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  • 犬の肉球がカサカサになる原因は?受診の目安とホームケアを解説

    犬の肉球のアップ
    こんな人にオススメな内容
    • 愛犬の肉球が硬い・ざらざらしている
    • ひび割れてきていて心配
    • ワセリンや人間用クリームで代用していいか迷っている
    • 病院に行く目安を知りたい
    1. そもそも肉球はどういう組織ですか?
    2. 犬の肉球がカサカサになる主な原因
    3. 1. 加齢による変化
    4. 2. 地面からのダメージ
    5. 3. 舐める
    6. 4. 洗いすぎ・拭きすぎ
    7. 5. 床材
    8. カサカサが病気のサインであることがあります
    9. 受診の目安チェックリスト
    10. 夏のアスファルトは何度になるのか
    11. ワセリンやニベアで代用してもいいですか?
    12. 自宅でできるケア
    13. 順番が大事です:「ふやかす」→「保湿する」
    14. 塗るタイミングは「散歩の前」も有効です
    15. 力を入れてこすらない
    16. 毎日でなくて構いません
    17. よくある質問
    18. まとめ
    19. 参考文献
    20. 免責事項

    愛犬の肉球を触ったとき、以前より硬い、ざらざらしている、白く粉をふいたようになっている。そう感じて調べ始めた方に向けて書いています。

    肉球のカサカサは、多くの場合は加齢や地面からのダメージによる変化です。ただし、まったく同じ見た目が全身の病気のサインとして出ることもあります。その見分け方を先にお伝えしたうえで、自宅でできることを整理します。本文で触れている資料の出典は、すべて記事末尾の参考文献に挙げています。

    先に結論だけお伝えします。

    • 肉球のカサカサは、加齢による変化としてもっとも多く見られます
    • ただし、同じ見た目が肝臓の病気や自己免疫の病気のサインとして出ることがあります。肉球以外の場所にも変化があるときは受診してください
    • 夏のアスファルトは、気温32℃の昼に 55℃を超えます。 硬くなった肉球でも火傷はします
    • 自宅ケアの基本は 「ふやかしてから、保湿する」 の順番です
    • ワセリンは獣医皮膚科の教材にも保湿剤の選択肢として挙がっています。ただし人間用の保湿クリーム全般が同じというわけではありません

    そもそも肉球はどういう組織ですか?

    日差しの中の犬の前足と肉球

    肉球は、犬の体のなかでもっとも角質が厚い皮膚です。地面の熱、冷たさ、砂利、ガラス片から体を守るために、この厚さがあります。

    厚いということは、もともと硬いのが正常 だということでもあります。人の手のひらのように柔らかい状態が目標ではありません。目安は「弾力があるかどうか」です。硬くても押して沈む弾力があれば、健康な肉球です。

    問題になるのは、弾力が失われて、表面が割れはじめたときです。米国ミネソタ大学の動物皮膚科が公開しているオープン教材では、角質が過剰にたまる状態について「皮膚はとても乾燥し、亀裂やひび割れが生じることがある」「肉球への影響が重度になると、痛みと跛行(歩き方の異常)を引き起こす」と記載されています。ひび割れは、そこから細菌が入る入口にもなります。

    つまり自宅ケアの目的は、見た目を柔らかくすることではなく、割れる手前で止めること です。

    犬の肉球がカサカサになる主な原因

    床で休むクリーム色の犬の前足

    1. 加齢による変化

    もっとも多いのがこれです。前述のミネソタ大学の教材は、鼻と肉球の角質が厚くなる状態(鼻・趾端角化亢進症)について「典型的には高齢犬に見られ、おそらく加齢性の変化である」としています。特定の原因が見つからない、いわゆる特発性のケースです。

    犬種としてはアメリカン・コッカー・スパニエルとイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルに素因があるとされていますが、どの犬種でも起こりえます。

    2. 地面からのダメージ

    夏のアスファルトと、冬の融雪剤が代表です。夏の路面温度については後述します。

    3. 舐める

    痒み、痛み、退屈、不安。理由はさまざまですが、舐め続けると皮膚のバリアが壊れて、かえって乾燥と炎症が進みます。カサカサより先に「舐めている」ほうが問題であることも多い ので、頻繁に舐めているなら、保湿より先に理由を探すほうが順番として正しいです。

    4. 洗いすぎ・拭きすぎ

    散歩のたびにシャンプーや洗浄剤で足を洗っていると、必要な皮脂まで落ちます。汚れが軽い日は、ぬるま湯か水で流して乾かすだけで十分なことがほとんどです。

    5. 床材

    フローリングで滑る犬は、指と肉球に余計な力をかけて歩きます。カサカサ自体の原因というより、割れやすさや歩き方への影響として関係します。

    カサカサが病気のサインであることがあります

    仰向けで休む犬の顔と前足

    ここだけは必ず読んでください。

    獣医皮膚科向けの専門的な解説には、「同じ角化亢進が、遺伝性・代謝性・感染性・免疫異常・機械的な要因のいずれでも生じる。その予後は、単なる美容上の問題から致死的なものまでの幅がある」という一文があります。

