいいですか?
目を細める、まばたきが増える、前足で目をこする、まぶしがる——このどれかがあれば、痛みのサインです。角膜の傷は、放置すると穴があくことがあり、当日中の受診が必要です。猫では、ペルシャ系の猫の角膜は感覚が鈍く、傷があっても痛がらないことが測定で示されています。痛がらないことは、無事の根拠になりません。
Q. 涙は透明なのに、片目だけ跡が濃いです。
透明な涙が片目だけ多い場合、まず疑うのは 涙の通り道の片側のつまり です。動物病院では、色素を目に入れて数分以内に鼻の穴から出てくるかを見る検査で、通り道が働いているかを確認できます。通り道を洗い流す処置で改善することもありますし、異物や炎症が見つかることもあります。
Q. 片目だけ、黄色い目やにが出ます。
黄色〜緑色の膿のような目やにが片目だけなら、涙の通り道の炎症(涙嚢炎)、片目の結膜炎、角膜の傷への感染などが考えられます。犬の涙嚢炎では、植物の種などの異物が通り道に入り込んでいることがあり、治りにくい結膜炎と、目頭の下の皮膚に穴があく症状 として現れることがあります。猫では、クラミジアによる結膜炎が片目から始まって数日で両目に広がるのが典型です。
Q. シニアの犬で、片目の涙と同じ側の鼻水が出ています。
同じ側の鼻の病気を確かめる段階です。犬の鼻の腫瘍は診断時の平均年齢が9.5〜10歳で、最初は片側の鼻水として始まり、涙の通り道がふさがれると涙があふれます。鼻血、くしゃみ、いびきのような呼吸音、顔の変形をともなうことがあります。犬歯や奥歯の根の病気でも、片側の鼻水と涙が出ることがあります。
Q. 片目だけのときも、拭いていいですか?
目を細めていない、充血していない、角膜が透明——その3つを確かめてからにしてください。痛みのサインがある目は、拭かずに受診が先です。拭くときは、涙の多い側だけ回数を増やすのではなく、両目とも同じやり方で、乾かすところまでを1セット にしてください。片側だけ強く拭くと、その刺激で涙が増えます。
まとめ
- 片目だけの涙やけは、体質や食事では説明がつかない。片側にだけある理由を、目・涙の通り道・歯・鼻の4か所で探す
- 透明な涙が急に増えて痛がる なら目そのもの。角膜の傷は当日中。片目の急な痛みは、まぶたの裏の異所性睫毛も
- 透明な涙が痛みなく続く なら涙の通り道。通過試験と洗浄で確認できる。犬16頭の内視鏡検査では、植物の異物・涙嚢炎・瘢痕が見つかった
- 目の下の腫れ・同じ側の口臭 なら上あごの奥歯の根。目のすぐ下にあり、「目の感染」と間違えられやすい
- 同じ側の鼻水・鼻血 なら鼻。犬の鼻の腫瘍は平均9.5〜10歳、最初は片側から
- 猫は クラミジアが片目から両目へ、ヘルペスウイルスが片目に繰り返す。片目だから軽い、ではない
- 拭いていいのは、痛みのサインがない目だけ。両目とも同じやり方で、乾かすまでが1セット
涙やけは見た目の問題として語られがちですが、片目だけのときは、その片側で何かが起きています。左右の差は、いちばん分かりやすいサインです。
参考文献
- Strom AR, et al. A multidisciplinary, minimally invasive approach combining lacrimoscopy and fluoroscopically guided stenting for management of nasolacrimal apparatus obstruction in dogs. J Am Vet Med Assoc. 2018;252(12):1527-1537. doi:10.2460/javma.252.12.1527(片側の目やにが続く犬16頭の涙の通り道を内視鏡と造影で調べた研究)
- Nasolacrimal and Lacrimal Apparatus in Animals|Merck Veterinary Manual(米国の獣医学の手引き。涙嚢炎の原因と徴候)
- Eyelids in Animals|Merck Veterinary Manual(睫毛重生、異所性睫毛、眼瞼内反についての解説)
- Neoplasia of the Respiratory System in Dogs and Cats|Merck Veterinary Manual(鼻の腫瘍の年齢、片側から始まる経過、涙への影響)
- Corneal Ulcers in Dogs|VCA Animal Hospitals(米国の大手動物病院チェーン。角膜潰瘍の徴候・原因・ステロイドについての警告)
- Tooth Root Abscess in Dogs|VCA Animal Hospitals(上あごの奥歯の根の膿瘍が目の感染と間違えられやすいことについての解説)
- Guideline for Chlamydia felis|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases。片目から両目へ広がる経過、年齢、検出率、治療期間)
- Guideline for Feline Herpesvirus Infection|ABCD(European Advisory Board on Cat Diseases)
- Feline Ocular Herpes|ACVO Public(米国獣医眼科専門医協会の飼い主向け解説。再発の周期性)
- Corneal Sequestrum|ACVO Public(角膜分離症の解説)
- Blocker T, van der Woerdt A. A comparison of corneal sensitivity between brachycephalic and Domestic Short-haired cats. Vet Ophthalmol. 2001;4(2):127-130. doi:10.1046/j.1463-5224.2001.00189.x(普通の猫50頭とペルシャ13頭・ヒマラヤン7頭の角膜の感覚の比較)
- Eye Discharge or Epiphora in Dogs|VCA Animal Hospitals(好発犬種と自宅ケア)
免責事項
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬・愛猫の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、個々の犬や猫に当てはまるとは限りません。目の症状は進行が早いことがあります。判断に迷う場合は、記事を読み進めるより先に動物病院へご連絡ください。
記事執筆者・監修者
- 西尾 亮佑
-
【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。
その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫21匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。