    つまり、見た目だけでは区別がつきません。 肉球の変化が現れうる全身の病気には、次のようなものがあります。

    病名 特徴
    肝皮膚症候群(表在性壊死性皮膚炎) 重度の肝臓の病気に伴う。中〜高齢犬。元気消失や体重減少を伴うことが多い
    亜鉛反応性皮膚症 目の周りのかさぶたが出やすい。北方系犬種の遺伝性と、栄養性がある
    天疱瘡(落葉状天疱瘡) 自己免疫の病気。肉球への症状は約3分の1の症例で見られる。鼻すじ・顔・耳にも症状
    ジステンパー 肉球と鼻の角化亢進は後期の症状。呼吸器・消化器・神経の症状を伴う

    いずれも自宅のケアで対応できるものではありません。

    受診の目安チェックリスト

    ひとつでも当てはまれば、動物病院にご相談ください。

    • 肉球だけでなく、鼻すじ・目の周り・耳・口の周りにも かさぶたや変化がある
    • 痛がる、歩き方がおかしい、散歩を嫌がる
    • ひび割れから出血している、膿が出ている
    • 一部の爪だけ形が変わった、伸び方がおかしい
    • 元気がない、食欲が落ちた、体重が減った
    • 短期間で急に変化した
    • 若い犬なのに強い角化がある
    • ケアを続けても悪化していく

    「肉球だけの問題かどうか」を見分ける最初の手がかりは、肉球以外にも変化があるかどうか です。全身を触って確認してみてください。

    夏のアスファルトは何度になるのか

    砂に残った犬の足跡

    数字を見ておくと、判断が変わります。

    獣医師監修の実測記事によると、気温32℃の午後1時に測定した路面温度は次のとおりでした。

    • 日なたのアスファルト:55℃超
    • 駐車場のアスファルト:60.2℃
    • マンホールの蓋:62℃
    • 公園の遊具:55℃

    気温26℃の朝7時でも、日なたのアスファルトは43.8℃、マンホールの蓋は53.0℃に達していました。

    そして、地面が50℃で赤みや炎症が起きることがあり、55℃を超えると1分以内の接触でも火傷のリスクがある とされています。

    肉球が厚いから大丈夫、ということはありません。散歩の前に、自分の手のひらを数秒間、地面に当てて確かめてください。 手で我慢できない温度は、犬にも我慢できません。

    ワセリンやニベアで代用してもいいですか?

    前足の肉球を見せて横になる犬

    よく聞かれる質問なので、正直にお答えします。

    ワセリンそのものは、獣医皮膚科の資料でも保湿剤の選択肢として挙げられています。 前述のミネソタ大学の教材では、角化亢進の管理として「プロピレングリコール、ワセリン、尿素、あるいは精油を含む製品といった、保湿・保水成分を継続して塗ること」が必要になると記載されています。ですから「ワセリンは犬に絶対使ってはいけない」というのは言いすぎです。

    そのうえで、実際に使ううえでの注意点が3つあります。

    1つ目。ワセリンは油分で覆うだけで、水分は足しません。 乾いた角質にそのまま塗ると、乾いたまま蓋をすることになります。後述するとおり、順番が大事です。

    2つ目。ベタつきます。 床に足跡が残る、毛にホコリが付く、そして何より犬が気にして舐めます。舐めた分だけ効果は落ちますし、量が多ければお腹がゆるくなることもあります。

    3つ目。「人間用の保湿クリーム全般」はワセリンとは別の話です。 ニベアをはじめとする人間用の保湿クリームには、香料・防腐剤・その他の添加物が含まれています。人の肌に塗って手を洗う前提の製品と、塗った場所を犬が直接舐める前提とでは、必要な条件が違います。犬が舐めることを前提に設計されているかどうか が判断の分かれ目です。

    そしてもうひとつ、見落とされがちな論点があります。同じ家に猫がいる場合です。 上に引用した教材にも「精油を含む製品」が保湿剤の選択肢として出てきますが、これは犬の話であって、猫がいる家では条件が変わります。この点は猫がいる家で、犬の肉球クリームを選ぶときに確認すべきことにまとめました。

    自宅でできるケア

    仰向けで両前足の肉球を見せる犬

    順番が大事です:「ふやかす」→「保湿する」

    前述の教材では、まず「水や湿らせた被覆で病変を水和させ、過剰な角質を物理的に取り除けるようにする」ことが挙げられ、そのうえで保湿剤を継続して塗る、という順番になっています。

    家庭で再現するなら、こうなります。

    1. 散歩のあと、足を軽く洗うか、濡れタオルで拭く(ここで角質に水分が入ります)
    2. 水気をしっかり拭き取る(濡れたまま放置しない)
    3. その直後にクリームを塗る(水分が抜ける前に蓋をする)

    乾いた肉球にいきなりクリームを塗るより、この順番のほうが理にかなっています。

    塗るタイミングは「散歩の前」も有効です

    塗った直後は犬が気にして舐めがちですが、散歩の前に塗ると、外の刺激に気を取られて、帰る頃には忘れています。 これは実際によく効く方法です。

    力を入れてこすらない

    硬くなった角質を無理に剥がそうとしないでください。ひび割れを深くするだけです。指先で、押し込むように少量を馴染ませます。

    毎日でなくて構いません

    肉球のケアは、毎日やらないと意味がないものではありません。散歩のあとや、寝る前など、続けられるタイミングを1つ決めるほうが結果的に続きます。

    よくある質問

    Q. 肉球が硬いのは異常ですか?

    いいえ。肉球はもともと体でいちばん角質が厚い皮膚で、硬いのが正常です。判断の目安は硬さではなく 弾力 です。押して沈む弾力があれば問題ありません。

    Q. カサカサはどのくらいで治りますか?

    原因によります。加齢性の角化亢進は「治す」ものではなく、割れないように付き合っていくものです。前述の教材でも、この状態は治癒するものではなく症状に対する管理が中心とされています。一方、地面のダメージや洗いすぎが原因なら、その要因を取り除けば戻っていきます。

    Q. 舐めてしまって塗れません。

    散歩の前に塗る、塗る量を減らす、塗ったあとしばらく遊びに誘う、といった方法があります。それでも執拗に舐め続ける場合は、クリームの問題ではなく 舐める理由のほう を疑ってください。痒みや痛みが隠れていることがあります。

    Q. 猫にも同じクリームを使えますか?

    製品によります。犬猫兼用と書かれていても、成分によっては猫に向かないものがあります。理由を猫がいる家で、犬の肉球クリームを選ぶときに確認すべきことにまとめました。

    Q. 肉球クリームは本当に必要ですか?

    必須ではありません。若くて、割れておらず、弾力がある肉球には、特別なケアは要りません。必要になるのは、加齢で角質が厚くなってきた犬、ひび割れが出はじめた犬、地面からのダメージを受けやすい環境の犬です。

    まとめ

    • 肉球は体でいちばん角質が厚い皮膚です。硬いこと自体は正常で、見るべきは 弾力 です
    • カサカサの最多の原因は加齢による変化ですが、同じ見た目が全身の病気のサインとして出ることがあります
    • 肉球以外(鼻すじ・目の周り・耳)にも変化があるとき、痛がるとき、元気や食欲が落ちているときは受診してください
    • 気温32℃の午後、日なたのアスファルトは 55℃を超えます。 散歩前に手のひらで確かめてください
    • 自宅ケアの順番は「ふやかす → 水気を拭く → 保湿する」。乾いた肉球にいきなり塗るより理にかなっています
    • ワセリンは資料上も保湿剤の選択肢です。ただし人間用の保湿クリーム全般が同じではなく、舐めることを前提に設計されているか が分かれ目です

    肉球は毎日見ている場所のようで、実は意外と触っていない場所です。触って弾力を確かめる習慣がつくと、それだけで変化に早く気づけます。

    参考文献

    • Idiopathic Keratinization Disorders: Nasal and Digital Hyperkeratosis|University of Minnesota, Veterinary Dermatology(米国ミネソタ大学のオープン教材)
    • Paw Pad Dermatoses in Dogs|Dermavet(獣医皮膚科向け解説)
    • 地面55℃以上は散歩ダメ! 夏のアスファルトは愛犬の肉球やけどに要注意【獣医監修】|ワンクォール(監修:茂木千恵 獣医師)

    免責事項

    本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断ではありません。愛犬の症状については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

    記事執筆者・監修者

    西尾 亮佑 西尾 亮佑
    西尾 亮佑

    【ペット業界15年以上】横浜ペットコミュニティ専門学院にてトリミング・訓練を学び、大手ペットショップ・ペットメーカーに勤務。数多くのペットショップ・トリミングサロン・動物病院を視察してきました。

    その中でペット業界の矛盾の多さや利益優先の姿勢に疑問を持ち、愛犬・愛猫の健康面を最優先に考える想いを貫くため2020年7月15日にDog&Cat CLEARを設立。愛猫20匹と愛犬2匹と暮らしながら『愛犬・愛猫の健康は飼い主が守る』を発信しています。

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